58歳サラリーマン2児の父。希望もなければ人望もない冴えない男、犬屋敷壱郎。
しかしある日、犬の散歩中に高校生・獅子神皓と共に宇宙人の事故に巻き込まれ、生前の記憶や精神を持った機械の身体となって蘇る。
人類を超越した力を手に入れ、人助けに自分の存在意義を見出すようになった犬屋敷に対し、獅子神は自分の生を実感し欲を満たすために無差別の虐殺を始める。
暴走する獅子神、止められるのはスーパーな力を手に入れたジジイただ一人。
他に類を見ない主人公のSFバトルが始まる。
さっそく、1巻のあらすじを振り返ってみましょう。以下ネタバレ注意です。
不遇のサラリーマン 犬屋敷壱郎
老人のような外見の冴えないサラリーマン・犬屋敷壱郎は、会社や家庭からも疎外された生活を送っており、ようやく購入した一戸建てすらも家族の歓心を得ることができなかった。
妻・万理江との関係は冷え、高校生の娘・麻理は生意気、中学生の息子・剛史は内向的。
〈立場のない犬屋敷 [いぬやしき 1巻](c)講談社/奥浩哉〉
犬屋敷は牛丼を1人で食べているところを剛史の友達から「何が楽しくて生きてんだろな」と揶揄され、剛史はその友人の言葉に複雑な胸中となる。
心の支えを求めて犬を飼うこととし、愛護センターから柴犬の成犬を引き取った。
可愛い子犬を期待した家族からは不評だが、「はな子」と名付けた犬だけが犬屋敷の拠り所となる。
〈犬だけが拠り所 [いぬやしき 1巻](c)講談社/奥浩哉〉
宇宙船の事故に巻き込まれる
そんな犬屋敷に追い打ちをかけるように、健康診断で胃がんが見つかり、余命3ヵ月を宣告される。
家族は自分のために悲しんでくれるだろうか、そんなことを思い悩みながら打ち明けるタイミングを見つけることができず、犬屋敷ははな子を連れて夜の公園で号泣。
〈夜の公園で号泣 [いぬやしき 1巻](c)講談社/奥浩哉〉
そのときに事件は起こった。
小さな宇宙船が事故を起こし、同じく公園に来ていた高校生・獅子神皓と共に巻き込まれてしまったのである。
〈高校生と共に事故に巻き込まれる [いぬやしき 1巻](c)講談社/奥浩哉〉
もちろん犬屋敷と獅子神は即死したが、事故の隠ぺいを図った宇宙人たちによって2人は生前の記憶や精神を持った機械の身体となって蘇るのだった。
機械の身体に置き換わった自分
事故に遭った記憶がないまま、帰宅し元の生活に戻る犬屋敷。
しかしすぐに自分の身体に違和感を覚える。
〈身体に異変 [いぬやしき 1巻](c)講談社/奥浩哉〉
味覚はなく、いつも感じていた腰痛もない。
視力はメガネが要らないくらいに回復し、病院にいってもレントゲンに映るのは真っ白の身体。
怖くなった犬屋敷は自分の部屋でまじまじと身体を眺めると、腕から湯気とともに摂取した食事が噴射された。
そして自分の首にあるボタンを見つけ押すと、頭が割れて機械の中身が露となる。
〈機械の身体になっていた [いぬやしき 1巻](c)講談社/奥浩哉〉
記憶と意識はそのままに、中身が元の自分ではなくなってしまった。
その事実を突きつけられ、犬屋敷は自分が自分でなくなったような感覚にとらわれるのだった。
〈自分が自分でなくなった [いぬやしき 1巻](c)講談社/奥浩哉〉
自分の存在意義を探して
本物の自分が既に死んでいるのなら、自分はいま何のために生きているのか―。
自分の存在意義について考えながら散歩に出た犬屋敷は、家族との関係修復を試みるホームレスの男が運悪く浮浪者狩りに遭っているところを目撃する。
〈ホームレス狩り [いぬやしき 1巻](c)講談社/奥浩哉〉
ホームレスの男に向け、面白がりながら容赦なく花火を飛ばしたりするのは中学生の少年8人。
見ていられなくなった犬屋敷が割って入ると、少年たちは金属バットで犬屋敷の頭をカチ割った。
犬屋敷の意識は途絶え、そこから機械の暴走が始まる。
〈犬屋敷が暴走 [いぬやしき 1巻](c)講談社/奥浩哉〉
少年たちに反撃して撃退し、さらに8人の個人情報を全て特定したうえでSNSアカウントを乗っ取り、浮浪者狩りの様子の動画を動画サイトやTV・街頭のモニターにも配信。
社会に晒された少年たちは瞬く間に炎上することとなった。
意識を取り戻した犬屋敷は、救われたホームレスの男から涙ながらに感謝される。
〈涙ながらに感謝される [いぬやしき 1巻](c)講談社/奥浩哉〉
他人の命を救った喜びに打ち震える犬屋敷は、「一人でも多くの命を救う」という行為に自分の存在意義を見出すのだった。
親友の安堂を気遣う獅子神
イジメを受け引きこもりとなっていた幼馴染・安堂直行の家を訪ねる獅子神。
安堂を気遣う素振りを見せながら、獅子神は自分が機械の身体を手に入れたという秘密を明かす。
〈秘密を打ち明ける獅子神 [いぬやしき 1巻](c)講談社/奥浩哉〉
SFや漫画が大好きな安堂は、目の前で獅子神の頭が割れた事実に驚愕するのだった。
【1巻のまとめ】
職場でも家庭内でも立場がない冴えないサラリーマンの犬屋敷壱郎は、ある日犬の散歩中に高校生・獅子神皓と共に宇宙人の事故に巻き込まれ、機械の身体となって蘇った。
記憶と意識はそのままに、身体のなかが勝手に機械に置き換わったことで超次元の能力を手に入れた犬屋敷だが、自分が自分ではなくなったような感覚に襲われ、自分の存在意義について悩みを持つ。
そんななか、とあるホームレスの男を暴行から助けたことで「一人でも多くの人を救う」という行為に自分の生きる意味を見出した。
一方、同じく機械の身体となった獅子神はイジメられて不登校になった親友の安堂を気遣い、自分の身体の秘密を打ち明けるのだった。
次巻へ続きます。
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