脳外科医・三瓶友治は少し風変わりな男だが知識と腕は間違いない。
記憶障害を患いながらも医師として懸命に働く川内ミヤビと、救急救命室のエース星前宏太とともに様々な患者の治療にあたる。
そして治療だけでなく、患者のこれからの生活のため後遺症ケアにも奔走する彼らの懸命な姿から目が離せない。
2巻のあらすじを振り返ってみましょう。
オールラウンドを目指す 星前宏太
急患の対応に忙しい日々を送る救急部の星前は、それぞれの分野での見方しかできない各科にストレスを感じていた。
自身は全科で専門医レベルを目指すと豪語するが、三瓶に脳外科の手術は任せられないとして、「利き手でない左手が不器用であること」「判断が遅いこと」の2つの欠点を指摘される。
欠点を克服するため努力を惜しまない星前の前に、気になる症状の患者が現れた。
急な視力の低下を訴えるが、眼科では検査予約のみで帰されたと話す。
臨機応変に対応できない眼科に怒りをぶつける星前には、その理由があった。
たらい回しにされた母
星前が医学生だったころ、母に異変が現れた。
視力の低下とめまいを訴える母を連れて大学病院を訪れるが、軽い白内障以外には異常なしと診断される。
しかし、月日が経つごとに症状はひどくなる一方で改善せず、食欲の低下も見られるように。
そんなある日、母はとうとう倒れて病院に運び込まれてしまう。
様々な科でそれぞれ精密検査を受けるが原因は分からず、ようやく多発性骨髄腫と診断されたころにはステージⅢまで進行していた。
その出来事がきっかけで、星前は専門分野という領域を超えた医療体制を作ると決意したのだった。
それぞれのフィールド
星前の思いを受け止めた三瓶は、視力低下を訴える患者の診察を自分たちでしようと企てる。
眼科も巻き込み原因を探る中、視神経の異常を疑った三瓶たちはすぐにMRIをとるよう指示を出す。
その結果、発見されたのは視神経を圧迫する下垂体腫瘍だった。
失明の危険もある一刻を争う手術の寸前で、星前は血液検査もしようと提案する。
高度な技術を要する手術に緊張が走るが、三瓶の繊細な手さばきで無事成功に終わったと思ったその時、患者の血圧が急激に低下。
焦る三瓶たちに、星前が提案した血液検査の結果が届く。
副腎不全によりショック状態にあることがわかり、すぐさま適切に処置され患者は救われた。
星前の血液検査という機転に助けられた三瓶は、素直に感謝の気持ちを伝える。
星前は三瓶の専門的な知識と技術にはまだ到底叶わないことを認めるが、それぞれのフィールドで活躍すべく、決意を新たにした。
運び込まれたサッカー選手
川内の記憶障害対策のメモが増える一方だった院内は、メモがなくても対応できるようになっていることが分かり、目印シールに変更することに。
そこへ17歳の高校サッカー選手が緊急搬送された。
試合中に倒れたという患者は静脈洞血栓症。
命に関わる重病だったが1週間後、無事に目を覚ました。
しかし、左半身に軽い麻痺と左半側無視という後遺症が残ってしまう。
左半側無視
脳が左側の情報を全て無視してしまうため、麻痺があることも、左側にあるものも認識できない、そのうえ患者本人はそのことにも気が付いていない。
我が子の深刻な状況にショックを隠しきれない様子の両親。
左半側無視を認識していない患者は、様々な問題に直面するがポジティブにリハビリに励み、サッカー選手として復帰できることを信じている。
そんな息子に復帰はできないであろうことをどう伝えるのか、頭を抱える両親に川内は患者の思うようにさせてはどうかと提言する。
そしてそのために必要なサポートは自分がマンツーマンで引き受けると申し出る。
2人3脚
川内のサポートと患者の頑張りで、左側のない世界での感覚は日常生活に支障がないレベルにまで克服されていった。
ついにサッカーと向き合う時がくるが、プレーは散々な結果となる。
そのうえ三瓶に酷な宣告を受け動揺する患者だが、そんな時にも川内は懸命に寄り添う。
サッカーの練習にも付き合うが一向に上達せず、患者は『サッカーは出来ない』という現実を理解し、そんな現実を受け入れられずに落ち込む。
自信を無くし投げやりになる患者に、川内は自分は記憶障害があるのだと患者に打ち明けた。
そして、自分たちは決して1人で戦っているのでないのだと諭したのだった。
三瓶と川内の過去
本来のポジティブな気持ちを取り戻し、川内と良い形で再開することを約束して患者は無事に退院していった。
サポートを終え一息ついた川内に、三瓶は行き先を告げずに誘い出す。
どこへ行くのかと不思議に思う川内だが、到着したのは記憶障害の原因となった事故の現場だった。
現場で詳細を聞かされ動揺する川内に、三瓶は記憶障害がまだ治る可能性があると、脳を自分に調べさせてほしいと説得する。
さらに、三瓶と川内はその事故のあった時期にはもう出会っていて、婚約していたと告白する。
【2巻のまとめ】
脳外科医としてあらゆる角度からのサポートに手を尽くす三瓶、専門分野という領域を超えるため腕を磨く星前、そして自分のできることを確立し始める川内。
3人はチームとしてそれぞれの役割を果たし始めた。
三瓶と川内との過去、そして記憶障害が治るかもしれないという三瓶からの突然の告白は、今後川内をどう変化させていくのか。
【2巻の見どころ】
この巻の見どころは、救急医・星前宏太が「オールラウンド」の理想を掲げ、医師としての成長を遂げていく姿です。
特に、視力低下を訴える患者の診断をめぐり、過去の母の誤診の経験と向き合いながら、多角的な視点で治療に挑むシーンは圧巻です。
手術成功後、星前の機転によって患者の命が救われる場面は、彼の医師としての新たな可能性を感じさせます。
また、左半側無視を抱えたサッカー選手が、自分の現実と向き合う過程は感動的です。

次巻へ続きます。
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