地球に現れた未知の寄生生物が人間の脳に寄生しようとする中、高校生の泉新一は偶然にも右手に寄生されてしまう。
何者かによるミンチ殺人連続事件が起こる中、新一は「ミギー」を名乗る寄生生物と奇妙な共存生活を始めることになった。
ミギーは学習意欲が高く、人間の言葉を話すことができるようになる。
また、ミギーは新一の感情を読み取り、女友達の村野里美への恋心を見抜いてしまう。
新一はミギーとの関係に戸惑いつつも、他の寄生生物との遭遇と戦いを経験する。
その中には高い知能を持ち、教師に擬態した生活を送る田宮良子がいた。
別の寄生生物Aが学校を襲撃し、田宮はその後学校から去って「田村」と名前を変えて潜伏。
シンイチは自分が無意識のうちに少しずつ変わっているのではと不安になるなか、母が寄生生物に襲われ自分も瀕死の重傷を負ったなかがミギーの細胞の欠片が全身に混ざり、人間離れしたパワーを手に入れる。
そして新たに転校してきた寄生生物の島田が学校で大量惨殺事件を起こし、駆け付けた警察にも多くの被害が出るなか、シンイチが島田を仕留めた。
その後警察が島田の死体を回収し、寄生生物を見分ける簡単な方法として「髪の毛を引っこ抜く」という方法を世間に流行らせる。
妙な挨拶文化が出来上がり、寄生生物たちは仲間を作ってより行動に用心するように。
他方、「田村」を名前を変えた田宮や武闘派の寄生生物・後藤らが徒党を組み、市長選に立候補している広川に仕えていることが判明。
そしてずっとシンイチに近づきたいと願っていた隣町の高校のスケバン・加奈が、不運にもシンイチと勘違いして寄生生物と遭遇してしまい、シンイチが助けようとしたものの間に合わず殺されてしまった。
シンイチがその仇を討ち、仲間を殺された広川らは犯人捜しに。
その中でシンイチが犯人だと推理した田村は、その処遇を自分に一任させ、まず探偵の倉森を雇ってシンイチに接触する。
倉森に正体を見られてしまったシンイチはひどく動揺するが、宇田と協力して探偵を捕らえ、その雇い主の田村こそが寄生生物であると説得。
そして逆に田村を追ううちに倉森は寄生生物のリアルを目の当たりにし、自分がとんでもない事件に首を突っ込んでいたことを自覚する。
広川たちと戦う覚悟を固めたシンイチは、倉森に諸々の証拠を警察や世間に公開するよう説得するが、倉森は戦意喪失してしまった。
他方、広川たちは自分と敵対するシンイチの排除を決め、「三木」という寄生生物が刺客に名乗りをあげるのだった。
7巻のあらすじを振り返ってみましょう。
迫りくる3匹の追手
そして学校にいたシンイチとミギーは、３匹の寄生生物が殺意をもって接近してくるのを察知し、急いで距離を取りながら作戦を考える。
シンイチは極力リスクを冒さずに勝つため、島田の時のように遠距離からの狙撃を提案するが、タイミングの悪いことにここでミギーが完全休眠に入ってしまった。
電車やタクシー、ヒッチハイクなども使いながら時間を稼いで三木と追いかけっこした末、人気のない田舎の山道で三木に追いつかれたところでミギーが眠りから覚めた。
そしてそこでミギーは、三木の身体には３匹の寄生生物がいることに気付く。
「寄生獣」7巻©講談社／岩明均
1対1なら勝てると思っていたが、シンイチは一度に複数の寄生生物を相手にしなければならないのであった。
三木、後藤との戦い
接近戦ではさすがに分が悪く、シンイチは逃げながら戦う術を考える。
戦いのなかで三木の動作をミギーが分析し、三木を形成する３匹のうち２匹は身体からそれぞれの意思で攻撃、そして１匹は司令塔である頭から身体全体を統制するのに手いっぱいで戦闘に参加できないのではと推理。
つまり３匹の意思疎通の不備を突けば勝機はある。
ミギーのアドバイスのもと、林の中に逃げ込んだシンイチは、一方向にだけ動きながら攻撃をよける単調な動きで三木を欺きつつ、急に向きを変えて三木に突進。
「寄生獣」7巻©講談社／岩明均
三木の判断が遅れたところを突いて一気に首を切り落とすことに成功した。
だがまだ戦いは終わっていない。
三木は寄生生物が右腕から頭へ移動し、切り落とされた１匹も回収して再び合体。
さらに悪いことに、合体の直前には身体から５匹もの寄生生物の信号が確認できており、合体後には完全に１人に融合、「後藤」という本来の姿となったのである。
「寄生獣」7巻©講談社／岩明均
身体能力でも圧倒され、勝ち目がないと判断したシンイチとミギーは逃走。
偶然通りがかったトラックの荷台に乗り込んで撒こうとするが、後藤は両足を動物のように変形させ、純粋な脚力だけで追いついてくる。
このまま戦うしかないのか―。
シンイチがそう考えたとき、ちょうど対向車線から別の大型トレーラーが。
ミギーはトラックのハンドルに触手を伸ばして操作し、すれ違いざまに後藤を対向車に思いっきりぶつけて転落させる。
「寄生獣」7巻©講談社／岩明均
どうにかシンイチとミギーは後藤を撒くことに成功。
だが後藤はある程度ダメージを負ったものの致命傷には至らず、心配して駆け寄ってきたトレーラーの乗員を捕食して回復してしまう。
複数の寄生生物が１つの身体に共存する相手に対し、ミギーは思わず「すばらしい…」と言葉を漏らすのであった。
狙われた倉森
田村の一味である寄生生物たちは、邪魔者となった倉森の排除を決め、探偵事務所と自宅を襲撃。
倉森はちょうどコンビニへの買い出しのために外出していたところ、その間に寄生生物らが自宅を襲撃し、妻と子供が殺されてしまう。
「寄生獣」7巻©講談社／岩明均
これにより倉森は寄生生物に対する深い憎しみを抱えることとなった。
後藤との戦いから命からがら逃れたシンイチは、ミギーが独断で通行人から窃盗をはたらいて得たお金で着替えと食事を確保。
犯罪を犯してしまったことに胸が痛むが、生きるために背に腹は代えられないし、盗んでしまったものを返すこともできない。
定食屋のテレビで倉森が何者かに狙われたニュースを知ると、シンイチは自分の家も危ないとすぐに察知し、自宅にいる父親に電話をかける。
深くは話すことができないが、とにかく自宅は危険だから避難してほしい―。
「寄生獣」7巻©講談社／岩明均
父親はなかなか納得しなかったが、シンイチは「これまでいい子だった自分を信じてほしい」と必死に言葉を紡ぎ、ようやく父もそれ以上詮索せずに避難先を決めてくれたのだった。
倉森が復讐を決意
警察に保護された倉森は唯一、寄生生物の話を信じてくれそうな相手としてシンイチから聞いた名前を思い出し、平間刑事による事情聴取を希望する。
「寄生獣」7巻©講談社／岩明均
平間は襲撃が寄生生物によるものだと確信しており、仇を討つために倉森はまず自分の考えを静かにゆっくりまとめたいと言い、ホテルで静養しながら報告書をまとめることに。
だが一晩明け、気持ちを落ち着けた倉森は、自らの手で田村に復讐を果たすため、報告書だけを残して勝手にホテルを抜け出してしまう。
逃走に気付いた平間はすぐさま部下を集め、少数の信頼できる者たちだけで田村のもとへ向かったであろう倉森の行方を捜すのであった。
田村が集団を離反
倉森の殺害に失敗し、あろうことかその家族だけを殺して人間社会を完全に敵に回したことについて、田村は問題視。
そのスタンスは襲撃の実行役を担った「草野」らから反発を受け、草野は次第に田村のことを仲間ではない異物と認識するように。
そして草野は他の寄生生物２匹を集めて田村を待ち伏せし、広川や後藤の了承なしに排除することを決め、人気のないところで田村に戦いをしかける。
「寄生獣」7巻©講談社／岩明均
対する田村は自分たち寄生生物がなぜ生まれてきたのかなどに想いを馳せながら、徹底して合理的な考えをする寄生生物のなかでも個性が出てきたことを歓迎しつつ応戦。
自身を2つに切り分け、半分は相手の身体に侵入して内側から破壊、本体の方はわざと人目を引きながら街中へ逃走しかく乱する。
結局、寄生生物としての戦い方で上回った田村が草野たちを返り討ちに。
しかし田村が帰宅したとき、ベビーベッドに子供の姿はなく、「明日午後5時 ひかり第一公園 名探偵ホームズ」という置手紙を見つける。
「寄生獣」7巻©講談社／岩明均
倉森が田村の赤子を人質に、田村を呼び出していたのであった。
【7巻のまとめ】
広川たちからの刺客に追われ、寄生生物3匹が融合した「三木」を退けたシンイチとミギーだったが、三木の頭は本来の姿である「後藤」へと姿を変え、命からがら逃げるのがやっとだった。
他方、探偵の倉森は寄生生物らの襲撃によって妻子を殺され、偶然にも難を逃れた倉森は自ら田村への復讐を決意し、田村の赤子を人質に取って田村を呼び出す。
当の田村もまた、考えからの違いから寄生生物の集団から浮き始め、集団から離反して単独行動を開始するのだった。
次巻へ続きます。
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