生きる義務を放棄し、自殺を繰り返す「常習指定者」たちが送られる島、通称「自殺島」。
主人公のセイは自殺未遂の末、病院のベッドからこの島へと送り込まれた。
そこに待っていたのはセイと同じ自殺未遂者達。
死ねなければ生きるしかないサバイバルが始まり、グループで協力して生活のサイクルができるなか、冬に備えてセイは自分の力で生きるため、1人で山に入り鹿を追うことに。
弓を作り、思考錯誤で挑戦した狩りで鹿を仕留めたセイは、命への感謝の気持ちが内側から湧き上がり、数多の命の上に立ってこの島で生き抜く強い意志を固めた。
さらにこの島に先住している男に出会ったセイは、鹿の肉と引き換えに肉の保存の仕方など生活の知恵と共に1匹の子犬を譲り受け、その子犬「イキル」を猟犬として共に狩りを続け、さらに新たな「リヴ」という名前で前向きに生きることを決意した彼女とも急接近。
そして結束を深めだしたセイだが、サワダという暴君が支配する別のグループから逃げてきたという売春婦のナオを迎え入れたことでサワダに目をつけられることとなり、争いの火種が生まれ、次第に衝突することとなる。
さらに皆を引っ張ってきたカイが裏では弱った者に寄り添いながら死へと誘惑していることが明らかとなり、カイを追放することで一時的に平和な生活が戻ったものの、カイはセイたちのグループの内情をネタにサワダに取り入ろうとする。
そしてサワダ派との争いが激化し、最初の戦いは退けることに成功するが、殺し合いに否定的なリョウは強硬派のリュウにリーダーの座を譲ることに。
いよいよ本格的な戦いの幕が上がり、強硬派のリュウが皆を引っ張るが、しびれを切らしたサワダはカイに隊を指揮させることに。
隊を率いて奇襲をかけたカイはトモを拉致して連れ帰ることに成功。
それを知ったセイはすぐさま奪還に向けて動くことを決意し、死んでもリヴを守ることを覚悟しながら出発するのであった。
11巻のあらすじを振り返ってみましょう。以下ネタバレ注意です。
トモの救出作戦は失敗
トモの中身が女性だと見抜くとサワダは女性として抱き、ここでならありのまま女性として生きられると吹き込む。
サワダに対して敵意を抱いていたトモだったが、自分にとって念願だった女性としての人生を手に入れられるとあり、葛藤することに。
そんななか、トモの救出を急ぐセイたちは見張りの男を静かに制圧し、セイとリヴがあえて罠の張られた山からサワダの集落へ接近。
セイとリヴが罠を慎重に解除し、火のついた矢を集落の家に放ったことで奇襲が始まった。
パニックが起こるなか、リョウがサワダの屋敷にいたトモを発見。
しかしトモは「僕は帰れない」と告げ、迷いながらもサワダのもとに自ら留まることを選択してしまう。
セイとリヴが建物の屋上から弓で優位を作り出していたものの、トモの救出は失敗。
帰れないという言葉から、意志に反して帰れなくなるような事をされた、と推察され、セイはその日初めてサワダに対して強い殺意を抱いたのであった。
セイとリヴがグループから離れることに
無闇な殺生をしないため、あえて矢じりを小さくして矢の殺傷能力を落とし、トモの救出を考えるセイ。
他方、ミノルたち農業班のおかげで稲作やバターなど生活はさらに豊かになりつつあったが、トモを助けるために戦う意志がないことにセイは落胆する。
農業班にとってら人よりも自然こそが戦う相手であり、彼らの主張も一理あるが、セイはどうしても友人であるトモを見捨てることに納得できなかった。
助けに行くことて新たな争いを生んでしまうのではないか、トモはそもそも帰りたいと思っているのか、わからないことばかりで悩むなか、セイはさらにサワダからのお仕置きを恐れて投降した見張りの男からの言葉にショックを受ける。
サワダ派だった彼から見れば、ナオを拐った上に弓で人を射るなど脅し戦いをけしかけてきたセイこそが悪だというのである。
自分もサワダと同じ、暴力と恐怖で相手にいうことを聞かせようとしていたことに気付き動揺するセイ。
リヴはセイが武器を取ったのはあくまで危機に陥った仲間を守るためだけであり、サワダとは違うと言葉をかけ、セイはある決意を固める。
それは、リヴと2人でこの集落を離れて生活するというもの。
戦いたくない者が大勢いて多数決のなかで生活することよりも、セイは自分の確固たる意志を貫くために自ら出ていくことを宣言し、リョウもセイの決意を後押しした。
対立や追放ではなく、あくまで引っ越し程度のもの。
仲間たちから見送られ、セイとリヴは新たな門出を迎える。
その表情は強い意志と希望に満ちあふれ、自殺未遂を繰り返していた頃の自分はもはやどこにもいないのであった。
新しい棲みか
セイとリヴ、山の中で2人きりの生活が始まる。
島の反対側を目指して山の中を進み、そこで無人の民家を発見。
家はさほど傷んでいないどころか、最近まで人が生活していたと思えるほど様々な生活物資を手に入れる幸運に恵まれ、狩りや漁をしながら、ここに根をおろすのであった。
【11巻のまとめ】
トモを救出しにサワダの集落を襲うセイたちだったが、女性としての生活が手に入ることを知ってしまったトモはサワダの傍に留まってしまい、救出は失敗。
どうしてもトモを助けたいセイは、グループの多数が戦いを望んでいない状況でも自らの意志を貫き通し、リヴと2人で独立することにする。
セイとリヴは島の反対側で無人の民家を発見し、そこで2人きりで生活し始めるのであった。
次巻へ続きます。
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