カモメ古書店、そこは凶悪な犯罪に巻き込まれた被害者やその遺族が無念を晴らすために訪れる店。
古書店の主・鴨ノ目 武(カモ)とその相棒である島田 虎信(トラ)のコンビでこれまで数々の復讐依頼をこなしてきた。
シリアルキラーの園田に両親と従姉妹を殺害された開成 奈々子の面倒を見ながら、奇妙な同居生活が続いている。
メインストーリーにおいて主要な凶悪犯の1人として描かれた園田は、大学時代に漫画研究会に所属しており、そこには同じく殺人鬼である近野もいた。
互いに秘密を共有しながら表向きは平穏な日々を過ごしていたように思われた大学時代だが、園田と近野は当時から様々な事件を経験していた―。
園田と近野の過去を描くスピンオフ作品。
メインストーリーの完結編である「外道の歌」最終巻で描写があった、近野とヘルペス・メンチョとの関係も描かれています。
さっそく、1巻のあらすじを振り返ってみましょう。以下ネタバレ注意です。
目次
2人の殺人鬼が大学の学園祭に
6年前、大学の学園祭で園田らの漫画研究会は自作の同人誌を販売。
久野と近野の2人が不良の客2人にナンパされ、そこを園田が持ち前の毒舌で水を差す。
怒った片方の不良はその場で園田を殴るが、園田はボコボコにされながらも興奮した相手の表情や殴られた自分の顔に興味津々。
そしてそれを見ていた近野はその場でBLの妄想をスケッチブックに書くが、もう1人の不良が「きめえんだよお前」と吐き捨てられた。
その夜、園田は路地裏でその不良に待ち伏せされて襲われるが、隙を見て相手の首に噛みいて撃退。
さらに相手の家に押し入って生きたまま目玉をくり抜くなど試しながら殺害した。
一方、近野は自分の絵をバカにした不良のSNSアカウントを発見し、逆ナンパを装ってお手製のドラッグカクテルを飲ませて動きを封じ、トリカブトの毒を飲ませて殺害。
互いに殺人鬼同士と知る園田と近野は、2人とも翌日から何食わぬ顔でまた漫画研究会に顔を出すのであった。
漫画研究会でお寺での合宿へ
漫画研究会の会長である木根の伝手で、茨城県の法禅寺という場所で合宿することになった一行。
住職の古田は寺の案内がてら、ちょうど寺に滞在している一般人たちを紹介する。
滞在していたのはIT系社長の若林、浮気をした懺悔を抱える辻 真理恵とその彼氏の加賀 涼、そして女子3人で卒業旅行に来た小沢、守屋、志田の計6人。
園田たちはその夜、肝試しをすることにし、後からついてきた小沢たち3人を加えて3チームに分かれることに。
Aチームは園田と吉飼、Bチームは木根・久野・志田、Cチームは近野・守屋・小沢。
ただの肝試しのはずが、台風の接近で突然雨が降り出し、事件が起きてしまうのであった。
殺人事件が発生、園田と近野で犯人探し対決が始まる
大雨が降りだしてスタート地点に各チームともスタート地点に戻るが、守屋の姿がない。
そして付近では近野が守屋が倒れて既に死んでいるのを発見した。
園田は古田住職に伝えて警察と病院に通報し、木根が引率のために来るまで警察に向かうが、土砂崩れで山道を塞がれ、寺は陸の孤島と化してしまう。
近野が殺人鬼だと知る園田は第一発見者である近野にこっそり確認するが、近野に初対面の人を殺す動機などあるはずもなく、それはつまり2人以外に守屋を殺した犯人がいるということを示していた。
どっちが先に犯人を見つけられるか競争しようと言い出す近野。
園田が勝てば近野の過去の殺人について詳しく打ち明ける代わりに、園田が負ければ吉飼をバックハグしてほっぺにキスするBL展開を実演するのが条件であり、負けられない勝負が始まるのであった。
もう1人の犠牲者が発生、先に犯人を見つけた園田だが…?
その夜、園田たちの部屋には小沢と志田も合流して一緒に寝ることとなる。
しかしそれでも次の殺人が起きてしまった。
トイレで若林が刺殺されているのが見つかったのである。
園田たちの部屋からは誰も出ておらず、別の部屋で辻と一緒にいた加賀が取り乱す。
翌日には警察が来ることとなり、犯人を特定するなら今夜がラストチャンス。
園田が犯人に目星をつける一方、その夜に加賀と辻がいなくなり、園田もいつの間にか姿を消した。
そして木根と近野もまだ大雨の振るなか、園田を追って外へと急ぐ。
防火水槽の近くで加賀は辻の首を絞めて殺そうとしており、その現場に園田が追いついた。
どうやら辻のスマホには寺で出会ったばかりのはずの若林と浮気をしたラインの証拠が残っており、園田の見立てどおりそれを見た加賀が激昂した若林を殺していたようだ。
辻を絞殺しようとする加賀に対し、園田は止めるどころか口外しないからそのまま続けましょうとそそのかすのだった。
友人を傷つける奴を決して許さない近野
他方、園田を追って外に出た近野は、久野が何者かに襲われて倒れているのを発見する。
久野は一命をとりとめたものの、冷たい感情に支配される近野。
外では小沢が志田の頭を石で何度も殴打しており、その現場に近づいた近野が背後から小沢の首に痺れ薬を注射した。
久野が襲われたのは志田からジャケットを借りた結果、雨で視界が悪いなかで志田と見間違えられて小沢に襲われたため。
小沢は常々から守屋と志田に田舎出身であることを笑いものにされてきた恨みから2人を殺したことを認めたが、近野は大事な友人である久野を傷つけられた復讐で小沢を殺害したのだった。
事件は無事に解決
彼女を殺すようにそそのかされた加賀だったが、結局そのまま殺すことができなかった。
結局、答え合わせとしては守屋を殺したのが小沢、若林を殺したのが加賀という別々の犯人による事件であり、連続殺人だと思っていた園田と近野は共に半分正解という結果に。
それでも近野は自分が11歳のとき、親友を殺したのが初めての殺人であると打ち明け、園田の興味を引く。
さらに2人の賭けは厳密には守屋が殺された時点での犯人探しであり、その意味では近野が真犯人の特定に成功したともいえる。
幸いにも久野が回復した1か月後、渋々ながら近野の言い分を認めた園田は約束通り吉飼にバックハグしてほっぺにキス。
近野だけが大興奮するなか、他の全員がドン引きするのであった。
【1巻のまとめ】
6年前、大学の漫画研究会に所属していた園田と近野は、互いに殺人鬼という秘密を共有しながら表向きは何気ない日常を過ごしていた。
しかし大学の文化祭では絡んできたヤンキーをそれぞれ1人始末するなど、凶行を重ねていく2人。
合宿で訪れたお寺では運悪く殺人事件に巻き込まれてしまうが、そこでも犯人を探す勝負をしながらスリルある日常を楽しんでいるのであった。
次巻へ続きます。
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