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怪我で戦線離脱、2軍から這い上がりリーグ優勝に貢献!『グラゼニ』4巻【ネタバレ注意】

講談社/森高夕次・アダチケイジ
~前巻までのあらすじ~

プロ野球のスパイダースに所属していた凡田夏之介は、プロ8年目で年俸1800万円の中継ぎ投手で、プロ野球選手としては決して一流とは言えない選手である。

このままでは引退後は年収100万円台の生活に陥ってしまう。

「グラウンドには銭が埋まっている」略して「グラゼニ」を胸に、同郷の先輩で引退しラジオでの解説者に転身を果たした徳永、同期で先発投手の渋谷、後輩で期待の若手野手である大野らと共にプロ野球選手としての生活に励むのであった。

 

4巻のあらすじを振り返ってみましょう。以下ネタバレ注意です。

急きょ先発した凡田にアクシデントが

神宮スタジアムは雨であり、5回までもって試合成立するかどうか微妙な展開のところ、翌日のビジターゲームのために名古屋に前入りしていた先発予定の秋葉が熱を出したとの一報が入る。

監督は急きょ、クラブハウスにいる凡田を奇襲先発させることにし、極秘かつ緊急で名古屋に向かうよう指示。

ワンポイントやロングリリーフに加え、先発でも使われる凡田はまさに便利屋であり、監督はここで結果を出せば凡田の憧れだった先発ローテーション入りもあり得ると考えていた。

その頃、名古屋での文京モップスと名古屋ワイルドワンズの試合ではモップスが勝利したものの、リードオフマンの梅沢がヘッドスライディングの際に左手首を骨折してしまう。

その様子を目の前で見ていたワイルドワンズの冬木と出村、特にプロ意識の塊である冬木は「プロはヘッドスライディングすべきでない」という美学を持っており、出村も共感していた。

しかしその翌日、凡田の先発の試合では冬木はセーフティバントを仕掛けた際に凡田のタッチを掻い潜るため、また凡田の鋭い牽制球によって慌てたために2度もヘッドスライディングすることとなる。

続く出村もセーフティ気味の送りバントでタッチを掻い潜るためにヘッドスライディングせざるを得ず、オーバーランした冬木が2・3塁間で挟まれてしまう。

凡田はまず冬木にタッチしてアウトを取り、さらに2塁へ進塁しようとした出村もアウトにしようと自ら飛び込む。

しかしこのとき2塁に足からスライディングした出村と交錯し、凡田は骨折により戦線離脱してしまうのだった。

2軍から這い上がった男

全治2ヶ月と診断され、2軍のグラウンドで回復に専念する凡田。

スパイダースの2軍には、草野球のおっさんのように明るく楽しく野球をする、樹六破という凡田と同い年の選手がいた。

樹は守備と走塁は並み、バッティングセンスはいいものの打席では何も考えておらず、性格も典型的な「プロ向きではない人」のもの。

樹はそこそこ大きい和菓子チェーンの社長のひとり娘と結婚しており、引退後に後を継ぐことが決まっていることから必死にプロの世界にかじりつく気概が足りていない。

そんななか、根気よくリハビリをしは凡田は、9月に樹と同じタイミングで1軍復帰を果たした。

リーグ戦でスパイダースは上位3チームによるデッドヒートに食い込んでおり、チームとして負けられない戦いが続く。

樹も1軍での初安打を目指すが、運に恵まれずヒット性の当たりが次々とアウトに。

守備でも凡田が打ち取ったフライをお見合いしてしまい、決勝点を相手に献上してしまう。

妻の出産を間近に控え、気が気でない樹は次の試合でも打つか押し出しでサヨナラ勝ちという場面で強引に打ちに行った結果、相手の好守備に阻まれてチャンスを潰してしまった。

その翌日、ようやく樹にプロ初安打が飛び出し打点もマークするが、この日はスパイダースが大量リードされていたために焼け石に水。

初めはのほほんと野球を楽しんでいた樹だが、産まれてくる子供のために1軍にかじりつきたいという気持ちが沸き上がるなか、凡田は「家族は関係ない。俺は消えていた期間を取り戻して優勝に貢献したい」と叱咤し、ここから樹は変わった。

優勝争いの大事な3連戦で代打ながら2本塁打8打点と大暴れし、その後も快音は止まらずチームが首位に躍り出る。

樹が打って凡田が抑えるいい流れを守るため、野球に集中しようとビジネスホテル暮らしをしていた樹。

しかし出産間近な妻が気になって実家に帰った途端に勢いが止まってしまった。

対戦相手のマークが厳しくなったこともあり、樹は打てないままチームは優勝をかけてテンプターズとの最後の天王山に臨むことに。

すっかり気が滅入っている樹のもとには、妻が破水して帝王切開となり、産まれた子供がNICUに入院したとの連絡が義父から入る。

慌てふためく樹に義父は「野球に集中しろ」と叱咤し、樹は妻と子供が気になって仕方ないまま試合に入った。

そして両チームともプレッシャーが重くのしかかり、互いに無得点という緊迫した展開のまま試合は終盤へ。

絶好調のままマウンドに立った凡田は改めて感じたプレッシャーに飲まれ、痛恨の先制ホームランを打たれてしまう。

しかしその裏には代打で出場した樹が価千金の同点ホームランを打ち、試合は引き分けのままスパイダースが優勝を飾った。

樹のメンタルは試合どころではなかったものの、それが逆にプラスに働いた結果であり、あやうく優勝逸脱の戦犯になるところだった凡田は涙ながらに樹に感謝するのであった。

ナッツ(高校生)編②

山梨県の鶴見川高校のエースでドラフト候補でもある西浦は、1年後輩の凡田が第2のエースとして台頭してきたことに焦りを感じていた。

身体は細いものの野球のIQが高い凡田は、力任せの投球しかしない西浦のことを内心ではバカにしており、監督も結果を出している凡田をより強い相手にぶつけている。

そんななか、鶴見川高校は昨年の甲子園の優勝校と準優勝校の2校と練習試合が組まれ、プロのスカウトやマスコミたちからも注目が集まる。

そんななか、凡田は準優勝校を相手に堂々としたピッチングで完封勝利をあげる。

凡田を激しく意識する西浦にはプレッシャーがのしかかるが、気合いではね除けて西浦も優勝校を相手に完封。

スカウトたちが色めきだって西浦を評価するなか、スパイダースのスカウトである安田はこのときから西浦よりも凡田に目をつけるようになるのであった。

【4巻のまとめ】

中継ぎの便利屋として登板機会が増える凡田だったが、急きょ先発に抜擢される。

先発投手への転向と言う憧れを抱いていた凡田は気合十分だったが、不運にもクロスプレーで骨折し、戦線離脱することに。

根気よくリハビリをして1軍に復帰した頃には4か月が過ぎており、チームは優勝争いの真っただ中。

2軍で苦楽を共にした樹と共に1軍に昇格した凡田は、ブランクがあったものの目覚ましい活躍を見せ、樹と共にチームのリーグ優勝に貢献するのであった。

次巻へ続きます。

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