世界一のジャズプレーヤーになることを夢見て日本を飛び出し、ドイツの地に降り立った大。
カタコトの英語だけ、縁もゆかりもない土地で新たな生活が始まった。
アジア人という人種の見えない壁に阻まれる大だが、楽器店の店主ボリスをはじめ現地で出会った人たちの支えを得て、女性の小柄な体格に見合わぬ力強い演奏をするベーシスト、ハンナ・ペータースと出会う。
初めは得体の知れないアジア人から突然声をかけられ警戒するハンナだが、大の圧倒的な実力を知り、2人は正式に組むことに。
ハンナは「技術と外見がバンドに合わない」という理由で過去に外されたグループ「モーレン5」を見返すのが1つのモチベーションであり、大も一緒に勝つことを決意した。
しかし2人で初めてやったライブへの評価は真っ二つ。
ボリスのアドバイスで更なる仲間を探しにベルリンへと移った2人は、性格に難があるものの確かな技術でひたすらに自分のジャズを追求するピアニスト、ブルーノ・カミンスキと、誰とも組まないことを信条としていたドラマーのラファエル・ボヌーを加え、4人でのバンドが結成された。
全員が腕に覚えのあるプロフェッショナルであり、練習初日から本音でぶつかり合う大たち。
なかでもブルーノは一際自己主張が強く大をリーダーとして認めてはいないが、共に本気で高みを目指す仲間としては認めているのだった。
5巻のあらすじを振り返ってみましょう。以下ネタバレ注意です。
目次
4人での初ライブへ
リーダーを志す者として大も作曲、その楽譜は拙いながらもメンバーそれぞれがフォローし、練習していく。
大も自らライブのできる機会を求めて交渉を行い、ついに4人の初ライブが決まった。

〈初ライブにボリスを誘う [BLUE GIANT SUPREME 5巻](c)集英社/古舘春一〉
オリジナル曲がうまく完成しない、そしてバンド名が決まっていないという2つの壁はありながら、大は初ライブが決まったことをボリスに報告し、ぜひライブに来てほしいと何度も誘う。
ボリスは3年ぶりに娘のラウラが故郷に帰ってくることとなり会う約束をしていたが、大の熱意に押し負けてラウラとの再会よりもライブで大たちの成長を見ることにするのだった。

〈ボリスもライブへ [BLUE GIANT SUPREME 5巻](c)集英社/古舘春一〉
気負うメンバーたち
ライブ当日の練習でようやく4人の息が合い、ライブの時間が近づく。
ブルーノは自分の演奏で美しいジャズを証明するため、ハンナは女というだけで自分を切り離したモーレン5を見返すために気合が入り、ラファエルも楽しさよりも本気を出すことに意識を向け始める。
ハインドルやボリスとボリスの甥であるガブリエル、そしてモーレン5から2人のメンバーが観客として訪れるなか、大は「ジャズの王道で勝ちたい」と宣言。

〈気負う大たち [BLUE GIANT SUPREME 5巻](c)集英社/古舘春一〉
大もいつもより気負うなか、4人の初ライブが始まるのだった。
大失敗を胸に刻め
1曲目は大の作曲したオリジナル曲「I'm here」。
開始早々、気合の入りすぎたハンナがペースを上げすぎて流れが崩れ始め、立て直そうとしたブルーノも予定にないフレーズでさらに空中分解寸前になってしまう。

〈あわや空中分解 [BLUE GIANT SUPREME 5巻](c)集英社/古舘春一〉
機転を利かせたラファエルのドラムでなんとか持ちこたえるが、4人の息は合わぬまま。
大のソロも持ち前の圧倒的な演奏は本領発揮と行かず、1曲目が終わった時点で客の3割くらいが帰り、結局その日のライブは4曲で1時間のうちに6割が帰る散々な出来。

〈最後まで息は合わず [BLUE GIANT SUPREME 5巻](c)集英社/古舘春一〉
ブルーノは自分の思うコードに合わせてこないメンバーに不満を、ラファエルは冷静に次のライブが実現するかの心配を、ハンナは自分のせいだと責められることに不安を抱きながら、最後までバンドとしてバラバラだった。
悔しさで表情がこわばる大だが、「今夜を絶対に忘れない。絶対にヨーロッパNo.1になる」という強い決意を込めて笑顔を作りながら観客に頭を下げる。
その姿を見て、ガブリエルは大たちに興味を抱くのだった。

〈詳しさを噛みしめる大に興味を抱く [BLUE GIANT SUPREME 5巻](c)集英社/古舘春一〉
噛み合わぬままツアーが決定
客が帰った後の反省会で声を荒らげながら怒りをぶちまけるブルーノ。
その矛先は崩れるきっかけを作ったハンナに向くが、あくまで大は「全員が失敗しただけで、きっと改善できる」と前を向く。

〈反省会でも喧嘩 [BLUE GIANT SUPREME 5巻](c)集英社/古舘春一〉
その根拠のないポジティブさにブルーノはますます怒りを露にするが、そこにガブリエルが急に4人を訪ねてきた。
「結成初期に困難をくぐり抜けるのがいいバンドの条件だ。今夜の君らは最悪だったけど、ラッキーだ。」

〈ボリスが突然訪ねてきた [BLUE GIANT SUPREME 5巻](c)集英社/古舘春一〉
とだけ言葉をかけてその場を後にする。
面食らう大たちだが、翌日から早速反省を込めて練習。
しかし相変わらずバンドの息は合わず、どうまとめていけばわからなくなってしまう大。
そこに突然ガブリエルが再び姿を現し、「次のライブは2日後。ツアーに出ようぜ!」と宣言。

〈ツアーに出ようぜ [BLUE GIANT SUPREME 5巻](c)集英社/古舘春一〉
ガブリエルいわく、ボリスが自分の伝手で大たちのライブをセッティングしてくれており、ガブリエルがバンドのドライバーを務めるらしい。
大失敗したライブの悪評が広まる前に、色々なところで良いライブをして知名度を上げていくのがガブリエルの作戦。

〈長旅が始まる [BLUE GIANT SUPREME 5巻](c)集英社/古舘春一〉
1日100ユーロというドライバー料だけを取り決め、オンボロな車での大たちの長旅が始まるのだった。
車中で聞いたベートーヴェンに運命を感じる
ジャズは全くのド素人ながら、かつてはヘビーメタルバンドとしてプロを目指していたガブリエル。
今の夢は最高のバンドのツアーを支えることである。
夜通し走る車中のBGMもガブリエル任せだが、ラジオでたまたま流れてきたベートーヴェンの交響曲第5番(symphony No.5)「運命(Destiny」を聴いて、今のメンバーたちと繋がった運命を感じた大。

〈「運命」を感じる [BLUE GIANT SUPREME 5巻](c)集英社/古舘春一〉
大の中ではバンド名の候補に「No.5」が思い浮かんだのだった。
ツアー1発目はまさかの大衆レストラン
ツアー最初のライブの場所はライブハウスですらなくただの民衆向けのレストラン。

〈ただのレストランでライブ? [BLUE GIANT SUPREME 5巻](c)集英社/古舘春一〉
ステージは狭く、機材の状態もひどいもの。
さらに追い打ちをかけるように、ジャズとは全く関係のない曲を客からリクエストされ、戸惑いを見せる大たち。
どうやらこのレストランは客からのリクエストを1つの売りにしているようだ。
自分たちのジャズを聴いてもらえると思っていたブルーノとハンナは演奏を拒むが、空気を読んで合わせるラファエルと常に客の為に全力を出すと誓った大の2人だけでリクエストに応えることに。

〈大とラファエルだけでリクエストに応える [BLUE GIANT SUPREME 5巻](c)集英社/古舘春一〉
大はジャズでも何でもないリクエスト曲のためだけに自分の全力を出し、ラファとたった2人で観客を魅了していく。
観客の機嫌をとり、ジャズバンドとして演奏することの了承をとりつけ、ブルーノとハンナを堂々とステージに立たせて見せた。

〈ジャズをさせてもらえる空気を作った [BLUE GIANT SUPREME 5巻](c)集英社/古舘春一〉
集中した4人による見事な演奏に盛り上がる客席。
レストランの外で待機していたガブリエルは、大たちの演奏がなかなか終わらない様子を見て安心するのだった。

〈ジャズでも客を魅了 [BLUE GIANT SUPREME 5巻](c)集英社/古舘春一〉
ボーナストラック
ブルーノ・カミンスキ:国も文化も全く違う大たち4人で組んでいた時の想いを語る。ピアニストとして成功した今も誰かのサポートではなく自分の音楽を聴かせることを信条としているが、大と組んだときだけはサポートという生き方が頭をよぎったようだ。
【5巻のまとめ】
4人で臨んだ初ライブは全員が空回りして大失敗。
バンドとして全くかみ合わないなか、ボリスが呼び寄せた甥のガブリエルが4人のもとに乱入し、半ば強引に連れ出すようにツアーに出ることを決めた。
大失敗の悪評が広まる前に、様々な場所でライブを成功させてバンドを知名度を上げるのが作戦。
ツアー最初のライブは予想外の大衆レストランだが、大とラファエルが観客へのリクエストに全力で応えて場を盛り上げ、ジャズライブとしても成功させて見せるのだった。
次巻へ続きます。
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