主人公・鳥栖哲雄は平凡なサラリーマンだが、推理小説オタクであり、娘・零花が彼氏・麻取延人から暴力を受けたと知り、 延人を尾行したところで延人が半グレ組織の一員であり鳥栖家の実家の財産を狙っていること、そして尾行に気付いた延人が零花を殺そうとしていることを知り、零花を守るために延人を殺害。
妻の歌仙と共謀として死体の処理に奔走するが、 撲殺した麻取延人は犯罪組織（半グレ）のメンバーで、かつ、組織上層部の凄腕の詐欺師 麻取義辰の息子であったことから、実働部隊のリーダーである窪の指揮のもと、徹底した行方探しを開始。
哲雄と歌仙は自宅の鉢植えでバクテリアを使って処理することにするが、ちょうど自宅には反グレ組織の実行部隊の恭一が親友して盗聴器を仕掛けた。
盗聴に気付いた哲雄はそれを逆手に取り、 歌仙と共に零花のストーカーが延人とトラブルを起こした可能性を示唆する演技をする。
しかし、頭のキレる恭一は哲雄の嘘を強く疑い、独断で部隊を動かして哲雄と歌仙を襲撃し、尋問。
それでも哲雄と歌仙はシラを切りとおし、今度は勝手に動いた恭一が組織から責任を問われるハメに。
4日後までに延人を見つけ出さなければ組織から切られる状況となり、哲雄は恭一と協力して延人を捜索することを提案する。
どうにか延人が生きているようにでっち上げるため、情報を収集する哲雄は、延人の真の恋人である響から「1年半前の現金輸送車襲撃事件の犯人が延人だった」という情報と、延人のSNSの裏アカウントを入手し、組織から逃げた延人がその犯行グループのもとに身を隠したというストーリーを考える。
偶然にも延人の父・義辰と互いに素性を知らないまま邂逅するニアミスもある一方、延人が生きているように見せかけるフェイク映像を作成し、それを組織にも広めるが、分析担当の竹田からは「本人ではない可能性が70%」と判断されてしまった。
哲雄への疑念を深める恭一は哲雄の自宅へ乗り込んで証拠を探すが、哲雄と歌仙は隙を突いて恭一のPCにキーロガーを仕掛けた。
メールをハッキングした歌仙は、そこには恭一が零花にこっそり接触しようとしていることや、 「明日の19時に哲雄を延人殺害の犯人に仕立て上げ、哲雄を始末する」という計画が記されているのを知るのだった。
4巻のあらすじを振り返ってみましょう。
恭一に罪をなすりつける決意
恭一のメールから実家の住所を割り出した歌仙は、早速恭一に罪をなすりつけるべく、延人の遺骨など証拠が入ったバッグを持って恭一の実家を訪問する。
恭一の母から、夫が暴力団に追い詰められて自殺したこと、息子が自分のために金を工面してくれていることなどを知り、子供を愛する母親として共感する歌仙だが、それでも自分の家族を守るためには罪をなすりつけるしかない。
だが結局、この実家に恭一はほとんど住んでいないため、証拠セットを置くことは断念。
現住所を割り出すべく再びメールを見ようとするが、恭一がアクセスしているためログインできない。
やむなくキーロガーを確認すると、ちょうど恭一は零花とこっそりメールで連絡を取り合い、会おうとしているのがわかった。
やはり恭一は危険。
歌仙の中でも、恭一を始末する覚悟が固まるのであった。
恭一を欺けるか
その頃、恭一は零花のマンションを捜索しに来ていた。
部下にある物の調達を頼みつつ、哲雄を手錠でつなぎ止め、自分は零花に会うためにしばらく外出。
歌仙からの連絡で状況を知った哲雄は、風呂のアメニティで滑りをよくして手錠から手をすり抜き、歌仙と合流してすぐさま行動を開始する。
まず恭一に成りすまして部下にメールを送り、GPSをつけた封筒を「恭一の現住所」のポストに入れるように指示しつつ、調達してきたものを先に確認。
中身は血痕や指紋などを浮かび上がらせる「ALSライト」だった。
これで零花のマンションを照らされるとアウトであるため、いったん回収。
ここから歌仙は零花と恭一の密会の阻止へ、哲雄は恭一の現住所へ侵入に向かう。
偶然を装って零花に会った歌仙は彼氏の存在を疑う面倒くさい母親のフリをし、何とか零花を連れ戻すことに成功。
一方、恭一の現住所を特定した哲雄は動画で学んだ「サムターン回し」と呼ばれる技術でドアの開錠を試みるが、恭一は防犯対策としてサムターン回しカバーを施していた。
零花にドタキャンされた恭一はおそらく零花のマンションに戻るだろう。
屋上からの侵入もできず、恭一の自宅への侵入は諦めざるを得ない哲雄。
急いでALSライトを無効化するためにホームセンターで物資を買って工作し、なんとか恭一が来る前に零花のマンションに戻ることができた。
恭一はさっそく調達させたライトで零花のマンションを捜索する。
哲雄は工作によってALSライトを普通のブラックライトとすり替えていたため何も出てこないが、それでも恭一は疑い深い。
そして部下に確認するなかで、何者かが自分のメールアドレスから封筒の調達を依頼していたことを知り、ハッキングの可能性に気付いた。
哲雄は動けないはずであり、犯人が誰かはわからないが、ひとまずパソコンを再起動したことでキーロガーも無効化されてしまう。
ここで一連の様子を見ていた哲雄は、言葉巧みに竹田が恭一を犯人に仕立てるために工作している可能性を示唆して動揺を誘い、「一緒に」恭一のマンションへ確認しに行こうと提案。
冷静に考えれば恭一にとって哲雄を連れていく必要は無いが、手錠から脱出しようともがいた痕を見せることで、恭一も哲雄から目を離すべきではないと判断し、哲雄を連れていくことにするのだった。
恭一の部屋へ
ギリギリの腹の探り合いのなか、ついに恭一の部屋に通された哲雄。
推理小説で得たトリックの知識などありそうなものを示唆しつつ、恭一の部屋で情報を収集していく。
そして押し入れには金庫があり、それが4桁のテンキー式であることまで突き止めた。
恭一と手を組んで竹田をハメる方向など、どうにか生き残る術を考え続ける哲雄。
しかし恭一はあくまで哲雄を疑っており、もし違っても哲雄を犯人に仕立てることも辞さない考えの様子。
恭一と手を組む線は消え、延人捜索の期日と共に哲雄か恭一のどちらが犯人の罪を被って死ぬかという状況となった。
最後の晩餐で何か食べようと提案し、実家が小料理屋を営む恭一に料理を振舞ってもらうことに。
自分が死んだらせめて事故か自殺として零花に伝えてほしい、とヤクザに父を殺された恭一の心に訴えかけた後、2人は最後の晩餐を済ませ、いよいよ午前零時を回って運命の捜索期日を迎えるのであった。
運命の日を迎える
捜索期日は今日の夜19時であり、最後まで竹田たちのもとで延人捜索を続ける恭一。
一方、哲雄はこっそりと歌仙に連絡して証拠セットの回収を確認し、さらにある作戦を実行する。
その指示通り、歌仙は匿名で組織にメールを送り、1年半前の現金輸送車襲撃事件の犯人が延人と恭一であると暴露。
怪しいメールだが、組織に対する裏切りを示唆する内容を見た竹田たちの疑いの目は恭一へ。
まだメールを見ていない恭一を残し、竹田は哲雄を連れ出して恭一について尋ねる。
そしてその状況を作り上げた哲雄は、「恭一は『以前大きい金が入ったことがある』と言っていた」と証言し、恭一に罪をなすりつけにかかるのだった。
【4巻のまとめ】
なんとかして恭一に罪をなすりつけることにした哲雄と歌仙。
メールのハッキングから恭一の自宅を特定し、恭一と竹田の不仲に付け込んで「竹田が恭一に罪をなすりつけようと工作したかもしれない」などと欺きながら、哲雄は恭一の部屋に入ることに成功する。
恭一の自宅についても情報収集し、迎えた延人捜索の期日。
哲雄は歌仙を通じて「 1年半前の現金輸送車襲撃事件の犯人が延人と恭一である」と暴露し、組織に対する裏切りを疑う竹田にも噓の証言をして恭一をハメにかかるのであった。
次巻へ続きます。
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