ブラフや不意打ち、奇襲を駆使してルールのない喧嘩に勝ち続けてきた高校生の佐藤 十兵衛は、ある日ヤクザに雇われた”喧嘩師”工藤に狙われることになる。
いつも通りブラフや不意打ち、奇襲を駆使して撃退しようとする十兵衛だが、人並み外れたパワーとタフネスを持つ工藤に追い詰められ、失禁しながら命乞いをする屈辱の敗北を喫した。
工藤へのリベンジを胸に誓う十兵衛は古武術富田流の師匠・入江文学のもとで本格的に修行に入り、富田流の奥義「金剛」「無極」を習得し、さらに進藤塾の開祖・山本 陸や数々の男気溢れる武勇伝を持つ「喧嘩王」上杉 均を始め、進藤塾の中でも極秘扱いとされる秘技「煉獄」も盗み出す。
プロモーターに自分を売り込むことに成功した十兵衛は、勝てば工藤の居場所を教えてもらうことを条件に大晦日の総合格闘技イベントに出場し、柔道オリンピック金メダリストの金田との死闘を制した。
金田は高校生に敗れたことで総合格闘家としての道が閉ざされ、また十兵衛が全国放送で煉獄を出したことは進藤塾の関係者達にも衝撃を与える結果になった。
他方、父・無一を殺されたことで進藤塾出身の田島に激しい復讐心を燃やし続ける文学。
かつて無一は富田流の当主として山本 陸と決闘することとなったが、その直前にが山本 陸を襲い左目を負傷、それを勘違いした上杉がが陸の息子である海を引き連れて無一のもとに乗り込み、その後無一は田島との決闘に敗れ、それが原因で命を落とした因縁があった。
その田島はラスベガスでボクシングのヘビー級王者統一戦に勝利して名声と巨額のファイトマネーを得ることに成功し、最強の格闘技を決める「陰陽トーナメント」の開催を宣言。
文学や工藤ら16人に多額の優勝賞金及び自分と戦う権利を賭けて戦わせることとなり、事情が変わって工藤は板垣組に守られる存在となったことから、十兵衛は工藤との再戦の機会をどう実現するかを考え始める。
文学が父の仇である田島との戦いを目指して意気込む一方、父が富田流との決闘に敗北して命を落とした因縁を持つ梶原は、父の無念を晴らすため富田流への復讐を誓っているのだった。
陰陽トーナメントの1回戦のカードが発表される。
第1試合では父を自殺に追いやった富田流を恨み、自身も返り討ちに会って左手首を文学に斬り落とされた梶原が工藤と激突。
第2試合では兄の睦夫と同様に父の幻覚と悪夢に悩まされる徳夫は石橋と対戦することに。
第3試合では田島がアンダーグラウンドから引き抜いた伝説の格闘士・桜井と文学が対戦。
第4試合では無敗の大横綱・金隆山 康隆と最強のキックボクサー・川口 夢斗が対戦。
第5試合では進藤塾を背負う「喧嘩王」上杉 均と余命短い合気道のレジェンド・芝原 剛盛が激突することになる。
他方、陰陽トーナメントにはミスタープロレス生野を全身麻痺に追いやった空気の読めない元プロレスラー・反町 隆広も参戦が決まったのだった。
最終巻のあらすじを振り返ってみましょう。以下ネタバレ注意です。
目次
亡き父の姿を求めて暴走を始める佐川 睦夫
田島からの陰陽トーナメントへの招待状は佐川 睦夫のもとにも届いた。
父をその手で殺したことを認識してはいるものの、精神を病んでいる睦夫もまた自分を厳しく叱咤してくれる父の幻影を求めていた。
ちょうど時を同じくして、睦夫と同級生にして進藤塾出身の菅野 祐太郎という男は周囲や妻に暴力を振るい、妻を助けるために隔離した義両親を逆恨みしていた。
妻を連れ帰る為に義両親を殺そうと考える菅野は、偶然にもその行く手を睦夫に遮られる。
義両親から雇われた男と勘違いした菅野と、菅野を父と錯覚した睦夫が戦闘となり、睦夫は自作のスタンガンで菅野を気絶させて拉致していく。
自宅の地下室に菅野を監禁する睦夫、その目的は記憶を失くして菅野のフリをしている父を元に戻すこと。
年明けまでの5か月間睦夫が鍛錬し、元旦に決闘したときに結果を出すのが条件、弱いままなら殺すというのが睦夫の出したルール。
睦夫の暴力的な支配下に置かれた菅野は、5か月の間死ぬ気で強くなることを強要されるのだった。
見つけた父の代わり
鍛錬の傍ら、自分の置かれた状況や脱出するための作戦を冷静に練る菅野。
幼少の頃から磨いた進藤塾空手に磨きをかけつつ、筋肉増強剤を注文、さらに組手の相手を務める睦夫に自分の攻撃パターンを刷り込んでいく。
本番ではそのパターンをフェイントにしたブラジリアンキックで倒すことを決め、準備を整えて運命の決闘の日、元旦を迎えた。
暗い部屋の中で決闘に入った菅野は、ナイフを使う相手を物ともせずブラジリアンキックでダウンを奪い、マウントポジションから憎しみを込めて何度も殴打する。
しかし電気が点灯すると、殴っていたのは睦夫ではなく、自分と同じように5か月間監禁されていたもう一人の別の男だった。
菅野を父と認識した睦夫が菅野を襲い、かつて自分を見捨てたことへの恨みを込めて菅野をボコボコににする睦夫。
生きのびるために菅野は父のフリをして謝罪の言葉を口にし、佐川 雅夫として振る舞う奇妙な生活が始まるのだった。
柔道界のレジェンド・関が睦夫と対戦へ
国民栄誉賞を受賞した柔道界の英雄・関 修一郎は、同窓会で村井 虎四郎や友人たちから陰陽トーナメント出場を応援される。
村井に当日のセコンドを頼み、友人たちからの期待を背に戦う覚悟を固める関。
1回戦第6試合で、関は佐川 睦夫と激突することになるのだった。
二重人格の召琳寺拳法家・三代川は反町と対戦
召琳寺拳法からの出場者を決めるため、三代川 祐介と五味 勘助が決闘を行うことに。
実力は五味の方が上かと思われたが、二重人格を抱える三代川は祖父からの教えである般若心経を心の中で唱えると、別の人格として亡き父・清太が発現する。
もとの人格とは体さばきも腕力もまるで異なり、投げ技からの踏みつけで五味をあっという間に倒した三代川。
人格が変われば戦い方も変わる三代川が、1回戦第7試合で反町とぶつかるのであった。
生野のシナリオによって復活を遂げた最強のプロレスラー・カブト
反町に頸椎をねじ折られ全身麻痺からのリハビリに励むミスタープロレス・生野は、8年かけて徐々に回復し、車いすに乗れるようになった。
大衆の心をプロレスに向けるために自分のリハビリすら利用する生野は、国民感情を誘導しつつ服役中のカブトのことを口にし、少しずつカブトへの同情を集めていく。
そして自身は人気を利用して政界への進出を宣言し、政治家とのパイプを作ってカブトの仮釈放の根回しをする。
生野が描いたシナリオによって、カブトは多くのファンに出迎えられながら15年ぶりに刑務所の外へと出てきた。
こうして今、最強のプロレスラーが復活を遂げたのだった。
「拳聖」里見がカブトと激突
”拳聖”里見 賢治に道場破りを仕掛けられた山本 空(※17巻参照)は、門下生に目を背けさせたうえで秘技・煉獄を解禁する。
しかし空の未熟な煉獄はすべて里見に防御され、通用しない。
里見は逆に門下生たちの環視のなか、玉拳の奥義である「門」という技を披露。
投げと発勁を組み合わせた防御不能の奥義によって空は倒され、玉拳の虜にしてみせた。
かつて山本 陸からの勝負から逃げたのに最強を名乗る田島を倒すため、陰陽トーナメントへの出場を受けた里見。
1回戦第8試合でカブトと戦うことになるのだった。
石橋の出場枠強奪を狙う十兵衛
これで陰陽トーナメントの出場者16人の組み合わせが決定した。
田島の会見を見届けた十兵衛は、工藤と公式で戦うために自分も陰陽トーナメントに出場することを決意する。
狙うのは石橋 強を倒してその枠を奪うこと。
石橋がデビル塚山や高野を襲ったように決闘を持ち掛け、倒すことで強さを証明して出場枠を勝ち取るというものである。
しかしプロボクサーを相手に大振りのパンチである金剛は当てるのは容易ではなく、かといて無類のタフネスを誇る石橋は金剛以外で倒すのは困難な状況。
それでも、何度倒しても立ち上がってくる工藤との戦いを想定する十兵衛は、石橋に勝つ方法を考え出しているのであった。
【24巻(完)のまとめ】
第6試合は精神を病んだ軍隊格闘家・佐川 睦夫と柔道界のレジェンド・関が激突。
第7試合は二重人格の召琳寺拳法家・三代川 祐介が空気の読めない総合格闘家・反町 隆広とぶつかる。
そして第8試合では「拳聖」里見 賢治と復活を遂げた最強のプロレスラー・カブトが激突。
16人の出場者と組み合わせが出揃ったなか、工藤との再戦を狙う十兵衛は石橋を決闘で倒して出場枠を奪うことを考える。
石橋との決闘をどう実現させるか、そして高い防御力を持つ石橋にどう勝つか、十兵衛は策を練り始めているのであった。
次シリーズへ続きます。
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