働きもせずにしょぼい博打に明け暮れ、負けを重ねるドン底の生活を送っていたカイジは、バイトの元同僚である古畑の借金の連帯保証人として借金地獄に巻き込まれた。
闇金回収の遠藤という男の勧めで借金をチャラにするどころか一攫千金のチャンスがある希望の船「エスポワール」に乗ることとなり、集められた債務者たちとのゲームが始まる。
ゲームの内容は手持ちのカードでじゃんけんをしながら勝敗に応じて星を奪い合い、負ければ悲惨な末路が待つ「限定ジャンケン」。
騙し騙され、また自分の利益の為に平気で仲間を裏切る戦いに嫌気が差したカイジは、得た金で別室で出会った何の資産もない石田という男を救済して船から生還を果たし、運営に一矢報いる。
しかし借金を完済することはできず、元の日常に戻った後は再び借金漬けの生活。
そんなある日、遠藤が再び姿を現し勝てば2000万円もの大金を得られる新たなギャンブルの話を持ってきた。
バイト先の佐原や再会を果たした石田らと共に挑むこととなったのは、鉄骨の上で行われる人間競馬「Brave men road」。
勝利するためには前を行くものを突き落とさなければならず、落ちれば重傷を免れない危険なゲーム。
第1レースに出場したカイジは最後まで他の者を落とす決意を固められず最後は失格となり、レースは佐原と石田が勝って賞金獲得の権利を手にする。
その他のレースも行われ、結局無傷で生還したのは半分以下という凄惨な結果となるが、まだこれは序の口に過ぎなかった。
ここで得たのは賞金に換金するためのチケットであり、換金するためには高層ビルの間に通された鉄骨を期限までに渡り切らねばならない。
今度は競争ではないが、鉄骨には電流が流され落ちたら確実に死ぬ本番。
勇気を出してカイジたち10人が挑むが、死の恐怖からは逃れることはできず、身体のコントロールを失い1人、また1人と落下していってしまう。
ギブアップを宣言し鉄骨に流れる電流を切るように懇願するカイジ達だが、利根川は耳を貸さず無慈悲にゲームは続行。
7人が落ち、残るはカイジ・佐原・石田の3人だけ。
そして石田も足元をふらつかせながらカイジに歩み寄り、懐から1000万円の換金チケットを差し出すのだった―。
8巻のあらすじを振り返ってみましょう。以下ネタバレ注意です。
カイジに全てを託し、石田が落下
「借金に追われて暮らしている妻に渡してほしい」と換金チケットをカイジに託す石田。
〈カイジにチケットを託す石田 [賭博黙示録カイジ 8巻](c)フクモトプロ/福本伸行〉
自分が渡り切ることはできないことを悟り、カイジが勝つことを信じたが故の行動だった。
涙をぬぐってチケットを受け取り、再び前へと歩を進めるカイジ。
しかしカイジが石田を勇気づけようと後ろを振り返ったときには既に石田の姿はなく、石田は動揺を与えまいと恐怖で漏れ出そうな声を押し殺して落下していったのだった。
〈振り返ると石田の姿は無かった [賭博黙示録カイジ 8巻](c)フクモトプロ/福本伸行〉
ゴールに仕掛けられていた罠
石田の遺志を継ぎ、前へと進む勇気と覚悟を固めたカイジ。
〈覚悟が固まった [賭博黙示録カイジ 8巻](c)フクモトプロ/福本伸行〉
強く心を保つことで身体の震えはいつしか止まり、一歩ずつ進んでいく。
ゴールが近づく終盤、同じように進み続ける佐原が先に落下していった同志の幻覚を見て動揺するが、カイジの言葉を支えに幻想を振り切る。
そしてゴールまであと6メートル。
行く手を阻むかのように突風が吹くが、2人は互いにまだ生き残っていることを確かめ合いながら孤独に耐え、先に佐原が鉄骨を渡り切った。
〈佐原が鉄骨を渡りきる [賭博黙示録カイジ 8巻](c)フクモトプロ/福本伸行〉
歓喜に涙しながら外側から窓を開けようとする佐原。
しかし目を凝らすと、室内では見学していたVIP達が遠巻きに腕を組みつつ、妙な笑みを浮かべている。
〈何かがおかしいことに気づくカイジ [賭博黙示録カイジ 8巻](c)フクモトプロ/福本伸行〉
異様な光景にカイジは危険を察知するが、佐原が制止を聞かずに扉を開ける。
すると内外の気圧差で突風が起き、吹き飛ばされた佐原はカイジの目の前であえなく落下していくのだった。
〈最後の罠で佐原が落下 [賭博黙示録カイジ 8巻](c)フクモトプロ/福本伸行〉
本物のゴールへ
佐原がせっかく手にした希望が目の前で潰えた様子に動揺を隠せないカイジ。
あれはゴールではなかったのか、しかし来た道を戻ることもできそうにない―。
必死に考えをめぐらせるカイジは、上のフロアにも誰かがおり、鉄骨から逸れた脇に透明なガラスでできた別のルートがあることに気づいた。
〈真のゴールへと至る道 [賭博黙示録カイジ 8巻](c)フクモトプロ/福本伸行〉
期せずして現れた道に救いを求めるカイジだが、これも罠かもしれない。
しかし罠であったとしても、これ以外に自分が進むべき道はない―。
意を決して鉄骨から逸れた空中に乗り出すと、無事に着地することができた。
賭けに勝ったことを喜び、カイジは真のゴールへとたどり着くのだった。
〈真のゴールに到達 [賭博黙示録カイジ 8巻](c)フクモトプロ/福本伸行〉
現れた黒幕
ゴールで待っていたのは大勢の黒服と利根川。
カイジは仲間たちの死に怒りながら約束通りチケットを出し、換金を要求する。
〈換金は無効…! [賭博黙示録カイジ 8巻](c)フクモトプロ/福本伸行〉
しかし利根川は「多少遅れたが、要求通り電流を切ったのでゲームは失格」と言い放った。
激昂するカイジと、カイジを取り押さえる黒服たち。
するとその前にゲームの黒幕と思わしき老人が姿を見せ、カイジにもう一度チャンスとしてあるゲームをすることを提案する。
〈ある老人が姿を現す [賭博黙示録カイジ 8巻](c)フクモトプロ/福本伸行〉
「Eカード」というオリジナルのゲームでハイリスクを潜り抜いて勝てば5千万以上もの大金が手に入り、ノーリスクでも30万円程度は手に入るというもの。
死んでいった仲間たちの為に後には退けないカイジは、その勝負を受けて立つのだった。
〈死んでいった仲間たちのために [賭博黙示録カイジ 8巻](c)フクモトプロ/福本伸行〉
Eカードのプレイルームへ
プレイルームへと案内されるカイジ。
その道中には1回目の勝負で落下した負傷者たちがゲストとしてまだ残されていた。
老人は彼らを痛めつけることに愉悦を感じ、痛めつけた者には金を与えることで黙らせるまさに影の権力者。
〈老人は影の権力者 [賭博黙示録カイジ 8巻](c)フクモトプロ/福本伸行〉
そんな老人が考案した「Eカード」とは一体どんなゲームなのか―。
【8巻のまとめ】
カイジに換金チケットを託し、石田が落下。
その想いを背負ったカイジは心を強く保ち、佐原と共に先へと進む。
先に佐原が鉄骨を渡り切るが、最後に気圧差による突風という罠にかかってあえなく命を落としてしまった。
真のゴールにたどり着いたのはカイジただ1人だが、利根川も今さらギブアップを認め換金に応じようとしない。
そこに黒幕と思わしき老人が現れ、激昂するカイジに再度チャンスを与えることを提案する。
勝負は影の権力者さながらの老人が考案した「Eカード」なるゲーム。
果たしてその内容は―。
次巻へ続きます。
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