学園生活部として活動するゆき、くるみ、りーさん、そして顧問のめぐねえ。
彼女たちが生活する何気ない学校の情景はすべてゆきの見るまぼろし。
現実はゾンビに侵略された荒廃した学校だった。
彼女たちは部活動と称し、ゆきの心の平穏を守りつつ生きるために活動する。
学園生活部の活動の一環として遠足へと出た三人は、廃墟と化したショッピングモールで唯一の生存者だった少女みーくんを救出し、仲間に加える。
そんななか、学園生活部に入部する意思を固めたみーくんは、めぐねえが隠していた職員用緊急避難マニュアルを発見し、部員たちはこのパンデミックが少なからず予想された人為的なものであることを知る。
物資を求めマニュアルに記載された地下へ足を踏み入れたくるみは、地下室でゾンビ化した恩師めぐねえに噛まれてしまうアクシデントに見舞われるが、極限のなか、みーくんがめぐねえを倒し、持ち帰った薬でくるみは見事生還した。
めぐねえを弔い、部員たちは地下で食糧に加え、PCやラジオを手に入れた学園生活部。
だがそんななか、上空に飛来したヘリがグラウンドに墜落。
そして、なんとか生き延びた部員たちは炎上した高校を卒業し、新たな場所、大学への旅立ちを決意する。
大学を目指す道中、極限の状態から少しずつ言動がおかしくなるりーさん。
くるみもまた自らの身体に異変を感じていた。
りーさんは大学への道中で救い出された幼い少女に自身の妹を投影するなか、ようやくたどり着いた大学では武闘派チームとサークルチームの対立に巻き込まれ、助けてくれたサークルチームと交流を深める学園生活部。
新たな情報も得てサークルチームと共に外の世界を再び探索する計画を練る。
その陰で、みーくんは理学棟でインターホン越しに会話した謎の女性から、国家クラスの組織は全滅したと聞かされ、動揺を隠しきれないのだった。
厳しい規律の中で徹底した感染対策をしていたにも関わらず感染者が出たことで武闘派たちは、学園生活部とサークルのメンバーらを襲撃。
次々とメンバーが確保されるなか、るーちゃんを連れたりーさんもついに捕まってしまう。
武闘派のアヤカに足蹴にされ、置き去りにされるるーちゃん。
しかし、そこにはくまのぬいぐるみが残されているだけだった。
9巻のあらすじを振り返ってみましょう。
せんたく
確保されたゆき、りーさん、みーくんの三人。
るーちゃんを迎えに行かなければというりーさんをみーくんが落ち着かせようとしていることろにシノウが入ってくる。
誰が高上を殺したのかと尋ねるシノウ。
きょとんとする三人に自分の名を名乗り、再度誰が殺したのか？と尋ねる。
「知らない」という三人のリアクションを確認すると、謝罪し、鍵を開けておくので逃げるよう言い残して部屋をでる。
シノウが部屋を出たあと、窓の外からリセが現れる。
リセはサークルメンバーの無事とくるみの不在を伝え、リセをはじめサークルメンバーはここに残り武闘派と対話をする決意をしたことを告げる。
学園生活部はくるみを探しにまずキャンピングカーへ向かう。
危険を考えるとこのままくるみを置いてここから立ち去る選択肢もあったが、ゆきたちは自らの選択でくるみを探しに戻ることにする。
つたえる
どうして学園生活部とともに逃げなかったのかと武闘派に尋問されるサークルメンバー。
高上の感染から学園生活部に疑いの目を向けたことにも理解を示しつつ、筋の通った説明をし、学園生活部の無実を証明しようとするが、武闘派リーダーの男は焦った様子で「解毒剤をだせ」とサークルメンバーを問い詰める。
アヤカはその姿に何かを感じる。
学園生活部の面々はくるみとルーちゃんを捜索すべく二手に別れようとしていた。
捜索はみーくんに任せ、ゆきとりーさんはキャンピングカーに残る。
これまであまり語られなかった思いやみんなに対する感謝を述べ、りーさんを励ますゆき。
りーさんが安心し眠ったことを確認するとゆきもくるみを探しにいくのだった。
武闘派の尋問は続いていた。
興奮した状態で解毒剤を出せと問い詰めるリーダーだったが、次第にゾンビ化のような症状をみせる。
皆がその異変に気づき警戒すると、男はその場から逃げ出し、運悪くみーくんと鉢合わせしてしまう。
せきにん
男はみーくんにもお前たちのせいだ、解毒剤をだせと詰め寄るが、みーくんは理学棟で聞いた「ウイルス変異と空気感染」の話を説明する。
しかし、目の前の焦る男がゾンビ化し始めてる事に気づいたみーくんはその場から逃げ出す。
自暴自棄になった男は、感染すれば解毒剤を出さざるを得ないだろうと大学内にゾンビを呼び込むという行動にでた。
その状況を見たアヤカは「ここも潮時ね」とサイレンを鳴らし、さらにゾンビが大量を呼び込むこととなる。
さいごまで
ゾンビ化が進み始めたくるみは、意識が混濁した状態で愛用のシャベルを置いたまま彷徨う。
シャベルを見つけたゆきは、ゾンビを避けつつ堀の上を渡りくるみを探す。
そのとき大量のゾンビの群れのなかにくるみを発見する。
何度も呼びかけるゆき。しかしくるみは無反応で、くるみに手を伸ばしたゆきは堀から落下してしまう。
落下の衝撃に反応したゾンビはゆきに一斉に襲いかかる。
その一瞬で正気に戻ったくるみはゆきに覆い被さりゾンビたちの目からゆきを隠すのだった。
向き合い横たわるゆきとくるみ。
意識があんまりないんだというくるみは、もはやゾンビ化の進行は止まらないと諦めていたが、ゆきはそんなくるみを鼓舞し説得する。
しばらく言い合ったのちくるみが折れ、絶対に最後まで一緒だと約束しあうのだった。
あがき
サークルメンバーにより大学のバリケードが補強され、ある程度の安全は確保でたものの学園生活部が大学の建物内に戻ってくる気配はなかった。
るーちゃんをなんとか見つけたりーさんだったが、ドアの前にゾンビが集まり出れない状況に追い込まれる。
そのとき抱き抱えたるーちゃんが「あっち...」と指を差し、りーさんは意を決しその方向へ飛び降りシノウと合流する。
みーくんとアキはサークルメンバーが救助のために垂らしたカーテンの布から校内に入ろうと試みるが、突如車が二人の目の前で大学に突っ込んでくる。
車から武闘派のリーダーだった男が出てきて「解毒剤をだせ」とクロスボウをみーくんに向け再び脅すのだった。
いのち
今度こそ逃がさんと脅す男に「生きていればそれでいいんですか」とみーくんは疑問を投げかける。
激昂した男はついにみーくんにむかってクロスボウを放とうとするが、そのときシノウとりーさんがかけつける。
シノウにより腕を刺された男はお前だって散々殺してきただろうとシノウを叱責する。
詰め寄られるシノウだったが、自分のお腹を触りこの子のために生きると決めたと男へ言い返すのだった。
男がひるんでるうちにかけつけたサークルメンバーと、ゆきとくるみも合流して分が悪いと判断した男は退散する。
退散した男はかつて仲間であったゾンビを集めた場所を塀の上から見下ろしていた。
そこへアヤカが現れ「俺は選ばれた」と言う男をゾンビの下へ突き落とし、「選ばれたのは私よ」と言い放つ。
これから大学を出るりーさんは、シノウにくまのぬいぐるみであるるーちゃんを生まれてくる子の友達として託す。
そして、男を突き落としたアヤカは車で外に出たものの、車は突如エンジンが止まってしまう。
最後まで私は死なないと言い続けていたが、停車した車にはゾンビが群がっていくのだった。
【9巻のまとめ】
武闘派に捕まってしまったゆき、りーさん、みーくんの三人。
シノウの協力により逃げ出すことに成功し、くるみを探しに向かう。
同じころ、サークルメンバーは武闘派により尋問を受けていた。
解毒剤を出せと異様に焦った様子の武闘派リーダーだったが実は彼自身が感染状態にあったのだ。
リーダーの男は自暴自棄になり大学構内にゾンビを引き入れる。
その群れに混じるゾンビ化が進み我を忘れたくるみは、ゆきの呼びかけで再び自我を取り戻す。
なんとか大量のゾンビを回避したところで、ふたたび武闘派のリーダーが解毒剤を求めて襲撃してくる。
しかし、お腹に新たな命を宿したシノウの活躍により撃退に成功し、逃走した武闘派メンバーは仲間割れの末、悲惨な最後をむかえるのだった。
【9巻の見どころ】
この巻の見どころは、ゾンビ化が進むくるみとゆきの再会シーンです。
混濁した意識のなかシャベルを手放し彷徨うくるみを、命がけで探し出すゆき。
ゾンビの群れの中でついに見つけたくるみに呼びかけ続けるも無反応で、ゆきは堀に落下してしまいます。
その瞬間、くるみは正気を取り戻し、ゾンビからゆきを守るように覆い被さるのです。
自我を失いかけたくるみに対し、「最後まで一緒だ」と語りかけるゆきの姿は胸を打ちます。
次巻へ続きます。
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