濃尾で最も有名な剣客である虎眼流に容姿端麗で艶やかな空気を纏う伊良子清玄が道場破りに訪れる。
老齢の開祖・岩本虎眼に代わり師範代の藤木源之助と牛又権左衛門が相手をすることとなり、源之助は不覚を取るも権左衛門が清玄を捕えることに成功した。
虎眼の娘である三重に目をつけあわよくば道場の乗っ取りを考えていた清玄は入門の儀式を経て虎眼流の門下生となり、短期間で源之助と跡継ぎ争いをするにまで実力をつけていく。
源之助は三重に想いを寄せていたものの、虎眼は清玄に娘の三重を嫁がせることを決めた。
門弟たちの眼前で子作りを命じられ、誰もが武家社会の慣習に従い当主である虎眼の命令に従うしかない状況だが、唯一清玄だけは三重の尊厳を守った。
源之助は三重を奪われひどく落胆するが、復讐を挑まれた野試合で偶然にも奥義「流れ星」の骨子となる技法を開眼する。
一方、三重との結婚が決まりながらも虎眼の妾であるいくとも密通していた清玄は、貧しい身分から虎眼流の道場を継いでどこまでも成り上がる野心を持っていた。
ところが虎眼がいくと清玄の密通に気づいたことで事態は急変する。
虎眼は源之助を支持する方針に変え、いくと清玄への厳しい制裁を決めるのであった。
3巻のあらすじを振り返ってみましょう。以下ネタバレ注意です。
清玄への制裁が始まる
清玄との結婚が近づき、期待に胸を寄せる三重。
清玄もまた自分の野心成就を確信していた。
しかし虎眼の命令で権左衛門と源之助を含む門下生らは清玄への仕置きを画策し、いくを軟禁した昆嶽神社に清玄を呼び出す。
待ち構えていた完全武装の虎眼は清玄に対し奥義を伝授すると告げ、その前の儀礼として師範である権左衛門及び源之助との手合わせを指示。
あくまで儀礼として寸止めする清玄に対し、権左衛門は容赦なく木剣で清玄の原戸背中を突いた。
痛みに悶えまともに動けない状態で今度は源之助の番。
源之助は珍しく不気味な笑みを浮かべていた。
異変と恐怖を感じる清玄だが、自らの野心への想いが脳内麻薬を分泌させ、激痛を麻痺させた。
2人の対決は初めて清玄が道場破りに訪れ源之助が不覚を取って以来。
互いに殺気を孕んだ木剣での戦い、源之助が辿り着いた新たな握りによる一閃が清玄の顎をかすめて脳震盪を起こしたことで源之助が勝利を納める。
源之助は意識が混濁する清玄の顔を何度も殴打し、門下生らによる仕置きが始まるのだった。
清玄が失明、怪物たちが生まれた日
清玄に激痛を麻痺させる薬を飲ませ、興津三十郎、丸子彦兵衛、山崎九郎右衛門の3名が清玄の身体を押さえつけながら、焼けたコテをいくに持たせ、清玄の男根を焼き切ろうとする。
震えるいくは焼けたコテを自らの左乳に押し当てて清玄を庇った。
焼けた脂肪が滴り落ちたことで意識を取り戻した清玄はまだ何が起きているか理解できないまま本能で身を翻し、外へ逃げ出す。
外では虎眼が待ち構えていた。
宗像進八郎から進められるがまま竹光を受け取り、真剣と勘違いして虎眼と対峙する清玄。
奥義を伝授された権左衛門以外が目隠しをし、虎眼から清玄への奥義伝授が行われる。
無念の涙を流しながら、秘剣流れ星を繰り出す虎眼。
かつて柳生宗矩をも追い詰めて徳川家の剣術指南役にまで上り詰めかけた虎眼の殺気を前にいくは必死に呼び掛け、清玄がついに意識を取り戻す。
虎眼を前に死を覚悟する清玄は、脳裏にこれまで弄んできた女たちが蘇る。
そして虎眼の流れ星が放たれ、その刃は清玄の両方の眼球を綺麗に斬った。
清玄が失明し、仕置きは完了。
再び呆けた虎眼を背負って門下生たちが引き揚げていくなか、いくに抱き抱えられた清玄の慟哭は止むことはなかった。
その頃、昆嶽神社で何が起きているか全く知らぬ三重は、虎眼にも背いて自分を庇ってくれた清玄との結婚に胸を膨らませていた。
仕置きという方法でしか虎眼流の跡取りとなることができなかった源之助、夢破れて復讐に駆られる清玄、そしてまたも父虎眼に運命を弄ばれた三重。
この日、3人の怪物が生まれたのだった。
【3巻のまとめ】
何も知らず清玄との結婚に胸を膨らませる三重をよそに、虎眼の命令で清玄への制裁が行われる。
いくが清玄を必死に庇おうとするも、権左衛門や源之助を始め門下生たちにハメられた清玄は虎眼の奥義「流れ星」によって両眼球を斬られて失明。
清玄といくは虎眼流から追放されることとなるが、仕置きという方法でしか虎眼流の跡取りとなることができなかった源之助、夢破れて復讐に駆られる清玄、そしてまたも父・虎眼に運命を弄ばれた三重。
この日、3人の怪物が生まれたのだった。
次巻へ続きます。
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