演奏を辞めてしまった天才ピアニストの有馬公生と自由に演奏を楽しむヴァイオリニストの宮園かをりが友人の紹介の付き添いという形で出会いを果たす
しかし公生は母親の死がきっかけでピアノを辞め、ピアノの音色が聴こえなくなる症状に悩まされていた。
そんな公生の悩みをよそに、かをりは次のコンクールの伴奏に公生を指名。
ピアノの演奏を恐れていた公生だが、かをりに手を引かれてコンクールに出場することになった。
公生はピアノの音色が聴こえずに一度は演奏を止めてしまうが、かをりに背中を押され、観客を感動させる演奏を披露した。
もうピアノを弾かないと思っていた公生だったが、自分の音楽が届いた瞬間を忘れることができず、もう一度、演奏家として歩みだすことを決意したのであった。
3巻のあらすじを振り返ってみましょう。
ピアノに打ち込む公生
川に飛び込んだ公生とかをりは、服を乾かすために公生の自宅へ。
そこでかをりはホコリを被ったグランドピアノを見つけ涙を流す。
窓の外には隣の家に住む公生の幼馴染の椿の姿が。
椿は公生とかをりの姿を見て複雑な心境になる。
翌日から公生はコンクール出場に向けて1人練習を始めた。
課題曲のショパンを自分はどう弾きたいのかー。
かをりに聞かれたその答えを探しながら、学校や自宅でピアノにのめり込む。
一方、椿は公生がまたピアノを弾きはじめたことが嬉しいと思う反面、食事や睡眠を削ってまでピアノに打ち込む姿が心配になっていた。
いつも一緒にいたはずなのに、いつの間にか遠くに行ってしまうのではないか。
その想いから目を背けるように、椿は学校の先輩からの告白を受けて付き合うことに。
椿の心配の言葉を聞いて、かをりは公生を苦しい世界に連れてきてしまったのではないかと不安になってしまい、公生に自分を恨んでいるか問いかける。
そんなかをりに公生は「ありがとう」と言った。
公生の心は、かをりと出会ったあの日からカラフルに色づき始めていたのであった。
椿の想い
公生は悩んでいた。
譜面通りの演奏ができたとしても、自分の表現がどこにもないように感じてしまう。
かをりはそんな公生を連れて椿のソフトボールの試合を見に行くことに。
打席に立つ椿。視線の先には公生。そして隣にはかをりもいる。
椿は相手の投げる球を見事に打ち返した。
公生のそばにはいつも自分がいたはずなのに、私ではなくかをりが隣にいる。そんなのは嫌だ。でもこんなことを思う資格は自分にはない。それでも嫌なものは嫌。
複雑な気持ちを振り払うかのように全力疾走する椿。
だがその想いも虚しく、椿はアウトを取られてしまい、そのまま試合にも負けてしまった。
帰り道、椿が歩いていると公生が待っていた。
公生が椿の足を小突くと椿は全力で悲鳴をあげた。足を捻挫していたからだ。
椿をおんぶする公生。小さい頃は椿がおんぶしていたのに今では真逆だ。
公生が椿を気遣いながら、自分の姿を元気な椿に見てて欲しいと言うと、椿の心のモヤも晴れていく。
椿と公生には音楽がなくても小さなときからのたくさんの思い出があることに気づいた。
と、いろいろな感情が込みあげた椿は公生の背中でたくさん泣いた。
公生はただ黙って聞いてあげるのであった。
公生を苦しめる母の影
ある日の体育の時間。公生が倒れて保健室に運ばれていった。
練習に没頭し過ぎて食事を摂っていなかったからだ。
心配して駆けつけたかをりは呆れてしまう。
2人で帰っていると目の前に一匹の黒猫が現れ、公生はその猫を見て気持ち悪くなってしまった。
公生は昔、猫を飼っていたが、猫がピアニストにとって重要な財産である公生の手を傷つけてしまうと、それを見た怒った母親が猫を捨ててしまうトラウマがあった。
公生はずっと母親の影の中で操り人形として育ってきた。
言われた通りにやる機械で、ピアノを弾いても「あいつじゃなくてもいいじゃん」と言われてきた。
だが、かをりは公生を操り人形ではなく1人の演奏家として認め、ありったけの君で真摯に弾けばいいとアドバイス。
その言葉で公生は少し吹っ切れたようだった。
まだピアノの音は聴こえない公生。
だが音楽の力を信じるというかをりの言葉を受け、自分も信じてみようと思うと決意するのであった。
公生のコンクール、ライバルたちとの再会
コンクール当日。
公生が会場に到着すると、2人の男女が待ち構えていた。相座武士と井川絵美だ。
武士と絵美は小学生時代からピアノのコンクールで上位に食い込む実力者だった。
だがどんなに頑張っても1位を取ることができなかった。1位はいつでも有馬公生だったからだ。
ずっと姿を消していた公生がついにコンクールに現れた。
リベンジに燃える武士と絵美。だが公生は2人のことをまるで覚えていなかった。
自分のことを一切覚えていないことに憤りを感じる武士。
だがその怒りをエネルギーに変え、強い意思でコンクールのステージに向かっていく。
武士は前回の毎報音楽コンクールのチャンピオンだった。
海外のコンクールからの招待もあったが、それでも公生が出場するかもしれないからと、今回も毎報音楽コンクールに出場すると決めていた。
そしてついに公生が現れた。
ずっと目標だった公生に追いつけるように武士は努力を続けていた。
待ち続けた2年間の想いをぶつけ、ピアノを通じて公生に訴えかける。
「次はお前の番だ」
武士が完璧な演奏を披露すると、公生の胸に熱いものが込み上げていくのだった。
【3巻のまとめ】
自分を表現するような演奏ができずに悩む公生だが、かをりとの交流を通じて前を向く。
一方、幼馴染の椿は公生がピアノにのめり込む姿が心配になり、遠くへ行ってしまうんじゃないかと不安になっていた。
そして迎えたコンクールでは幼いころからのライバルの相座武士と井川絵美と再会。
まず公生を憧れの対象として強く意識してきた武士が見事な演奏を披露し、それに触発されるように公生の旨にも熱いものが込みあげるのだった。
次巻へ続きます。
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参考トラウマを抱える天才ピアニストの少年と薄幸の天才ヴァイオリニストの少女の共鳴と成長、涙なしには読めない青春ストーリー『四月は君の噓』全11巻【ネタバレ注意】
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