若き書道家の半田清舟は、自作を酷評されたことに腹を立て書道展示館の館長を感情に任せて殴りつけてしまい、見かねた父によって自然豊かな五島へ左遷されてきた。
自分の家は村の子供たちである琴石なるや美和、タマなどの溜まり場と化しており、都会とは全く違う村の生活に振り回されることとなる。
なるの底なしの明るさや村人たちとの関わりによって少しずつ気持ちに整理をつけながら、自分を見つめなおすためのド田舎ライフが始まった。
島での生活に慣れ始めたある日、親友で画商の川藤が清舟に憧れる若き書道家の神崎と清舟を引き合わせ、成長やスランプからの脱却を促す。
村人たちとはすっかり打ち解け、なるとは家族同然のような絆が芽生え始めるなか、裏山で遭難しかけた際に新たなインスピレーションが沸いた清舟は、書展に出展する作品「星」を描き上げた。
清舟が単純に書展への出品と実家に荷物を取りに行くために一時的に帰っただけであり、人間としての成長を見せて書展の館長と和解を果たした清舟。
しかし書展の本番に向けては別の作品が必要となってしまい、館長からの期待のハードルが上がるなか、どうにか納得のいく作品を描き上げる。
結果は入賞圏外であったが、それは自分にとって一番大切に思っている村人たちの名前を描いた作品であり、村人たちの名前に合わせて「清舟」と自分の署名も書かれていた。
秋には清舟は村人の一員として体育祭の年齢別リレーに出場し、隣村に引っ越してきた同年代の東野から一方的にライバル視されてしまう。
そんなある日、清舟の父で著名な書道家の清明とメンヘラ気質の母・えみ、川藤、そして清明のマネジャーを務める川藤の父・桐恵の4人が島へやってきた。
父の書道家としての凄さを間近で感じた清舟は、館長の孫とのお見合い話を断りつつ島に残る意思を固める。
そしてクリスマスイブにはなるの父・優一郎が島へ帰ってきた。
タンカーの船員という仕事柄、ほとんど出ずっぱりでなるにも認識してもらえていない優一郎は、自分から距離を置いて正体を明かさずになるを見守るだけ。
一方、薄々気づいていたなるは父親が傍にいない寂しさを抱えており、清舟はなるを支えながら自分に何ができるか考えた末、優一郎からなるに定期的に手紙を出してはどうかと提案する。
そして新年を迎え、桐恵のもとでの仕事で縁談の相手だったお嬢と出会い、はじめは気まずかったものの次第にお嬢の恋心が再燃していく一方、清舟は間近で父の仕事を見ながら今後について考える。
悩んだ末に清舟は一人の書道家として父を手伝うよりも、島で書道教室を開ながら子供たちの「先生」として生きていくことを決意。
独り立ちを機に家賃の支払いも自腹になってしまい、行き詰ってしまう清舟だが、川藤が1人の友人として全力で手助けに入り、書道教室の形が整っていく。
書道教室への勧誘が順調である一方、清舟は清明に触発されて書道へのやる気が再燃。
村ではヒロシが卒業を迎え、村人たちに見送られながら東京へと旅立っていった。
ヒロシロスが村を包むなか、清舟は自分がヒロシの代わりになろうと金髪に染め上げる。
ヒロシの物真似によって多少はロスが和らぐが、中身まで成り代われるはずもない。
すっかり村の一員となった清舟は、次第に自分は自分として受け止め、黒髪に戻すのであった。
18巻のあらすじを振り返ってみましょう。
新しい春を迎える
4月になり、学年が1つ上がった子供たち。
なるたちは2年生になり、新しいクラスにテンションが上がる。
しかし待ち望んだ新1年生はおらず、学校で最低学年のまま。
一方、清舟も書道教室で年次に沿ったテキストでの練習を取り入れ、子供たちに昇級を目標に教えていく。
子供たちの上達を心から喜ぶ清舟。
人に教えることや子供たちが上達していくことこそが清舟のやりたいことなのであった。
自分の道を見つけた神崎
神崎はクセの強い書道の先生としてTVタレントの道を歩み始めた。
そのことを清舟にどう知らせるか悩みつつ、嫉妬や悔しさを爆発させないようにやんわりと伝えに行った美和とタマだが、清舟はそれどころではない様子。
清舟は子供たちの昇級がかかった作品の提出期限を間違えており、すぐにでも追い込みをかけなければと焦っていたのである。
どさくさに紛れて神崎のTVデビューを知らされた清舟は、意外と凹むことなく、むしろ神崎が自分の道を見つけたことを応援するのであった。
タマが漫画賞の佳作を受賞
また漫画賞に応募したタマは、佳作を受賞した。
内容は清舟となるをモチーフにしたキャラの日常系であり、ネタの宝庫である身内を食い物にするスタイル。
島の子供たちが見れば元ネタも明らかでからかわれるが、タマはこの漫画を好きと言ってくれる弟やファンのために漫画家として頑張ることを胸に誓う。
そして元ネタにされた清舟は、キャラのモチーフは美和だと勘違い。
自分がネタにされている自覚はまるでないのであった。
誕生日、人としての成長を見せる清舟
清舟の誕生日を祝うため、それぞれ思い思いのプレゼントを用意したなるたち。
しかし清舟は子供たちの顔を見るや締め切りに追われる作品の提出のため、自分の誕生日そっちのけで追い込みをかけようとする。
清舟は子供たちのモチベーションとなるように実績を作ってやりたいという親心から急かしていたが、子供たちからすれば習字をしているのは清舟のため。
自分が子供たちの為を思ってやっていたことがただの押し付けだったと知った清舟は気を落とすが、子供たちが自分を喜ばせようとしてくれていたことを受け止めて反省。
子供たちに謝罪する成長を見せて仲直りし、昇級試験に間に合わない分は試験を見送ることにした。
また、時を同じくしてなるの父・優一郎から清舟に小包が届く。
中身は携帯電話であり、清舟は自分への誕生日プレゼントかとぬか喜びするが、それはいつでも連絡が取れるようになるに向けて送られたものなのだった。
父親との絆を深めるなると美和
携帯電話をもらったなるだが、自分から父に電話するのは気恥ずかしいらしく、まだ一度も通話できていない。
他方、酒店を閉じた巌は優一郎の口利きで同じタンカーの船員として働くことが決まり、美和は父親が長期に渡って不在になることについて色々と寂しい思いを抱える。
優一郎に船員の仕事について聞くため、美和はなるの携帯を借りて優一郎に電話。
美和のおかげでようやくなるも優一郎と電話することができ、親子の絆が少し深まる。
また美和も父親の仕事に理解を示し、いずれ自分が酒店を復活させるために勉強にも励みながら、父親不在の家を守る決意を固めるのであった。
いつも通りの充実した1日
いつも通りの一日として、朝ご飯をもらい、学校に行く子供たちを見送りつつ午前は書道に勤しむ清舟。
東野の農作業の騒音と闘いながら昼食は郷長の奥さんの差し入れをいただき、昼寝。
そうこうしているうちに学校を終えたなるたちが立ち寄り、1年生歓迎会への招待状を手渡される。
そのまま子供たちの習字を見て、夕食は郷長の家でご馳走に。
そのあとは教頭に誘われて釣りへと出かけ、釣った魚は村人たちへお裾分け。
すっかり夜になったら風呂に入ってだらだらし、就寝。
今日も充実した一日を過ごすのであった。
1年生歓迎会
分校の1年生歓迎会に招待された清舟。
しかし分校に新入生はいないため、代わりに清舟が「一年先生」として歓迎され、歓迎と称して子供たちや村人たちにイジリ倒されることとなる。
自分が村に出来るお返しはこれぐらいしかないと感じていた清舟だが、そんな清舟に郷長は見返りを求めない関係を説いた。
厚意は快く受け取るだけでよく、それでもお返しがしたければその時できることを、必要とする人にしてあげればいい。
その姿勢を学んだ清舟は、歓迎会のメインイベントとしてなるたちから真っ白で大きな紙と筆を渡される。
子供たちからのプレゼントとして、好きな字を書く場を提供された清舟は、久々に自分の思うがままに、「楽」という字を描きあげた。
清舟は完全にこの村に根をおろし、充実した日々を送るのであった。
【18巻のまとめ】
新しい春を迎え、人としての成長を見せた清舟。
清舟は完全にこの村に根をおろし、充実した日々を送るのであった。
いったんメインストーリーはこの巻で完結しましたが、次巻もあります。
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