生きる義務を放棄し、自殺を繰り返す「常習指定者」たちが送られる島、通称「自殺島」。
主人公のセイは自殺未遂の末、病院のベッドからこの島へと送り込まれた。
そこに待っていたのはセイと同じ自殺未遂者達。
死ねなければ、生きるしかない。
いま、彼らの極限サバイバルが始まるのだった。
2巻のあらすじを振り返ってみましょう。以下ネタバレ注意です。
憧れだった先輩とのトラウマ
セイはもともと、弓道部部長で図書委員の青山英子という先輩に淡い恋心を抱いていた。
逃避癖から図書館に入り浸っていたセイに優しく話しかけてくれた英子先輩。
しかし先輩もまた顧問の先生との不倫という叶わぬ恋から逃避しており、ある日先輩は先生と口論の末にフラれてしまう。
傷心ながらも自分には弱い姿を見せなかった先輩、だがそれがセイの見た先輩の最後の姿になってしまった。
先輩は数日後学校の屋上から飛び降りて自ら命を絶ち、セイはあとになって先輩が妊娠していたことを噂で知ることとなる。
自分が読んでいた図書館の本に先輩から自分への手紙が入っていたことに気付いたセイは、憧れだった先輩が悔いを残さず人生に幕を下ろしたことを知り、また何も言えずに永遠の別れとなってしまったことが心に深い傷として残るのであった。
仲間の死に初めて涙を流す
久々に漁でまとまった量の魚が獲れたこと、そして水温が下がり始めていたことからセイたちは干物にして保存食を確保することにする。
冬が来て漁が出来なくなったらどうなるのかという漠然とした不安が広がるなか、仲間割れしていたときの喧嘩で重傷を負っていた若者が力尽きてしまう。
生にしがみつき、「生きたい」と言いながら帰らぬ人となったその仲間の死を受けて、セイたちは毎日のように見届けていた人の死に対して初めて涙を流した。
名前を聞く前に逝ってしまったが、彼は確かにセイたちの仲間であり、死を悼むセイたちは最初に見つけた河口を見下ろせる丘に埋葬するのであった。
生活が安定し始め、セイは山籠りを決意
男性が朝から山に入り、午後の干潮時に漁を、その間女性が塩田シートに海水を引いたり磯で貝などを採るサイクルが出来、生活が安定してきた。
冬に備えて生きることに向き合い始めるなか、セイもまたグループを離れて1人で生きるために準備を進める。
死にたい、逃げたいという気持ちを強く否定するために選んだ、自分の力で生きる道。
弓矢を完成させていたセイは、1人で鹿を追うことをリョウと美人に告げ、山へと入るのだった。
初めての鹿狩りに挑戦
純粋に生きるために、事前に調べていた鹿の行動ルートを頼りに狩りのポイントを探すセイ。
そしてセイの背後から鹿の群れが現れた。
緊張しながらも狙いを定めて矢を放つと、狙い通り1頭の首元に当たったが、急所は逸れており逃げられてしまった。
怪我を負っているはずの鹿を追って山の中を急ぐセイ、しかし日は無情にも落ち、セイは灯りのない森のなかで夜を迎えてしまう。
孤独と恐怖に身体は震え、自分の無力さを知らしめるような幻聴まで聞こえ精神的に追い込まれるセイ。
遠くの海岸に見えた皆の焚火の光になんとか救われ、セイは食糧を補給しながら夜明けと共に再び移動を開始。
山頂で見つけた山小屋を拠点にし、マントにも使える毛布も手に入れた。
弓矢での狩りが上手くいかずともサバイバルのために粘り強く考え続け、セイは鹿のフンの後から追跡を再開、そして弓も鹿の心臓を狙うというアイデアに辿り着く。
翌朝、生きるために鹿を殺す覚悟を決めたセイは気配を消しながらじっと待つのだった。
鹿を仕留めることに成功
しばらくすると、鹿たちが草地に姿を現した。
匂いや音をかき消してくれる海風にも恵まれ、静かに狙いを定めるセイ。
生きるためにあの美しい鹿の命を奪っていいものか―。
そんな迷いが頭をよぎり、ふと鹿と目が合うと、セイは反射的に矢を放っていた。
その場では逃げられてしまったものの、矢は心臓付近に刺さり、少し移動したところで鹿は息絶えていた。
この日、セイは自らの手で1つの命を奪ったのだった。
命への感謝を知る
不思議なほど冷静に、セイは図書館の本で得たわずかな知識と記憶を頼りに、日没までに鹿の解体作業を進める。
血抜きや内臓の処理、そして皮と肉の間にあった脂を炒めてその日の晩飯にありつくセイ。
腹も心も満たされたセイは、ふと自分に命をくれた鹿やこの自然への感謝の気持ちが内側から湧いてきた。
自分が数多の命の上に立っていることをその身で感じたセイは、この島で生き抜く強い意志を固めたのであった。
先住の男との出会い
仕留めた鹿をどう持ち帰るか考えるセイは、翌朝に近くで煙が立ち上っているのを発見する。
用心しながら近づくと、そこには島に先住していた男の家があった。
たった1人で生活していた男はセイに警戒しながらも、肉を持っていることを知ると協力的に。
男の知恵で鹿の肉は燻製にすることにし、助けてもらったセイは肉を分け与えるついでに余っていた子犬を1匹もらい受ける。
しかしセイと打ち解けた男は、セイが初め60人ほどでこの島に上陸したことを知ると「悲惨な殺し合いが始まる」と怯え始めた。
さらに若くしてこの島に来たセイに対しても「その若さでいったい何人殺したんだ」と怯えた目を向けるように。
この島の歴史を知る男は、この島を「無法島」と呼んでいたのであった。
【2巻のまとめ】
生活のサイクルができて安定しはじめるなか、冬に備えてセイは自分の力で生きるため、1人で山に入り鹿を追うことに。
弓を作り、思考錯誤で挑戦した狩りで鹿を仕留めたセイは、命への感謝の気持ちが内側から湧き上がり、数多の命の上に立ってこの島で生き抜く強い意志を固めた。
さらにこの島に先住している男に出会ったセイは、鹿の肉と引き換えに肉の保存の仕方など生活の知恵と共に1匹の子犬を譲り受ける。
そしてその男から、この島はかつて「無法島」と呼ばれ悲惨な殺し合いが起きた過去がある事を知るのであった。
次巻へ続きます。
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