主人公、辻堂麟太郎はかつて自転車のロードレース競技で高校選手権2位を獲り、将来を期待されていた選手であった。
しかし、高校選手権と時を同じくして、母親と妹が自動車事故により他界。父親は植物状態となり、延命治療には毎月20万円という費用がかかるという。
麟太郎はヨーロッパに渡ってロードレースの選手となるという夢を一旦封印し、より手っ取り早く大金を稼げる自転車競技「競輪」の選手となる決断をした。
友人でありライバルの寒川に競輪のイロハを教わるなか、実際のレースを見学しに行った麟太郎は、競輪の戦い方やプロとしての姿勢から学んでいく。
そして徹底先行で1着となった八郎潟 恵(ハチ)に憧れる一方、嫌われ者の「死に神」こと秋谷も圧倒的な実力を見せつけるのであった。
レースを見ていた麟太郎は危険なプレーを厭わない秋谷を認めず、徹底先行したハチに憧れを抱く。
ハチに弟子入りするべく出身地である秋田にまで押しかけるも空振りに終わってしまったが、その大馬鹿さを聞いたハチは麟太郎の弟子入りを快諾した。
だがその条件は秋谷を師匠として練習に励むこと。
秋谷はかつてトレーニング中に弟子が命を落としてしまう事故があったことが明らかとなるなか、どうしても競輪選手になって金を稼がなければならない麟太郎は、競輪学校の入試突破を目指して秋谷の弟子となった。
麟太郎はロードレースの走りに慣れすぎた結果、無意識に脳がリミッターをかけてしまい全力で走ることができないという致命的な結果が浮き彫りに。
秋谷の姉・杏里の力を借りて全力を出し切る走りを掴んだ麟太郎だが、他の選手会の選手らにシマ荒らしを疑われて勝負を持ち掛けられ昨年のインターハイで1000mTTで優勝した猛者の烏帽子岩 権造（ゴンゾ）と対決することとなる。
全てを出し切るレッドゾーンの走りで自己最高のタイムを出した麟太郎だが、ゴンゾには完敗。
ゴンゾと親しくなった麟太郎は秋谷のレースを観戦に行った際に、競輪マニアの女子高生である大津ミホと桃子と出会う。
麟太郎に触発されて死に神の技を封印しながらも力ずくで優勝する圧倒的な強さに、麟太郎は感動と尊敬の念を抱くのであった。
6巻のあらすじを振り返ってみましょう。
ミホの失恋
秋谷と六郷の師匠である尻手は52歳と最年長ながらも巧みなテクニックで戦い続ける現役のS級選手。
決勝では6着に沈んだものの、観客からは熱い拍手が送られ、また孫弟子にあたるゴンゾはいつか自分が尻手と六郷をゴールまで導くと意気込む。
ミホはそんなゴンゾに一途な恋心を抱いていたが、ゴンゾに彼女がいることが判明すると失恋にショックを受けてしまう。
その場ではゴンゾと麟太郎と連絡先を交換するが、これが麟太郎にとって大きな出会いとなるのだった。
入試に向けて猛練習
秋谷とともに、競輪学校の入試に向けて本格的な猛練習が始まる。
文字通り全力を出す「もがき」ができるようになったことでタイムも合格射程圏内まで伸び、触発された寒川も負けじと猛練習。
ロードレースのおかげで蓄積した疲労や乳酸を除去する能力、そしてコーナリングや下りの走りの技術は麟太郎の大きな武器であり、化けるかポテンシャルを秘めていた。
唯一スタートだけはまだまだ下手で無駄が多く、春を迎えてハチが本拠地の秋田に帰っていくなか、麟太郎は入試一発合格に向けて気合を入れるのだった。
一発勝負の技能試験
いよいよ一次技能試験の日、一発勝負の試験が全国5か所の会場で始まる。
自分を応援してくれている人たちのためにも気合が入る麟太郎だったが、あいにくの雨が降り出し、会場のコンディションは悪くなっていく。
雨が降り出す前に寒川が好タイムを出すが、麟太郎が走る頃には大粒の雨となっていた。
そして麟太郎はスタート時に雨で後輪が滑ってしまい、ロスを取り返そうと強引な加速。
しかしそれは事前に秋谷から教わっていた「逆効果」の走り方だった。
焦って師匠の教えをも忘れた麟太郎は途中でその大失敗に気付き、必死にペタルを回してゴールを目指したものの、結果は箸にも棒にも掛からない不合格。
期待に応えられなかった麟太郎は、秋谷に見せる顔もないままピストを返し、行方をくらませてしまうのだった。
失意の麟太郎にラストチャンスが
失意に沈む麟太郎は、植物状態の父親が入院している病院にあった。
高額な治療費を払うため、そしてロードレースへの夢のためにも絶対に合格しなければならなかった競輪学校の入試に落ちたことで、麟太郎にはもう叔父と伯母の伝手を頼って普通に就職し、自転車の夢を諦めるほかなかったのである。
そこに姿を見せた秋谷は、麟太郎に志半ばで夢を諦めさせないために自腹を切って病院に治療費300万円を払い、麟太郎の叔父と伯母にも麟太郎が競輪選手になるまで見届けるように直談判。
秋谷のおかげで麟太郎は半年後の試験という泣きのラストチャンスを与えられるのだった。
競輪学校に入学
麟太郎は半年後の入試を無事突破し、寒川、ゴンゾ、ノリ（ハチの弟）らの半年遅れで競輪学校に入学。
全国から集まった同期入学生にはオーストラリアに留学していた美里 昌（和尚）、小柄でマザコンな小牧 裕（ママ）、母子家庭で育ち母への恩返しを使うヤンキー・心斎橋 健太(バリコ）、沖縄出身の名護 猛（シーサー）、麟太郎と同じく秋谷に練習を見てもらった黒岩（イワ）、性格が悪い須崎 英雄、会社が倒産して競輪に転向した野多目 功樹らがいる。
なかでもシーサーは海外留学経験も実績もあるトラックエリートで、注目の新人である。
麟太郎はバリコ、ママ、須崎と同じ部屋となり、競輪学校での新たな生活が始まるのであった。
【6巻のまとめ】
猛練習を積んでいよいよ競輪学校の入試に臨んだ麟太郎だったが、焦りから大失敗を犯してしまい結果は不合格。
失意に沈み自転車の夢を諦めかけるが、漢気を見せた秋谷が麟太郎の父の治療費を一部肩代わりし、麟太郎は半年後の2度目の試験で見事に競輪学校に入学した。
寒川、ゴンゾ、ノリ（ハチの弟）らの半年遅れとなり、全国から集まった同期の猛者たちとの新たな生活が始まるのであった。
次巻へ続きます。
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