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日本一ハードな医学部の青春!誰にも頼らずに、医師になる――18歳の真木賢人(まきけんじん)が選んだのは、防衛医科大学校。学費無料。全寮制。給与あり。「自衛隊のお医者さん」を養成する学び舎での、賑やかな日々が始まる。『ヒューマニタス』の新才・山本亜季。初めての本格連載作!!
(U-NEXT作品紹介より引用)
さっそく、1巻のあらすじを振り返ってみましょう。
目次
自力で掴む医師への道
真木賢人は4年間世話になった叔父と叔母の元を離れ、自力で医師になるため、防衛医科大学校に入学した。
6年間私大の医学部に通った場合、3,000万円という莫大な金がかかるが、賢人は誰の援助も受けず誰にも頼らず、自分の道を切り拓こうとしたのだ。
防衛医科大学校に到着すると、早速対番(1年生の世話をする係)の2年・軽尾信一郎がやってきた。
軽尾になぜこの学校に来たのか聞く賢人。
軽尾は「第一志望に落ちて唯一受かった医学部がここだった」とあっけらかんと答える。
しかし防衛医科大学校を卒業すると、自衛隊の医師として9年の任官義務がある。
任官義務を拒否した場合は、約5,000万円を返納しなければならず、普通の医学部志望の人からすれば遠回りともいえる。
賢人がそう指摘すると、軽尾は認めつつも「防衛医大の学生は文武両道でカッコいい」と、軽く返答。
自分の進むべき道について相当の覚悟をもっていた賢人は、その答えに少し拍子抜けするのだった。
衝撃の出会い
賢人と軽尾が部屋に着き、ドアを開けるとそこにはキリンの被り物をした奇妙な人物が。
賢人は見なかったことにして逃げようと思うが軽尾に引き止められ、改めてその正体である3年の指吸先輩を紹介される。
その異様さにショックを受けていた賢人だったが、さらにショックな出来事が…。
賢人にいきなり飛びついてきた外国人女性。
その女性は「伊奈波ハナレ」と名乗り、賢人の父の再婚相手で今日から防衛医大に入学したのだという。
あまりに突然の展開に賢人は猛烈なショックを受け、思わず人生でいちばん大きな声を出して叫ぶのだった。
防衛医大の1日
防衛医科大学校の1日は、朝6時30分起床から始まり、朝の点呼の後6時45分から朝食、8時に国家掲揚の後、朝礼がある。
また「プレス指導」というものがあり、週に一度、中隊長から服装の点検を受けるため新入生は着校後「プレス」と呼ばれるアイロンがけを対番から徹底的に指導を受ける。
その後の1日の流れは17時15分に国旗降下、17時半から18時半まで夕食、19時から20時40分入浴、ということになっている。
その間にも賢人の継母・ハナレの存在は「愛人」「重婚相手」など噂に尾ひれがついて校内に拡散されて行ったのだった。
国家公務員デビュー
着校から1週間、いよいよ入学式を迎え、国家公務員としての生活が始まる。
入学式では代表者が「服務の宣誓」をすることとなり、その代表は小論文の優秀者が担うことに。
小論文のお題は「6年間交際し、結婚の約束をした恋人に別れの手紙を書きなさい」というもの。
課題について説明する愛川指導官は、防衛医大生には医師国家試験に必要な勉強と士官になるための訓練を同時にこなすことが求められることを説く。
「費やす時間のすべてを重要な任務だと思って過ごせ。わかったらさっさとやれ」との指示を受け、皆さっそく取り組み始めた。
賢人は内心では下らないと思いながら取り組むが、結局は賢人が優秀者として「服務の宣誓」に選ばれた。
だがその裏では、ハナレの書いた答案が「冷血官」とも称されていた愛川指導官を泣かせ、波紋を呼んでいた。
賢人の父に日本に連れてきてもらった際、ハナレは故郷のホウラマンに残した大好きな祖母と別れたときのことを小論文に書いていたのだった。
一変する態度
入学式を終えると、上級生らの態度も一変し、地獄の生活が始まった。
時間は厳しく区切られて守れなければ叱責を受け、部屋のチェックや夕食、プレス点検、点呼、そして再度プレス点検をやらされ、眠りについたのが深夜0時。
そして「春季定期訓練」が始まると、1年生たちは上級生の執拗な点呼指導などにより、精神的にも体力的にも追い詰められていく。
1年の久保出によると、毎年何人か脱落して退学することになるらしい。
女学生のなかでは、冷たそうな印象の男鹿が周りに溶け込み順調に訓練をこなす一方、ぽっちゃり女子の美馬は歩行訓練で周りと揃わず苦戦。
ハナレはそんな美馬と一緒に走り、励ましていた。
またハナレは美馬から教わった靴擦れ対策を賢人にも教えるなど、自分の貴重な時間を仲間のフォローに費やす。
そんなハナレや美馬たちに触れ、賢人も美馬のことを訓練中に励ますなど、他人への接し方に変化が現れ始めるのだった。
意味のある指導とは?
ようやく座学も始まったが、相変わらず先輩からのプレスや掃除にまつわる指導は厳しい。
いちゃもんとしか思えない指導についに堪忍袋の緒が切れた賢人は、「意義のない指導よりも医学生としての本分を果たさせるべきでは」と先輩に意見する。
しかし先輩は「口答えするな」と一蹴。
逆らえなかった賢人が対応を終えて部屋に帰ると、中で待っていた軽尾は今度の日曜日に「対番ミステリーツアー」というものに招待してきた。
参加者は軽尾の同期の無良と月沢、そしてそれぞれの"下対番"に当たる1年・歌野と男鹿。
ミステリーツアーの内容は、先輩同行の元での外出と、奢りをかけて焼肉店での大食いやラーメン店での早食い競争だった。
普段指吸たちから厳しい指導しか受けていない分、奢ってくれる2年生がまるで天使のように見える賢人たち。
親睦を深めた後、賢人は「今は優しい2年生も、3年生になったら指吸たちと同様に厳しく指導するのか」と疑問に思い、それを特に小柄で穏やかそうな無良にぶつける。
すると無良は真っすぐな表情で「やるよ」と力強く断言。
今回のイベントもただの慣れ合いかと考えていた賢人だったが、同じく辛い指導を受けてきた2年生たちの迷いのない様子を通して、3年生の指導が意味のあるものなのか確かめてやろうと思うのだった。
多忙を極める1年生
夏服に変わる頃、1年生は早朝の点呼、課業、課業後の指導に予習…と多忙を極める。
そんな中、土居内は英語の小テストに落ちることが多く、先輩からも目をつけられている存在だった。
そして5月の体育祭で行われる"演舞"の練習が更なる負担に。
賢人が夜中にトイレに行くと、土居内がトイレの個室にこもって予習をしていた。
皆、1日を通じて時間に追われ、寝る間を惜しんで予習を夜中に行なっていた。
土居内と久保出の対立
土居内はプレス指導でも先輩から責められ、明らかに余裕がなくなってしまう。
だが賢人は土居内が追い詰められていることに対して、どう声をかけていいのか正解が分からなかった。
そんな土居内に対し、久保出はランチの時間に「正直、お前ここ向いてねーよ」とグサリ。
土居内の親が医者であることから、久保出は「帰りたいとパパとママに言ってみたら?」とふざけたような口調で罵った。
怒った土居内がお茶を久保出に投げつけようとしたところで、ハナレが間一髪のところで止めに入る。
おそらく、久保出は自分自身に対して甘い態度を取っていた土居内に腹を立てていたのだろう。
久保出が防衛医大に入校したのは、過去に過酷な震災の現場で自衛隊の手当てを受け、自分もまたその体験から人を手助けするような人間になりたいと決意したから。
そんな久保出の決意を考えれば、久保出が親や同期に甘える土居内に腹を立てても仕方ないと土居内も感じていた。
翌日、演舞の練習でも2人は気まずく、"騎馬立ち"の練習を3分やることに。
土居内は自らの甘えを認めて久保出に謝罪する一方、何の関係もない両親を引き合いに出したことについては謝ってほしいと要求。
すると久保出は3分間騎馬立ちができたら謝罪することを約束し、土居内はただでさえキツい3分間を絶対に耐え抜く決意を固める。
しかし1分を経過したあたりで土居内をはじめ皆も体力の限界が近づく。
久保出はそんな土居内に「お前の存在自体がみんなにとってマイナスだ」と追い詰めるが、それを聞いていたハナレは土居内の成長ぶりを褒め始めた。
ハナレは久保出の意地悪な口調を否定したのである。
ハナレの言葉で皆一同持ち直し、土居内は3分を目前で尻餅をついてしまったが、2年生は土居内の努力を買い、騎馬立ちの訓練は終わった。
練習後、久保出は土居内の手を取り、息を切らしながらお疲れ、と手を取り謝罪したのだった。
土居内の本気
英語のテスト対策や点呼指導のポジション替えなど、賢人はそれぞれが得意な分野で仲間を助け合うように取り組み、そのおかげで土居内もプレス指導を一発で通過することができた。
すると指吸先輩は"特別指導"を実施することとし、1年生たちに対して厳しい質問攻撃を始める。
なかでも土居内が集中的な質問攻めにあい、土居内が追い詰められていく。
しかし中にはふざけた質問も多く、土居内本人を除く1年生は、指吸たちがふざけていることに気づいた。
そんななか、余裕がない土居内はこの学校を志望した動機について聞かれると、昔同級生から言いがかりをつけられお金を要求され我慢する事しかできなかったことを告白し、「精神的にも肉体的にも強い医者になりたい」と本音を力強く宣言した。
土居内が胸の内を全て曝け出すと、指吸たちも「防衛医大生の本気も見せてやろう」と燃えるのだった。
【1巻のまとめ】
自力で医師への道を掴み取ろうと防衛医科大学校へ進学した真木賢人。
その新入生には父の再婚相手である外国人の伊奈波ハナレもおり、継母であり同期という奇妙な出会いとなる。
入学式を終えると地獄のような国家公務員生活が始まった。
勉強だけでなく、訓練も並行して行う過酷な環境のなか、脱落しかける者が現れるが、ハナレや賢人らのフォローによって同期同士で助け合うようになっていく。
そんななか、3年生から集中攻撃にあっていた土居内が3年によって本音を引き出されると、3年生もまた防衛医大生の本気を見せつけるべく、さらに指導に熱を入れようとしているのであった。
【1巻の見どころ】
この巻の見どころは、自力で医師を目指す主人公・賢人の挑戦と、過酷な環境の中で仲間と絆を深めていく過程です。
まさかの継母・ハナレとの再会は、賢人の人生を大きく揺さぶります。
さらに、厳しい訓練のなかで脱落しかける仲間たちが現れる一方、賢人自身も指導の意義に疑問を持ち始めます。
そんな中、土居内が心の奥に秘めていた本音をさらけ出し、3年生たちの姿勢が一変する場面は圧巻。

次巻へ続きます。
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