医師でありジャズピアニストでもある産科医の鴻鳥サクラは自身も孤児として育ちながら、赤ちゃんが無事に生まれることを最優先し家族の幸せを願いながら常にベストを尽くす。
1巻では飛び込みでの出産受け入れ、望まぬ妊娠で赤ちゃんを育てられない母親、切迫流産による緊急の帝王切開、浮気した夫から淋病を移された妊婦、身体に傷をつけたくないと帝王切開を拒むストリッパーの妊婦のエピソードが収録。
2巻では妊娠に悩む高校生妊婦、無脳症で一度は赤ちゃんを諦めた妊婦のエピソードを収録。
さらにサクラの研修医時代からの付き合いであるベテラン助産師の小松、サクラの同期で無愛想な四宮が登場。
四宮は昔から真面目で堅物ではあったが、5年前の出来事を機に妊婦の喫煙を激しく嫌うようになったという。
昏睡状態のある少女の病室を毎日1人で訪れる四宮、果たして四宮を変えてしまった出来事とは―。
3巻のあらすじを振り返ってみましょう。以下ネタバレ注意です。
四宮が妊婦の喫煙を嫌う理由
喫煙をやめられない妊婦の木村は、ストレスから今日も病院の横にあるコンビニで喫煙していたところに四宮が出くわす。
急にお腹の痛みを訴える木村、四宮はすぐさま早期胎盤剥離が起きて危険な状況であることを察知し、サクラたちへ連絡。
かなり難しい緊急手術となり、大量出血のリスクを冒してでも子宮を残すための措置を取るか、子宮を摘出するかで四宮とサクラの見解が分かれることに。
実は5年前に同様の状況になった四宮は、子宮を残そうとした結果母体を助けることができず、赤ちゃんにも重度の脳性麻痺が残り植物状態になってしまったのである。
今回は母子ともに助けることができたものの、「あの時妊婦に強く禁煙させていれば」と四宮は激しく後悔し、それ以来父親にも見捨てられてしまったその子の看病を続けながら妊婦の喫煙を嫌うようになったのであった。
海外の有名ジャズ歌手が来日中に出産することに
ピアニスト・ベイビーと親交のある有名ジャズシンガーのアリサ・ロークが妊娠8か月でアメリカから来日し、ベイビーと共演。
アリサには自分が産科医であることを告白しつつ妊娠中の海外渡航がリスクであることを伝えるが、アリサはジョークだと思って受け流した。
危険なのは旅行に行くこと自体ではなく、旅行中に急変した際に渡航先で初めての病院にかかることや保険適用されず高額の医療費が請求される可能性があること。
そして運悪く、アリサが日本のホテル滞在中に破水し、サクラのいる病院に緊急搬送されてきた。
出産自体は順調だったものの、赤ちゃんは2か月程度入院が必要という診断結果。
高額な医療費や異国の地での出産という不安を抱えるアリサを少しでも安心させるため、ベイビーの正体である産科医として接するサクラ。
入院した赤ちゃんを残して先に一時帰国したアリサは、日本での出産を公表し、サクラたちへの感謝と共に妊婦の海外旅行は薦めないと啓蒙するのであった。
助産院のメリットとデメリット
自然派志向の有名人の影響からか、「絶対に助産院で自分の力だけで産みたい」と強く希望する妊婦の森がやってきた。
自分で産むという意思は良いことであるが、有事の際は助産院では対応できず提携する病院へ搬送しなければならないのが常。
妊婦ひとりひとりへのきめ細かいケアやバースプランを強みとする助産院に対し、四宮は「何か問題が起きたらウチ(病院)に流すだけだから楽しいのかもね」と嫌味をこぼす。
母体と赤ちゃんが無事に出産を終えること自体が最良と信じるからこその発言ではあったが、実家が助産院だった小松は四宮の助産院を軽視する発言に噛み付いて険悪なムードに。
幼い頃に両親が離婚して一時期グレていたものの、母親の仕事を見学して新たな命が生まれるという奇跡に携わる仕事を尊敬し、同じ助産師を志すようになった小松。
その数年後、母は助産院で先天性横隔膜ヘルニアを患っていたとわかった赤ちゃんを助けることができず、助産院に落ち度はなかったものの閉院。
母はそのまま病死したことで、小松は助産院に特別な思いを抱いていた。
他方、森はサクラたちの病院と提携するののむら助産院で産む気マンマンであったが、院長の野々村はあくまで「お産に絶対はないの」と優しく諭したうえで病院と連携することの大切さを説いていた。
そして森の出産が難航していることを見て、サクラたちに受け入れを依頼。
赤ちゃんの余力がなくなってきている状況でも「帝王切開なんて絶対にイヤです!」と駄々をこねる患者に対し、「私も帝王切開で赤ちゃんを産んだのよ」と最後の後押しをして病院の措置に身を委ねるように説得した。
「お産は怖い、自分は臆病だ」と卑下する小松に対し、野々村は「私が自分で助産院を始めて40年間、事故も起こさずに続けられたのは私がすごく臆病だったからだと思うの」という言葉をかける。
絶対に安全とは言えないお産を医療行為ができない自分たちがお手伝いをする、だからこそ一度の失敗も許されず、助産師が臆病であることは優秀であることの証なのだ―。
野々村の言葉に母の姿を思い出した小松は、助産師としての自分に誇りを持つのであった。
次は交通事故に巻き込まれた妊婦が…
サムいダジャレが口癖で空気が読めない麻酔医の船越と、救急救命医の加瀬と共にひと時の休息をとるサクラ。
するとそこに、出産を間近にして交通事故に巻き込まれた妊婦が緊急搬送されてくることに。
連絡を受けた加瀬は妊婦と聞くやいなやサクラに手術への立ち会いを依頼。
果たして今回の手術の行方は―。
【3巻のまとめ】
四宮が妊婦の喫煙を激しく嫌うのは、5年前に自分が妊婦の喫煙を強く止めなかったために母体死亡・赤ちゃんも重度の障害を負ってしまったことが原因だった。
3巻では日本でのライブツアー中に出産することとなったジャズ歌手のエピソード、助産院で産むことのメリットとデメリットが収録。
そして次は交通事故に巻き込まれて緊急搬送されてきた妊婦の話から始まります。
次巻へ続きます。
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