「ママ」と慕われるイザベラのもとで色々な孤児が家族同然に幸せに暮らす「孤児院」・グレイス=フィールド(GF)ハウス。
ここでは赤ん坊のころに預けられた子供を、特殊な勉強とテストにより育てあげ、6歳から12歳までの間に里親の元へと送り出す...と孤児たちは教えられていた。
しかしある日、主人公で身体能力に優れるエマと知略に優れるノーマンは孤児院が実は「鬼」に捧げる食用児の養殖農園だったこと知ってしまい、リアリストで博識なレイ、年長者のドン・ギルダを仲間に引き入れ、GFから全員で逃げ延びるための脱獄計画をスタートさせる。
用意周到な準備を進めるエマ達だったが、イザベラもなりふり構わず計画の阻止に動き出し、ノーマンが志半ばで「出荷」されてしまった。
エマとレイは悲しみに暮れながらも計画の準備を進め、フィルを始めとする4歳以下の子供たちは2年以内に迎えに行くまで農園に残すことを決断、イザベラの目を欺いて見事15人での脱獄に成功した。
「ウィリアム・ミネルヴァ」という人物が秘かに子供たちに残していたペンと本を手がかりに進むエマ達は、途中で知性のある鬼の追っ手に襲われそうになったところを宗教上の理由から人間を食べない異端の鬼、ソンジュとムジカに窮地を救われる。
そしてこの世界は”約束”によって人間と鬼の世界に分断され、鬼は安定した食糧供給のために農園を作ったという真実を知り、最終目標は人間の世界への移住となる。
まずはミネルヴァの待つ地点を目指して荒野を進むエマたちは、誰一人欠けることなくミネルヴァが指定した場所にたどり着き、地下シェルターを発見した。
しかし中には同じく高級農園を脱獄し、仲間を失った後13年間も生き抜いた謎のオジサンが待ち構えており、エマたちを歓迎しているようには見えない。
シェルターの自爆を脅迫材料に交渉を持ち掛け、強引にオジサンの協力を取り付けることに成功したエマとレイは、ミネルヴァからの次の手紙にあったA08-63(ゴールディ・ポンド)を目指し、オジサンに先導役を任せて偵察に出ることとなった。
2人はオジサンを含め周囲への警戒を怠らずに進むが、いつの間にか野生の鬼の群棲地に誘い込まれてしまう。
エマとレイを鬱陶しく思うオジサンが罠を仕掛け、ここで野生の鬼を呼び寄せるのだった―。
8巻のあらすじを振り返ってみましょう。以下ネタバレ注意です。
鬼の弱点に気付く
野生の鬼の群れに追われるエマとレイ。
2人は銃や捕縛ネットで時間を稼ごうとするが、すぐに鬼たちは傷を再生させながら追ってくる。
ただ弾丸だけが消費されるなか、必死に考えるレイは、ソンジュが鬼を殺した時のことを思い起こして「鬼の弱点は目」と気づく。
〈鬼の弱点に気付く [約束のネバーランド 8巻](c)集英社/白井カイウ・出水ぽすか〉
2人は最低限の反撃だけで見事に鬼の縄張りを抜け、脱出。
気力と体力を削られながらも、必死にオジサンについていくのだった。
〈必死についていく [約束のネバーランド 8巻](c)集英社/白井カイウ・出水ぽすか〉
オジサンが心を開くが…
ゴールディ・ポンドが近づき、予想以上に粘る2人を見ていよいよどちらを死なせるか決めたオジサン。
一方、エマもこの旅路でオジサンの過去や考えを察し、腹を割って話すことを提案。
エマはオジサンがかつては自分たちと同じように家族同然の仲間と脱獄し、そして失った悲しみと孤独を背負って生きてきたことを察していた。
〈オジサンと腹を割って話すエマ [約束のネバーランド 8巻](c)集英社/白井カイウ・出水ぽすか〉
エマはオジサンの気持ちに寄り添い、共に人間の世界へ脱出する決意を口にする。
死んでいった仲間たちの遺志に改めて気付かされ心変わりをしたオジサンは、「今すぐ引き返せ。ゴールディ・ポンドには入るな」と警告する。
〈オジサンが心を開く [約束のネバーランド 8巻](c)集英社/白井カイウ・出水ぽすか〉
しかし時すでに遅し。
エマは密猟者らしき者による罠によって拉致されてしまうのだった。
〈罠で拉致されたエマ [約束のネバーランド 8巻](c)集英社/白井カイウ・出水ぽすか〉
ゴールディ・ポンドにたどり着く?
エマが目を覚ますと、そこは見覚えのない集落だった。
〈たどり着いた先は… [約束のネバーランド 8巻](c)集英社/白井カイウ・出水ぽすか〉
人間が住んでいる村のようだが、人っ子一人見当たらない異様な静けさ。
自分の掌にいつの間にか書かれていた「USE YOUR PEN(ペンを使え)」という言葉に従うと、現在地は目指していた「A08-63」と表示される。
建物の看板には「RULES(ルール) 1.MUSIC(音楽) 2.MONSTERS(怪物) 3.SURVIVE(生き残れ)」の文字だけ。
〈謎の看板と音楽 [約束のネバーランド 8巻](c)集英社/白井カイウ・出水ぽすか〉
意味が分からないまま音楽が鳴りだす。
戸惑うエマの前に子供が現れ、「早く隠れたほうがいい」とアドバイスを送るのだった。
鬼が所有する秘密の狩場だった
エマが目の前で罠にかかる一方、難を逃れたオジサンとレイ。
助けに行こうとするレイをオジサンが引き留め、ゴールディ・ポンドで起こる悪夢を語る。
音楽が鳴ると鬼たち(密猟者)が現れ、放し飼いにしている子供たちの狩りを始めるというのだ。
〈ここは秘密の狩場 [約束のネバーランド 8巻](c)集英社/白井カイウ・出水ぽすか〉
鬼の貴族であるバイヨン卿が所有する土地で、人を食うという狩猟本能を満たすための、秘密の狩場だった。
ここには農園からの子供を生きたまま補充し、鬼の富裕層を対象として狩りの遊びをしているようだ。
いったん冷静に身を隠しながら、エマの救出に向けて狩場に侵入する準備を整えていくのだった。
〈オジサンとレイも侵入を試みる [約束のネバーランド 8巻](c)集英社/白井カイウ・出水ぽすか〉
鬼たちに立ち向かうエマ
狩りが始まり、わけもわからないまま追い回される子供たち。
〈狩りを楽しむ鬼たち [約束のネバーランド 8巻](c)集英社/白井カイウ・出水ぽすか〉
上級貴族の鬼ルーチェとレウウィス大公が何も知らない三人の兄妹テオ・ジェイク・モニカをいたぶりながら追い詰め楽しんでいるところに、冷静に事態を察したエマが助けに入る。
邪魔されたルーチェは怒る一方、瞬時に鬼への殺意を見抜いたレウウィスは本気では向かう久々の獲物の登場に心を躍らせていく。
〈他の子を助けて回るエマ [約束のネバーランド 8巻](c)集英社/白井カイウ・出水ぽすか〉
エマは自分が鬼にとって最上級のごちそうであることを餌にして、自ら囮となって子供たちを助け回る。
エマの入れ知恵で子供たちは上手く隠れていくが、レウウィスは一筋縄ではいかない相手。
音楽が鳴りやみ、無事に狩りの時間が終わった。
しかしレウウィスはテオの目の前でジェイクとモニカを惨殺し、テオの恐怖と絶望を通じてエマの憎悪を煽るのだった。
〈憎悪を煽るレウウィス [約束のネバーランド 8巻](c)集英社/白井カイウ・出水ぽすか〉
生き延びていた仲間と合流
遊び感覚で人間の命を奪うレウウィスたちのやり方に怒るエマ。
その夜、この村を仕切る子供たちの集団と面識を果たす。
リーダーのオリバー、救護担当のサンディとザック、機械類担当のナイジェル、副リーダーのソーニャ、食糧担当のペペ、ジリアン、ポーラ、そして最初にエマを助けた少女ヴァイオレットと、巨漢のアダム。
〈新たな仲間たち [約束のネバーランド 8巻](c)集英社/白井カイウ・出水ぽすか〉
9人のほとんどはバイヨン卿御用達の”グランド=ヴァレー(GV)”農園出身で、鬼たちから支給される武器をコツコツと集めて密猟者に逆襲する作戦を練っていた。
そして9人に知識や知恵を与えていたルーカスという成人にも出会う。
〈ルーカスとの出会い [約束のネバーランド 8巻](c)集英社/白井カイウ・出水ぽすか〉
ミネルヴァのペンのことも知っているルーカスは、オジサンのかつての親友で死んだと思われていた男。
かつてここで全滅しかけたときオジサンを唯一逃がすことに成功し、自分は手負いの身ながら別の子に助けられ、風車を拠点に隠れて生き延びていた。
ここから脱出することも考えたが、仲間の無念や同じように集められた子供たちを救うために狩場を潰す決意を固め、子供たちを裏で束ねて知識や技術を伝えてきたのである。
そしてもう1つ、風車の奥に秘密の扉を見つけていた。
〈秘密の扉の先へ [約束のネバーランド 8巻](c)集英社/白井カイウ・出水ぽすか〉
その扉を開けるにはミネルヴァのペンが鍵となる。
ルーカスはエマを連れ、その扉の奥へと進むのだった。
【8巻のまとめ】
鬼の弱点が目であることに気づき窮地を切り抜けたエマとレイ。
オジサンが心の奥に仲間を失った悲しみと孤独を抱えていることを見抜いたエマは腹を割って話し、オジサンもついに心を開く。
しかしその矢先、エマは密猟者の鬼が仕掛けた罠に掴まり、連れ去られてしまう。
エマがたどり着いたのはミネルヴァが指定した場所、ゴールディ・ポンド。
この集落でオジサンの親友であるルーカスや他の子供たちと合流するが、ここは鬼の貴族バイヨン卿が所有する秘密の狩場だった。
狩りに参加する鬼たちは何れも富裕層、特にレウウィス大公は一筋縄ではいかない強敵。
鬼たちへの逆襲を企むルーカス達にエマが加わり、さらにエマが持ってきたペンによって集落に隠された秘密の扉が開く。
誰も入れなかった扉の先には何が待っているのか―。
次巻へ続きます。
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