女性として教授に上り詰める野望をもつ加藤が天才外科医の朝田とオペ看のプロであるミキをスカウトし、バチスタチームの結成を目指す。
朝田はさっそく医局に染まり切っていない研修医である伊集院に目をつけ、強引ながら指導をしていく。
循環器内科のプロである藤吉も引き入れることに成功した。
常に患者のためにまっすぐで医局に問題を起こす朝田を野口教授が切り離そうとする一方で、その腕に惚れたERの鬼頭教授は朝田を手に入れようと画策する。
初回のバチスタへ臨み、なんとか成功させたものの、朝田がミキに越権行為となるグラフト採取をさせたことで波乱含みの結果となった。
それでも加藤がマスコミへのリークを盾に野口を説得し、バチスタチームは不問となる。
しかし偶然にも、ミキの兄にして朝田と因縁のある北日本大の軍司が加藤と同じ日にバチスタを成功させていたことが明らかになり、バチスタの論文レースが熱を帯びていく。
そんなある日、朝田と伊集院は野口の命令でERに応援行くこととなり、そこで麻酔のプロである荒瀬と出会った。
荒瀬は過去に多数の患者の命を奪いながら薬の適切な使用法を確立させた暗い過去をもち、それ以来ただ金のためだけに手術をし、論文絡みの手術を非常に嫌う男である。
稼いだ金も、自分の罪から逃げるために行きつけのバーで盛大に使って飲み潰れるだけ。
そんな荒瀬の過去を知った伊集院だが、その行きつけのバーの店員が重傷を負ったところに居合わせる。
荒瀬もすぐに応急処置を施すが、救急車のなかで出血多量のショック状態に。
身近な人の死から目を背ける荒瀬。
そして救急車が明真に到着し、朝田による緊急手術が始まる。
7巻のあらすじを振り返ってみましょう。以下ネタバレ注意です。
朝田と荒瀬のコンビネーション
明真についたが、30秒前に香は心停止していた。大脳がやられるまであと2分30秒。
止血が速かったおかげで心拍の蘇生も早かったが、出血量のわりに心停止までの時間が早すぎる。
朝田はすぐさま体内の異変を見抜き、鬼頭をヘルプに呼んだ。
無力さに打ちひしがれる伊集院は家族への説明、荒瀬は意を決して手術室に足を踏み入れる。
〈荒瀬も手術室へ [医龍 7巻](c)小学館/乃木坂太郎〉
この手術については、報酬などどうでもよかった。
朝田が開胸する。
弾丸は貫通はしていなかったが右心房に食い込んでおり、不整脈を引き起こさせていた。
弾丸の摘出に際して心臓を傷つければ、香は一生ペースメーカーが必要な身体になるかもしれない。
厄介な手術にもかかわらず、朝田は迷いなく手を進めていく。
朝田に触発されるように、荒瀬が自ら志願して麻酔担当に入った。
全身管理を荒瀬がみることで、朝田は術野に全力を投入できる。
〈朝田と荒瀬のコンビネーション [医龍 7巻](c)小学館/乃木坂太郎〉
2人のコンビネーションで心臓から綺麗に銃弾を取り除き、足の方も鬼頭が完璧な処置を施した。
荒瀬がバチスタチームへ加入
術後、朝田は再び荒瀬をバチスタの手術に誘う。
〈荒瀬がチームに加入 [医龍 7巻](c)小学館/乃木坂太郎〉
荒瀬は前回問題だらけだったバチスタ手術の録画を見て「朝田たちのバチスタが論文のためだけというではない」ことを確信し、チームへの加入を決めた。
医療ミスの隠ぺい事件が発覚
ある日、明真で患者の心臓に針を置き忘れてしまう医療ミスが発生した。
幸い、2か月たった今でも患者に異変は無く、すぐに再度手術すれば取り出せる。
後輩の児玉が起こしたこのミスを知った木原は、自ら再手術で後輩のしりぬぐいに臨むが、胸を開いても表面上は針が見当たらない。
くまなく探すのは危険と判断し、木原はそのまま胸を閉じて野口に報告。
〈医療ミスを隠ぺい [医龍 7巻](c)小学館/乃木坂太郎〉
外部への漏洩を懸念する野口に対し、木原は事実を隠ぺいして自分か児玉の診療日以外に患者を受信させないように誘導することを申し出る。
スタッフにも強く口止めをした木原。
児玉は朝田の力を借りることを提案するが、木原にとってはミキと仲のいい朝田に力を借りるなど言語道断。
木原はそのまま揉み消し、頃合いを見計らって再手術することを決める。
それでも木原に口止めされたスタッフが朝田にこのことを相談し、すべてを察した朝田は再手術を行うことを木原と児玉に連絡する。
朝田に文句をつける木原に対し、朝田は「技術のない外科医は、それだけで罪だ」と断罪した。
〈バッサリ切り捨てる朝田 [医龍 7巻](c)小学館/乃木坂太郎〉
自責の念に駆られる児玉は、自分がいた方が針が探しやすいと申し出て、朝田の再手術に立ち会うこととなった。
結局、医療ミスは正直に患者に伝えられ、ニュースでも報道されてしまう。
責任をすべて被った児玉は医師免許停止となり、二度と明真には戻らなかった。
児玉を最後まで守ろうとした木原は、自分が生活を支えている母を守るため、心を鬼にして児玉との関係を断つのだった。
2度目のバチスタ直前、野口から非情な通告が
加藤たちの2度目のバチスタが始まる。患者は最初に候補に挙がっていた16歳の少女。
この手術が成功すれば加藤の野望にまた一歩近づくが、野口がここで先手を打つ。
加藤を呼び出し、「医局の改革」を口実にし、自分の退官に伴う次の教授選挙で愛弟子である加藤を推薦しないことを告げたのである。
〈加藤のハシゴをはずした野口 [医龍 7巻](c)小学館/乃木坂太郎〉
選挙は建前上は公募制だが、教授選の立候補には学内の教授2名以上の推薦が必要である。
直属の教授である野口の推薦が取れなければ他の医局の教授から推薦がもらえるはずもなく、加藤は立候補すらできなくなるのである。
北日本大でのバチスタが既に3例目に入るほど早く、加藤がバチスタ論文レースで敗色濃厚と判断した結果だった。
手術の量よりも質で勝負、と言葉をひねり出す加藤。
事実上の死刑宣告を胸に2度目のバチスタに挑む。
論文の突破口を探して焦る加藤は「心臓の変性細胞の特定法の発見」を目指し必要のない検査を繰り返す。
そんな加藤に朝田は「野口は既に別の教授候補を見つけ、推薦の確約を与えたということだ」と現実を突きつける。
〈心折れかけの加藤 [医龍 7巻](c)小学館/乃木坂太郎〉
決意と共に望む2度目のバチスタ
心が折れかけの加藤をよそに、バチスタが始まった。
この手術が終われば、きっと全員バラバラになってしまう。
加藤はせめて将来のある伊集院は守ってやりたいと、ERに行くであろう朝田に伊集院を託す。
しかし朝田は「あんたが植えた芽だぜ」と返した。
今日のバチスタも心臓を停止しないまま行う。
指先の感触で心臓の変性部位を特定し、加藤と伊集院に教える朝田。
加藤にはわからなかったが、伊集院にはその違いに一瞬だけ違和感を覚える。
確かに、若い芽が育っていることの証拠だった。
〈若い芽の成長を感じる加藤 [医龍 7巻](c)小学館/乃木坂太郎〉
朝田や藤吉から鍛えられ力をつけた伊集院は、以前とは別人のようだ。
教授に集中していた権力を解体し、「臨床」「教育」「研究」の三分野に独立した組織をつくる改革を目指いしていた加藤にとって、いまのチームは理想的である。
朝田の臨床、藤吉の教育、そして自分の研究が伊集院という芽を育てたのである。
自分よりもチームの今後を守ることに集中し始めた加藤は、伊集院に少しでも経験を積ませることを決意する。
〈チームを守ることを決意した加藤 [医龍 7巻](c)小学館/乃木坂太郎〉
朝田の神がかり的な技術がチームを刺激しながら、無事に手術は成功した。
術後。加藤は野口の政敵である祖父江に接触し、「野口教授は医局を改革なさるつもりですよ」と吹き込む。
加藤にとってチームの生き残りを賭けた戦いが始まったのであった。
【7巻のまとめ】
朝田と鬼頭・荒瀬の見事な処置により、バーテンダーの香は一命をとりとめた。
そのまま荒瀬はバチスタチームに加入する。
2度目のバチスタへ進む加藤たちだったが、北日本大の軍司のバチスタの方が症例の進みが早く、野口は加藤を見限ることを通告する。
自らの野望は潰えても、伊集院という若い芽や自分の作り上げた理想的なチームを守るため、2度目のバチスタを成功させた加藤はチームの生き残りを賭けて戦うことを決意するのだった。
次巻へ続きます。
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