神話やおとぎ話のモチーフとなり、かつて怪物や妖怪などと称され迫害されていた、「亜人」と呼ばれる特別な性質を持つ人間たちがいる世界。
現在では、亜人たちは世間に「個性」として認められて一般社会に自然に溶け込み、社会的な弱者である亜人に対する「生活保障」が整備され、差別意識も希薄となり、若者たちには亜人のことを「デミ」と可愛く呼称するまでになっていた。
新学期、大学時代から亜人に興味をもっていた高校の生物教師の高橋鉄男は、これまで一度も出会ったことのない亜人たちに、突如として囲まれる生活を送ることになる。
おしゃべり好きでお調子者な「ヴァンパイア」の小鳥遊ひかり、頭と胴体が分離している「デュラハン」の町京子、暑さに弱い「雪女」の日下部雪といった1年生の生徒たちや、地味な服装にして異性を避けている「サキュバス」の新人教師佐藤早紀絵……。彼女たちは、それぞれに「亜人としての悩み」を抱えながら日常生活を続けていた。
当初はただの興味の対象としか見なさなかった鉄男は、次第に教師として同僚として、彼女たちの話を聞きながら問題に向かい合っていく。一方で、彼女たちは亜人である自分達に真摯に向き合おうとする鉄男のことを信頼し、町や早紀絵たちは次第に恋愛感情を持つようになる。
本作は、日々の高校生活の中で繰り広げられる、個性的な亜人たちとの交流で織り成される学園サイエンスコメディーである。
さっそく、1巻のあらすじを振り返ってみましょう。以下ネタバレ注意です。
4人の亜人に囲まれた青春が始まる
世の中には亜人と呼ばれる特別な性質を持つ人間がおり、個性として認められるようになった近年では亜人に対する生活保障制度もできた。
柴崎高等学校の生物教師である高橋鉄男は、学生時代から亜人の研究を志していたが、亜人に会うことはできないまま高校教師になって4年。
そんなある日、高校に新たな女教師が赴任してきた。
彼女の名は佐藤早紀絵、サキュバスの亜人だった。
思いがけない亜人との出会いに驚く鉄男は、さらに1年の小鳥遊ひかりという生徒からのヘルプを受け、具合を悪くしたクラスメイトを保健室に運ぶのを手伝うことに。
そして倒れていたデュラハンの亜人である町 京子と出会うこととなる。
デュラハンは頭と胴体が分離しており、首からは火のようなものが出ているものの熱くはないらしい。
さらに雪女の亜人である日下部 雪も倒れて保健室へと運ばれていく。
そしてひかりもまた、バンパイアの亜人。
鉄男はこの日だけで4人の亜人との出会いを果たした。
戸惑いや驚き、興味など複雑な感情が入り乱れる鉄男に対し、ひかりは今時の女子高生らしく「亜人」ではなく「デミ」という呼び方を紹介。
こうして鉄男とデミちゃんたちの青春が始まるのであった。
バンパイアのひかり
手始めにバンパイアの性質についてひかりに尋ねる鉄男。
血を飲みたい欲求はあるものの、国から月一で血液パックが支給されているため普段は問題なく生活は可能。
その血液パックに頼らずに生きるバンパイアは、人間でいえば肉を食べないベジタリアンのような感覚なのだという。
直接人から血を吸う行為はある程度性を想起させる行為であり、恋愛経験のないひかりから深く聞くことははばかられるものがある。
そしてひかりの双子の妹であるひまりは普通の人間であり、元気いっぱいでどこか抜けているひかりとは対照的に性格も真面目でしっかりしている。
そもそも亜人の体質は遺伝よりも突然変異によって生じることが多いそうだ。
対照的なひかりとひまりは喧嘩が絶えないように見えて、とても仲良しなのであった。
デュラハンの京子
今度はデュラハンについて京子に話を聞く鉄男。
デュラハンはアイルランドに伝わる妖精をルーツに持つ亜人で、頭と胴体が分離しており、世界に3人くらいしかいない。
頭と胴体は最長で岡山と東京まで離れたことがあるらしく、日常生活は試行錯誤しながら頭を上手く固定することで何とかなっているようだ。
ただその見た目のインパクトから、人付き合いが難しいという悩みを抱えている様子。
鉄男は京子に「自分から冗談を言って線引きしてやればいい」とアドバイス。
一方の京子はアドバイスを受け、照れながら鉄男に「頭を抱きしめてほしい」とお願いする。
頭だけでは身動き一つ取れないデュラハンにとっては、移動するための本能として孤独を嫌う、言い換えればさみしがりで甘えたがりであることを鉄男は気づかされるのであった。
京子が鉄男に恋をする
恋バナをするひかりと京子。
京子の憧れは好きな人に頭を抱えられながらぶらぶらすることだと言い、鉄男に恋していることを明かす。
話を聞いたひかりはすぐさま鉄男を呼び出して京子の頭を預け、自分は家で京子の胴体とお留守番することに決める。
京子が憧れのデートを実現するなか、ひかりは京子の胴体と筆談しながら様子を知る。
頭と胴体は離れていても感覚はつながっているようであり、見えないことをいいことにひかりは京子の胸をつつくなどして悪戯を楽しむのであった。
サキュバスの佐藤先生も鉄男に惹かれるように
サキュバスの亜人である佐藤先生は、相手を催淫してしまう性質を持つ。
催淫とは自分に対する性欲を昂らせることだが、その性質は基本的には自制が利くため、普段はなるべく性を想起させないように地味な格好をして気を付けている。
ただ寝ているときなど自分の意識が遠のくと自制は利かず周囲に淫靡な夢を見せるため、住むところも周りに人気のないド田舎のボロ借家。
相手からの好意もこの性質による偽物だと考えるためにこの年齢まで恋愛の経験がない佐藤先生。
だがつまづいて転んだ際に手を差し伸べてくれた鉄男は、肌が触れても何事もなかったかのように振る舞い、その素っ気ない態度が逆に佐藤先生をときめかせることとなる。
一方、当の鉄男はサキュバスの性質をモロに受けており、胸の高鳴りを必死に抑えていただけなのであった。
雪女の雪を加え、亜人たちが仲良しに
引っ込み思案な雪女の亜人である雪は、ある日クラスメイトに陰口を叩かれているのを知って「自分が亜人じゃなければこんな気持ちにはならなかった」と落ち込んでしまう。
相談を受けた鉄男が雪のメンタルをどうフォローするか考えていると、話を聞いていたひかりが先に動いた。
トイレで常習的に誰かの陰口を叩いている女生徒2人に対して真っ向から文句を言い、まっすぐな想いを受けた2人は反省。
雪もお高く留まっていたのではなく、自分の亜人の体質に疑問があって人と距離を置いていたことを明かし、無事に仲直り。
相談を受ける中で亜人が色々と悩みを抱えやすいことを知った鉄男は、亜人同士で積極的に相談し合えるように、ひかり・京子・雪を集めて仲良くするように話し、相談相手として佐藤先生を紹介するのであった。
【1巻のまとめ】
神話やおとぎ話のモチーフとなり、かつて怪物や妖怪などと称され迫害されていた、「亜人」と呼ばれる特別な性質を持つ人間たちがいる世界。
現在では、亜人たちは世間に「個性」として認められて一般社会に自然に溶け込み、社会的な弱者である亜人に対する「生活保障」が整備され、差別意識も希薄となり、若者たちには亜人のことを「デミ」と可愛く呼称するまでになっていた。
新学期、大学時代から亜人に興味をもっていた高校の生物教師の高橋鉄男は、これまで一度も亜人に出会ったことがなかったが、おしゃべり好きでお調子者な「ヴァンパイア」の小鳥遊ひかり、頭と胴体が分離している「デュラハン」の町京子、暑さに弱い「雪女」の日下部雪といった1年生の生徒たちや、地味な服装にして異性を避けている「サキュバス」の新人教師佐藤早紀絵と、それぞれ「亜人としての悩み」を抱える彼女たちに囲まれながらの生活が始まるのであった。
次巻へ続きます。
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