主人公・鳥栖哲雄は平凡なサラリーマンだが、推理小説オタクであり、娘・零花が彼氏・麻取延人から暴力を受けたと知り、 延人を尾行したところで延人が半グレ組織の一員であり鳥栖家の実家の財産を狙っていること、そして尾行に気付いた延人が零花を殺そうとしていることを知り、零花を守るために延人を殺害。
妻の歌仙と共謀として死体の処理に奔走するが、 撲殺した麻取延人は犯罪組織(半グレ)のメンバーで、かつ、組織上層部の凄腕の詐欺師 麻取義辰の息子であったことから、実働部隊のリーダーである窪の指揮のもと、徹底した行方探しを開始。
哲雄と歌仙は反グレ組織の実行部隊の恭一をハメて罪をなすりつけることに成功、逃走を図る恭一から疑惑を聞いた義辰は哲雄と対峙した末に哲雄の前で自ら命を絶った。
義辰の遺体を山中に埋めて全てを隠ぺいした哲雄だったが、しかし幸せを取り戻したのも束の間、計算外の台風により土砂崩れが発生し、その遺体が警察に見つかってしまった。
時を同じくして志野・窪らが鳥栖家の実家が営む「和服の鳥栖」の財産を狙い、実態はカルト宗教で村人たちを熱狂的な信者にしていた鳥栖家は歌仙と零花の身柄の確保を狙う。
歌仙は家族を守るために自ら実家に戻ることで犠牲になろうとし、哲雄が歌仙の救出へ向かった矢先、窪たち半グレ組織も村に接触する。
哲雄が半グレ組織の仕業に見せかけてカルト宗教の教祖である郷一郎を殺害すると、村人たちと窪たちの抗争が勃発。
結果として半グレ組織は窪以外が命を落としたが、窪がたった一人で大量殺戮を犯し、村も壊滅状態となった。
自分の描いたシナリオのせいで村中におびただしい犠牲者が出たことを知った哲雄は自ら戦うことを決め、哲雄はトラップを仕掛け、殺害寸前まで窪を追い込む。
だが殺すには至らず、窪が投げた日本刀が哲雄の胸に突き刺さり、先に脱出した零花の通報でパトカーが到着。
窪は「またな」とつぶやいて姿を消した。
3週間後、哲雄が病院で目を覚ますと、全ては半グレの仕業によるものとして片づけられ、哲雄は大量殺人鬼に立ち向かった英雄となっていた。
哲雄は再び自首を考えるが、歌仙の家族を思う気持ちに心うたれ、いつか全てが明らかになるまで罪を隠し家族と暮らすと決める。
村の大量殺戮事件から7年後。
零花は大学を卒業して刑事になり、哲雄と歌仙の間には新しい男児・明も産まれ、平穏な日々を過ごしていた。
しかしそんな中、哲雄は顧客に成り済ました若い男女に騙され、暴力団「間野会」の元メンバー殺害の疑いをかけられてしまう。
以前から元間野会のメンバーが立て続けに殺害されており、零花は担当刑事から逃亡中の窪と志野による犯行が疑われていると聞き出す。
一方、志野を名乗る男が哲雄に接触、自宅に放火し、哲雄は零花の上司である戸島刑事に自らが囮になると持ち掛け、小沢と協力して犯人捜しを始めるのだった。
19巻のあらすじを振り返ってみましょう。
父の犯行を悟る
7年前の間野会の関係者から聞き込みを行うべく、延人の行きつけだったキャバクラへ足を運んだ零花は、そこで「延人が恭一に殺された」という情報を得る。
両親からは「恭一がストーカー」ということを聞かされていたため、ふと両親は延人が殺されたことをずっと自分に黙っていたのではという疑問が湧いてきた。
零花が恭一の実家の定食屋に向かうと、零花に気付いた恭一は逃走。
必死に追いかけて恭一を捕らえ、冷静に問い詰めると、零花は「延人を殺した真犯人は父・哲雄」という可能性を知り、それがおそらく真実であることを悟る。
父が家族を守るためにずっと隠し事をしてきたことを想像しながらも、零花は自身の正義感から、最後には犯罪に手を染めた父を逮捕して罪から解放させることを決意。
そして父の罪を暴くため、恭一に協力を仰ぐのであった。
哲雄をハメた男女の正体
哲雄をハメた男女の正体を探るべく、7年ぶりに鳥栖の実家のあるカルト村を再度訪れた謙信。
外からの来訪者への警戒は強かったが、かつて助けてもらった村人から2人の正体が「皆川ヲハ」「東明砂」という若者であることを突き止める。
2人とも7年前に両親を殺され、孤児として村で洗脳教育を受けていた。
3ヶ月前に村の家族を助けるため、仕事を探して村の外に出てきた2人は、何のためか元間野会の関係者殺害を始めたようだ。
哲雄と謙信はそんな2人を「使える」と考えるのであった。
行方をくらませた哲雄
警察の許可のもと、囮として歌仙・明とは別行動を取ることにした哲雄。
移動する車には戸島刑事とその部下も同乗していたが、哲雄は途中で立ち寄ったサービスエリアのトイレで謎の男から封筒を渡され、表情を一変させてそのまま戸島らを撒いて行方をくらませてしまう。
哲雄の失踪に気付いた戸島たちが急いで監視カメラの映像を解析すると、どうやら哲雄が受け取ったのは手紙と、窪と思わしき男の写真だった。
全ては判読できなかったが、手紙の内容は窪が哲雄を呼び出す内容。
戸島たちは急いで哲雄を追うことに。
そして戸島から連絡を受けた零花も、恭一と共に父の行方を探すのであった。
哲雄の捜索が続くが…
警察は監視カメラの映像から、哲雄と同じ時間帯にサービスエリアのトイレに入った男を特定したが、聴取しても潔白だった。
一方、窪の写真の背景から撮影されたと思われる神社を割り出し、現地を捜索すると、哲雄の靴跡、そしてお社の階段から哲雄の指紋が出てきた。
おそらく、階段の裏に第2の手紙が隠されており、哲雄がそれを取ったときに指紋がついたのだろう。
もう一つ、謎の靴跡から採取された砂粒には塩がついていたことから、今度は海の方へと捜索範囲を広げる。
するとある漁師から、数日前に漁船が盗難にあったという証言を得ることができ、その漁船が沖に漂っているのが発見された。
漁船からは哲雄の靴跡と指紋が見つかったが、漁船はもぬけの殻。
それはつまり、哲雄が海上で行方を完全にくらましたことを意味しているのであった。
零花の捜査
父の行方を知っていそうな近しい人として、謙信をあたってみることにした零花と恭一。
正式な捜査ではないため家宅捜索はできないが、零花が母親の気を引いている間に恭一が家に侵入し、謙信の部屋から手がかりとなるメモを回収する。
メモの内容から謙信があのカルト村へ向かったと推理し、零花は恭一を連れて自らも村へ。
出迎えた鳥栖キエはまるで零花が来るのを待っていたかのように応対し、謙信が先に訪れたことも認めながら、「ヲハと明砂を止めてほしい」と逆に依頼してきた。
7年前の事件で両親を殺された2人は、窪への憎悪を募らせながら成長し、元間野会の関係者を殺しながら窪を引きずり出そうとしているようだ。
話を聞いた零花は、謙信を使って先に2人との接触を図る父の目的について、「窪を殺害するという共通目的のために手を組もうとしている」と確信。
だが一方の哲雄は、2日後に拘束された状態で海岸で発見されるのであった。
【19巻のまとめ】
零花は延人の情報を集めるなかで恭一と接触、父が延人を殺した真犯人であることを悟り、父の罪にケリをつけるために恭一と共に行動を開始する。
一方、哲雄は謙信を通じ、自分をハメた若い男女の正体がカルト村の若者である「皆川ヲハ」「東明砂」であることを突き止め、窪を殺すという共通目的のために手を組もうと考える。
そして囮として行動する最中に窪からの手紙を受け、警察を撒いて行方をくらませた。
警察や零花が必死に行方を捜索するなか、哲雄は2日後に拘束された状態で海岸で発見されるのであった。
次巻へ続きます。
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