一ツ兜に認められ、新品のツナギや豪華な食事が振る舞われる中、妬んだ収容者たちの襲撃を受ける。
一同が窮地に追い込まれるが、陸の圧倒的な力によって窮地を脱する。
俊敏な動きで収容者たちを返り討ちにした暴走した陸が、笠原や義明たちを襲うが、直後に倒れ込み動けなくなる。
ノイマンは陸が頂点の男に操られていたと推測し、口のテープを再び貼ることで暴走を解除したと説明する。
一方で、頂点の男の異常な能力や感染者が出ていない状況に疑問を抱いていた。
義明たちは一ツ兜に状況を報告し、頂点の男の調査を開始する。
ノイマンは、頂点の男が黒魔術の司祭「ボコール」に似た存在で、生きる屍を操る能力を持つと推測する。
さらに調査を進めた結果、頂点の男は驚異的な治癒力や衝撃波を放つ能力、複眼を持つ異形の存在であることが判明。
体には予防接種の痕跡と手術痕があり、最近まで普通の人間だった可能性が示唆され、ノイマンは彼を新人類と結論付けた。
キョージン兄弟は反省房で拘束された頂点の男を発見し、顔の拘束具を外してしまう。
その直後、巨大な化け物山が施設に侵入してくる。
一ツ兜の指示のもと、収容者たちが臨戦態勢を整え、戦う準備を始めるのだった。
反省房でボコールが逃げたことを知ったノイマン達に、膨れ上がったボコールが襲いかかる。
衝撃波に襲われ倒れる中、ボコールが義明に迫る。
だが、一ツ兜が義明を守りつつ隙を作り、義明が銃でボコールの顔面を撃ち抜いた。
5巻のあらすじを振り返ってみましょう。
目次
決着の瞬間、襲いくる再生の恐怖
義明はボコールの頭を撃ち抜いた後も攻撃をやめなかった。
これまでの怒りと憤りをぶつけるかのように、引き金を引き続け、弾切れになるまで銃撃を浴びせた。
ボコールを倒した事で化け物山は崩れ、周囲の化け物たちの動きも通常の状態に戻った。
安堵する一同だったが、ボコールが驚異の回復力で再生を始め、逃走を図る。
一同は再生を続けるボコールを追いかけた。
ノイマンはボコールに頭部が生えかけている事に気づく。
このまま再生を許せば化け物山も再び復活し、自分たちが飲み込まれると危惧する。
ボコールは施設の窓から飛び降り、再生のための時間稼ぎを目的に側溝を目指して逃げ続ける。
しかし、間一髪で義明たちが追いつき、ボコールを引きずり出すことに成功した。
義明は刃物を手に取り、ボコールの頭部を首から切断。
頭部を拾い上げ、今度こそ動きが止まったことを確認する。
ようやく脅威を取り除いたと安堵する一同。
しかし、次の瞬間、持ち上げられたボコールの頭部が動き出し、義明の指に噛みつき、その一部を噛みちぎったのだった。
逃亡と追跡、迫りくる恐怖
義明は噛まれた指の痛みと絶望に声を上げた。
岩倉が応急処置を試みる中、ノイマンは感染の可能性を指摘する。
その一方で、ボコールの頭部は噛みちぎった義明の指を満足げに飲み込む。
その表情を見たノイマンは戦慄し、もしボコールが義明にウィルスを感染させようとしていたのだとしたら、これまでの行動にも合点がいくと推測する。
吉岡がボコールの頭部を刃物で一刀両断にすると、義明が「このまま化け物になるのか」とノイマンに尋ねた。
ノイマンはそれを肯定し、一同に衝撃が走る。
助けを求める義明だったが、岩倉は冷徹に刃物を義明へ向けた。
その光景を目にした義明は自らが殺されると直感し、その場を飛び出して逃げ出す。
逃走中、偶然にもキョージン兄弟と遭遇した義明。
しかし、手から大量に流れる血を見た兄弟に感染を疑われ、襲われることとなる。
何とか間一髪で攻撃をかわし再び逃走する義明。
しかし、その情報はすぐに収容者たちの間にも広まり、大勢から追いかけられる事態に陥る。
自分は人間だという確信がありながら、化け物扱いされ、命を狙われる恐怖に怯えながら走り続けた。
必死に逃げる中、義明は偶然にも自分たちの部屋に辿り着く。
中に入ると、そこには既に仲間たちが待ち構えていた。
義明は再び逃げ出そうとするが、吉岡に押さえつけられる。
岩倉が刃物を振りかざし、義明に向かって深々と切り込む。
床に飛び散る血の跡は、凄惨な光景を物語っていた。
感染の恐怖と謎に包まれた夜
義明は気を失っていた。右肘から先は切断され、包帯が巻かれ応急処置が施されている。
その様子を見て、ひとまず安心と安堵する岩倉。
一方で、吉岡の手には義明を押さえつけた際にできたと思われる掴まれた痣が残っていた。
その力の強さに驚き、異常な事態が進行していたことを痛感する。
義明の腕を切断する直前、ノイマンは義明に叫んでいた。
「今噛まれた患部を切り離せば感染しない可能性がある」と。
ボコールが自らの舌を噛み切り、大量の血を飲ませようとしていたことを考慮し、ノイマンはボコールのウィルスの感染力が極めて弱いのではないかと推測していた。
それでも油断できない状況に、一同は緊張を隠せなかった。
その時、騒ぎを聞きつけたキョージン兄弟の恭一が部屋を訪れる。
部屋の中を見せろと要求するが、吉岡はこれを断固拒否。
引き下がらない恭一を見かねて、岩倉が部屋への立ち入りを許可する。
部屋に入った恭一だったが、何事もなかったかのように無言で部屋を出て行く。
外で待つ他の収容者たちに尋ねられても、何もなかったの一点張りだった。
無理もない。恭一は部屋に入った途端、岩倉にバズーカのような兵器を向けられ、脅されていたのだ。
恐怖に震えながらも沈黙を保つ恭一の姿が、一同の疑念を鎮めることとなった。
一方、岩倉は執拗に義明が狙われた理由について疑問を抱いていた。
ノイマンはレセプター細胞を例に挙げ、ボコールの持つウィルスは義明にしか感染しない可能性を推測する。
その理論に、義明が標的にされた理由の一端が見え隠れするものの、真相は依然として不明だった。
その夜、義明はうなされていた。
夢と現実との狭間で、もがき苦しんでいるようだった。
義明は夢を見ていた。
それは小学校の通学路だった。
当時の小学生だった自分を俯瞰する視点で眺めていた義明。
ふと、知らない男性に付いて行きそうになる過去の自分を必死に止めようとするが、その声は届かない。
やがてその男性は、徐々に姿を変え、ボコールの姿へと変貌していく。
恐怖に駆られ逃げ出す自分。そして逃げ込んだショーウィンドウに映る自分の姿を見た義明は驚愕する。
顔以外の身体的特徴が、ボコールと瓜二つだったのだ。
その瞬間、現実の義明は叫び声を上げていた。
救援の希望と広がる疑念
施設の上空に突如ヘリコプターの音が響き渡る。
施設の敷地内にヘリコプターが着陸するや否や、一ツ兜は機体に描かれたマークを見て、国連のものではないかと推測する。
機体から降りてきたのは、軍服を着た数名の男性と、その上官と思われる女性だった。
彼女は笑みを浮かべ、施設の収容者たちに向け、助けに来た旨を伝える。
その言葉に、一同は期待と不安が入り交じる表情を浮かべるのだった。
ヘリコプターから降り立った女性は、自らを国際連合日本支援団平和維持活動隊第二チョーク班、デイジー・新沼上等兵と名乗った。
彼女は日本が感染症の大流行という未曾有の危機に直面している現状を説明し、国連加盟国が全日本人を難民として認定し、受け入れる準備を進めていることを告げる。
その言葉に、施設の収容者たちは助かったと歓喜し、安堵の表情を浮かべた。
一人の収容者が家族の安否を尋ねると、デイジーはその場で大使館に電話をかけ、シンガポールに避難しているとの確認を取った。
収容者は感涙にむせびながら感謝の意を伝える。
それを見た他の収容者たちも、次々と家族の確認を求めてデイジーに押し寄せるが、彼女は冷静に制止し、個別の面談で対応すると約束した。
しかし、その様子を冷静に見つめる岩倉とノイマンは、デイジーたちの意図に疑念を抱いていた。
この地球上で最も残虐で冷酷な生き物は軍人なのだと岩倉は冷静に判断する。
一方でデイジーは、施設内の案内を希望し、吉岡が立候補した。
施設内を案内して回る中、デイジーたちの目に飛び込んできたのは、大量の化け物の死体が積み上げられた光景だった。
その場で軍人たちは手を組み、祈りを捧げる。
中には、吉岡達に怒りを露わにする者もいた。
感染者はあくまで病人であり、倒すべきモンスターではないと主張したからだ。
さらにデイジーは、感染症の治療研究が進み、治療が可能になっていることを説明する。
その言葉を聞いた花畑は、陸を連れてデイジーの元へ駆け寄った。
陸もきっと治るとデイジーが希望を与える言葉を告げると、花畑はその場で感情を抑えきれず、涙を流しながら感謝の意を伝えた。
施設の建物の一部が壊れている理由を尋ねられた吉岡は、「大きな人の山が倒れてきた」と説明した。
デイジーはその山の上に裸の男が乗っていなかったかと問いかけるが、吉岡は知らないふりをして話をそらした。
次に吉岡がデイジーに質問を投げかけた。
義明の家族の安否を確認してほしいと頼んだのだ。
デイジーはその場で電話をかけるような素振りを見せ、通話を終えると、前田くんのご両親はカナダにいると答えた。
だが、義明の家族はすでに感染していることを知っていた吉岡たちは、デイジーたち軍人が嘘をついているのではないかと疑念を抱く。
吉岡は義明の家族についてわざと確認を求めることで、デイジーたちの反応を探る、カマをかける行動に出たのだった。
この一連のやり取りにより、吉岡たちの中で軍人たちへの不信感がさらに強まっていく。
正体を明かすデイジーと収容者たちの動揺
収容者たちとの個別面談が始まり、デイジーは人の山や裸の男に関する情報を収集していた。
その結果、これまでの状況と照らし合わせ、かつてボコールを撮影・上映した際の出来事に繋がる事実を突き止める。
さらに、4号室の収容者たちがその中心に関与していることが明らかとなった。
ボコールを光の子として崇拝する彼らは、4号室の収容者を連れ出すため、部下のパーシーを向かわせるのだった。
一方、正門前には収容者たちが次々と集められ、その様子を吉岡たちは施設内の部屋から不安げに見守っていた。
ノイマンは吉岡に銃器を手渡し、岩倉は笠原に銃の扱い方を指南している。
その中には一ツ兜の姿もあった。
突然の訪問に驚く吉岡に対し、胡散臭い連中には警戒が必要だと答え、デイジーたちへの不信感を共有する。
その時、岩倉がドアの外から感じた気配に気づく。
一同は緊張感に包まれる中、部屋の電気を消して身を潜めた。
正門前ではデイジーが収容者たちに向けて話し始めた。
彼女は突然、これまでの説明がすべて嘘だったことを謝罪する。
続けて、デイジーは自分たちが国連の所属ではないことを明かし、感染者の治療が不要であると語る。
そしてウィルスを「神の恵み」、感染者を「天使」、ボコールを「光の子」と称し、彼が神に最も近い存在であると宣言した。
その話を聞いた収容者たちは最初は困惑し、次第に動揺が怒りに変わっていった。
一部の者はデイジーを激しく罵倒し始め、騒然とした空気が広がる。
そしてその怒りが頂点に達した瞬間、デイジーは冷徹な表情を浮かべながら収容者の一人に向けて銃弾を放った。
突然の凶行に、収容者たちは恐怖と絶望に陥り、場の緊張は一気に張り詰めた。
デイジーは、神を冒涜することは許されないと言い放ち、収容者の一人を冷酷に射殺する。
その場に凍りつく他の収容者たち。
命乞いをする者もいたが、彼は化け物の群れに投げ込まれ、そのまま帰らぬ人となる。
その残酷な制裁に恐怖を覚える収容者たちを前に、デイジーは二つの選択肢を提示した。
天使の仲間入りをして天使に許しを乞うか、神の元へ出向き神に詫びるか―。
化け物に感染するか、射殺されるか、いずれも実質的には死刑宣告であった。
緊迫の攻防と軍人の本領
その頃、パーシーは部下を連れて岩倉たちが潜んでいる部屋への侵入を開始する。
慎重にドアを開け、電気のスイッチに手を伸ばした瞬間、指先に鋭い痛みが走った。
スイッチには画鋲が仕掛けられていたのだ。
出血しつつも電気を点けると、目の前には銃を構えた笠原の姿が立ちはだかっていた。
両者の間に緊張が走り、銃口を突きつけ合う状況に。
そんな中、軍人の背後に天井からぶら下がる一ツ兜が現れ、素早い動きで銃を奪い取ることに成功する。
一方、もう一人の軍人に対しては、岩倉が二段ベッドの上段から飛びかかり、銃を奪い取る。
しかし、形勢が完全に逆転したかと思われた次の瞬間、軍人たちはすでに両手にハンドガンを構えていた。
圧倒的な状況に追い詰められる岩倉たち。
反撃に出ようとする吉岡に対し、一ツ兜が吉岡を制する。
2秒先が読める一ツ兜は、「動けば全員が命を落とす可能性がある」と警告。
一気に緊張感が高まるのだった。
【5巻のまとめ】
義明たちはボコールとの激闘の末、頭部を切断し化け物山を崩壊させるが、ボコールは再生を始め、逃走を図る。
追跡の末、義明はボコールの頭部を切断して脅威を取り除いたかに見えたが、再生中の頭部に指を噛みちぎられ、感染の疑念が生じる。
仲間たちの間で葛藤が生まれ、義明は命を狙われながら施設内を逃げ回るが、最終的に仲間に捕まり腕を切断されることで一命を取り留める。
一方、施設には、救援を名乗るデイジー率いる軍人たちが到着。
収容者たちは家族の安否を確認するなど一時的に喜びに沸くが、彼女たちが国連とは無関係であることが明かされる。
デイジーはウィルスを神の恵み、感染者を天使と称え、ボコールを光の子と崇める異常な信仰を語り、収容者たちに残酷な選択肢を突きつける。
その裏で、デイジーの部下パーシー率いる軍人たちは岩倉たちの部屋を強襲。
罠や奇策で一時は形勢を逆転させるものの、軍人たちの圧倒的な戦闘力に追い詰められ、危機的状況に陥るのだった。
【5巻の見どころ】
義明たちの死闘と逃亡、そして新たな脅威の登場が、息もつかせぬ展開で繰り広げられます。
ボコールを撃ち抜いた義明でしたが、驚異的な再生能力を持つ彼は再び逃走を図ります。
この緊迫の追跡劇では、仲間たちが力を合わせ、最後の一撃を加える決断に迫られる様子が見どころです。
そして、安堵の瞬間、ボコールの頭部が義明の指に噛みつくという衝撃の展開が待ち受けます。
さらに、感染の疑いをかけられた義明は、自らの仲間たちからも命を狙われることに。
絶望と恐怖の中、追い詰められる義明の逃亡劇は、読者の心を揺さぶるものとなるでしょう。
そして、彼の腕が切断されたことで、一命をとりとめたのかどうか、その行方も気になります。
後半では、突如として現れた軍人集団の登場が新たな緊張をもたらします。
救援かと思われた彼らの正体が次第に明らかになり、施設内の人々はさらなる混乱に陥ります。
デイジー率いる軍人たちの真の目的とは何か?その残酷な選択を前に、義明たちはどのように生き延びるのか。

次巻へ続きます。
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