拘束された義明は、脳漿からウイルスを抽出されそうになるが、一ツ兜の介入により救出される。
デイジーの治療薬を求める一ツ兜と、義明を救おうとする吉岡たちの間で対立が生じるが、義明の提案でボコールの捕獲作戦が始動する。
りっくんの活躍で女のボコールを討つが、直後に現れた男のボコールが共食いを始め、異形の怪物へと進化。
銃火器による攻撃も通じず、人の顔を持つ巨大な塔となり、一行に迫る。
撤退する中、義明は化け物に捕まり喰われてしまうが、岩倉と吉岡の決死の攻撃で救出。
しかし、爆炎の中から現れたのは、義明の姿へと変貌した巨大な化け物だった。
最終巻のあらすじを振り返ってみましょう。
目次
ボコールとの対峙
義明は、自分と瓜二つの巨大な化け物に捕まる。
意識が遠のく中、精神世界に現れたのは、男女のボコールだった。
彼らは敵意がないことを示すために義明の姿を真似たのだという。
そして、人間同士は争いを避けられない、この世から争いを無くすために一つになろうと説く。
巨大ボコールの手の中で意識を失いかけたその時、義明を引き抜いたのは岩倉だった。
逃げる途中、義明の姿を見た岩倉は、かつての仲間・トニーを思い出す。
かつて組織の落ちこぼれだったトニーの面倒を見ているうちに、岩倉の中には友情が芽生えていた。
しかし、トニーは脱走の途中でボスの凶弾に倒れてしまう。
岩倉は、義明にかつての友の姿を重ね、今度こそ友を守ると誓うのだった。
岩倉の決意と犠牲
岩倉が取った行動は、義明を殴り気絶させ、自ら囮となることだった。
ゴミ箱の中で目を覚ました義明は、岩倉を探しに行く。
薬莢、ナイフ、岩倉の所有物が落ちている。
それを辿ると、瓦礫の下敷きになった岩倉の手が見え、義明は絶望する。
瓦礫の隙間を覗き、下敷きとなった彼の姿を見た義明は、我を忘れて泣き叫ぶことに。
その声を聞きつけたボコールに見つかってしまう。
ボコールは義明に、岩倉と戦い、彼を潰したと告げるのだった。
覚醒する義明
怒りに震える義明の瞳は、三つの複眼へと変化していた。
義明は周囲の化け物を操ってボコールをも超える巨人を生み出し、攻撃を仕掛ける。
しかし、傷を負っても治癒できるボコールには通用しなかった。
相容れないと理解したボコールは諦め、頭を自ら切り離し、その場を去ろうとする。
だが、義明は逃さない。
頭を掴み、執拗に叩きつけ、ついにボコールは動かなくなるのだった。
岩倉の生還とワクチンの完成
ボコールの潰れた頭を見た坂上は、大量の脳漿からワクチンを作れると確信。
義明たちは岩倉の死を悲しむ。
ふと義明は、工事用のパイロンや舗装の切断痕に気づく。
そして、化け物を操り人柱を作ることで瓦礫を取り除くと、そこには一命を取り留めた岩倉の姿があった。
咄嗟に工事中の穴に逃げ込んだことで、瓦礫の下敷きにならずに済んだのだ。
義明は安堵し、岩倉との再会を喜ぶのだった。
それぞれの旅立ち
坂上は作成したワクチンをりっくんに投与する。
効果が出るまで待つよう花畑に提案するが、花畑はそれを拒否し、りっくんを連れて旅を続けることを決意。
皆に別れを告げ、部屋を後にした。
一ツ兜はワクチンを受け取ると、園長として義明たちに改めて卒園を言い渡し、施設へと帰っていく。
坂上が義明にワクチンを投与しようとすると、吉岡がそれを買って出た。
義明もそれを受け入れ、ワクチンの投与が終わる。
お使いも済んだと言わんばかりに、吉岡は部屋を出て行こうとする。
義明が行き先を尋ねるが、吉岡ははっきりと答えず、そのまま踵を返して去っていった。
新たな時代の幕開け
やがて、治療薬が普及し、街は日常を取り戻していた。
大翔と呼ばれる少年が玄関へと走り出す。
母親に見送られながら通学路を進むと、フェンスの向こうには大量の化け物が蠢いている。
これは治療薬が確立した後の世界の様子だった。
学校が終わると、大翔は友達とゲームセンターへ向かう。
その途中、果樹園でなっているリンゴに目を奪われ、木に登るが、バランスを崩して落下してしまう。
間一髪、男性に受け止められる。
その男は義明だった。
隣には岩倉の姿。
二人は果樹園で働いていた。
リンゴをもらい、ゲームセンターへと到着した大翔たち。
カウンターにはボロボロのメガネが置かれていた。
それをいたずらにかけて遊んでいると、怒鳴られ取り上げられる。
そこには吉岡の姿があった。
ピンボールの遊び方を指南しようとするが、大翔たちは渋る。
その店には吉岡の実家のゲームセンターの名を継いで「ラッキー・ヒルII」という看板が掲げられていた。
おまけ1:カップルを襲う悲劇
パンデミックにより世界が崩壊する中、恋人同士のヒロとユミは街を逃げていた。
しかし、ユミが化け物に噛まれてしまう。
恐怖と痛みに怯えるユミをバイクに乗せ、ヒロは必死で病院を目指すが、状況は悪化する一方だった。
二人には、まだ街が平和で満たされていたころ、ごく普通の恋人として過ごしていた平穏な日々があった。
二人乗りのバイクで街を走り、ちょっとしたやりとりにも照れたり笑いあったりする日常。
ヒロはユミのささやかなわがままに困りつつも内心喜びを感じ、ユミはヒロの不器用だが優しい態度に心を許していた。
そんなありふれた日常は、二人にとって特別ではなかったが、だからこそ何よりも愛おしく、かけがえのないものだった。
しかし、もうその日常に戻ることはできない。
ヒロは徐々にゾンビ化しつつあるユミの変異という残酷な現実に直面する。
恐怖の中、ヒロはバイクを走らせながら背後にいるユミの気配を感じ取っていた。
「絶対離すなよ、ユミ」とヒロは覚悟を決めるが、彼の背中ではユミが静かに牙をむき、襲いかかろうとしていたのだった。
おまけ2:4号室の退屈な収監生活
雨が降り続く中、松嵐学園4号室の吉岡たちはいつも通り退屈な収監生活を過ごしていた。
暇を持て余した吉岡はノイマンを将棋に誘い、余裕の笑顔で勝利を収める。
その後、将棋を知らない岩倉とはリバーシ(オセロ)で勝負し、これも吉岡が難なく勝つ。
負け続けて悔しさを感じたノイマンは、真剣な表情で吉岡にもう一度勝負を挑む。
リバーシでの再戦に応える吉岡。意気込んだノイマンだったが、最初の一手として盤に打ちつけたのはリバーシの石ではなく、なぜか将棋の「歩」の駒だった。
ノイマン自身も含めて、吉岡や岩倉は突然現れた場違いな駒に驚き、ただ呆然と盤面を見つめるのだった。
退屈な日々が生んだ、不思議で滑稽な一幕だった。
おまけ3:それぞれの懲罰房
矯正施設「松嵐学園」の8号室室長・千田真雄は、同室の仲間が新人の岩倉に挨拶を無視されたことに腹を立て、岩倉に接近する。
岩倉は戦場での体験がトラウマとなり、夜も眠れずに過敏になっていたため、突然千田から話しかけられた際に反射的に拳を放ち、千田を殴り倒してしまう。
この事件をきっかけに岩倉は懲罰房送りとなる。
8号室のメンバーは、岩倉が所属する4号室の室長・吉岡に責任を取るよう要求。
最初は穏やかに聞いていた吉岡だったが、母親が営むゲームセンターを潰すと脅されると激昂し、ナイフで千田に怪我を負わせてしまい、自らも懲罰房送りになる。
一方その頃、テレビでは貴重な古本が発見されたニュースが流れていた。
真剣に視聴するノイマンに対し、今度は千田が責任を取らせようと詰め寄り妨害したため、テレビの前に立ちはだかれ、肝心な所が見えないまま番組は終了し、次の番組が始まってしまう。
怒りで我を忘れたノイマンはテレビを千田に叩きつけ、千田に怪我を負わせ、テレビも壊してしまったことで懲罰房送りとなった。
こうして岩倉、吉岡、ノイマンの3人がそれぞれ懲罰房に収容され、施設では故障したテレビを前に落胆する者の姿があった。
【10巻(完)のまとめ】
義明は自分と瓜二つの巨大な化け物に捕まり、精神世界でボコールと対話するが、彼らの思想を拒絶。
救出に来た岩倉は、かつての友・トニーを思い出しながら、義明を守るため囮となる。
義明は岩倉のやられた姿を目の当たりにし、悲しみに暮れるが、その怒りで覚醒。
複眼を持つ異形へと変化し、ボコールを超える巨人を生み出して対抗する。
激闘の末、ボコールを討ち、坂上はその脳漿からワクチンを作成。
義明たちは岩倉を救出し、ワクチンが完成する。
それぞれが新たな道を歩み始め、時が流れ、やがて治療薬が普及して世界は平和を取り戻すのだった。
【10巻(完)の見どころ】
この巻の見どころは、義明とボコールの対峙、岩倉の犠牲、そして義明の覚醒にあります。
ボコールは義明の姿を模倣し、争いのない世界を作ろうと語りますが、義明はそれを拒絶。
捕らわれた彼を救った岩倉は、かつての友・トニーの面影を重ね、自己犠牲を決意します。
囮となった岩倉は瓦礫に埋もれ、義明は絶望。
しかし、その怒りが彼を覚醒させ、異形の巨人を生み出します。
ボコールとの死闘の末、義明は圧倒的な力で彼を討ち、ワクチンの完成へと繋がります。そして物語は新たな時代へ。

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