多額の借金を背負わされたカイジは逃亡生活の末、一発逆転のギャンブルを期待して自ら遠藤に接触する。
しかし多重債務者からの取り立てを生業とする遠藤はカイジの身柄を確保し、地下の強制労働場へと送った。
劣悪な環境で集団生活をしなが強制労働と借金返済に終われる悪夢のような生活を送ることとなったカイジは、どん底の負け犬集団「45組」をまとめ上げ、地下チンチロで歴史的大勝を上げて一定期間の地上への外出という権利を獲得するに至る。
45組の面々は全額をカイジに預けることを決断し、地上でカイジが全員分の借金を返せるだけの金を増やすことに期待。
現金80万円と自由を獲得した20日間の間に総額6000万円を返す方法を探すカイジは、坂崎という男と出会い帝愛の息のかかった裏カジノに行き着く。
そのカジノの目玉である1玉4000円、当たれば5億以上のモンスターパチンコ「人喰い沼」の攻略に人生の全てを賭ける坂崎に協力することとなるが、坂崎はクギの森、玉の通り道を阻む遠隔操作のブロッカーと、鉄壁の3段クルーンという3つのハードルの前に惨敗を喫してしまう。
坂崎の挑戦の一部始終を見届けたカイジは、人喰い沼の攻略法を思いついて坂崎を再び説得し、さらに遠藤に協力を依頼して大掛かりな事前準備に必要な金と人員の工面を依頼。
周到な準備で検査用の器具や修理時の部品をすり替え、さらにはビルそのものを傾けることで人喰い沼のハードルを次々と攻略しにかかるカイジ。
規格外の発想に焦る一条はビルの傾きに台の傾きを被せて対抗しながらも、あまりに露骨すぎて封印していた最終手段の解禁を決める。
ついに当たりが出ないままカイジの軍資金が尽きてしまうが、カイジは涙ながらに遠藤を説得して追加の1000万円の融資を得る。
カイジは傾きのせいで人喰い沼が内部で玉詰まりを起こしていることにいち早く気づき、その読み通りに外れたはずの玉が穴を塞ぎ、必然的に3段クルーンの最終段へと玉が誘われる異様な状況が生まれた。
一条はすぐさま傾きの設定を元に戻そうとするなか、カイジは目前に迫った勝利を掴むことができるのか―。
12巻のあらすじを振り返ってみましょう。以下ネタバレ注意です。
思わぬ計算のズレに阻まれる
3段目に到達した玉の軌道には、当たりの左側によれる傾向があった。
〈玉がよれる [賭博破戒録カイジ 12巻](c)ﾌｸﾓﾄﾌﾟﾛ／福本伸行〉
水槽を並べてビルを傾けた際に、どうしても横方向にズレが生じてしまった結果だった。
玉がことごとく左に外れ、思わぬ壁にぶち当たったカイジ。
土壇場で別のルートを発案するが、あとは台の傾きが直り玉詰まりが解消されるのとどちらが先かという、時間との勝負。
〈まだルートはある [賭博破戒録カイジ 12巻](c)ﾌｸﾓﾄﾌﾟﾛ／福本伸行〉
そして玉が排出され始め、事実上のラストチャンスとなる玉2発が3段目に。
しかし無情にも2発ともハズレの穴に消えてしまうのだった。
〈無情にもハズレ [賭博破戒録カイジ 12巻](c)ﾌｸﾓﾄﾌﾟﾛ／福本伸行〉
カイジに吹いた神風
玉が排出され始め万事休すかと思われた矢先、再び3段目に玉が到達する。
排出口へつながる穴の内部でうまいこと玉が引っ掛かり、1段目と2段目の詰まりが維持されていたのである。
〈玉詰まりが維持される僥倖 [賭博破戒録カイジ 12巻](c)ﾌｸﾓﾄﾌﾟﾛ／福本伸行〉
神風を背に、残りの軍資金400万円で当たりを狙いにいくカイジ。
さらに僥倖が重なるように、3段目も中で玉詰まりを起こした。
〈3段目も詰まる奇跡 [賭博破戒録カイジ 12巻](c)ﾌｸﾓﾄﾌﾟﾛ／福本伸行〉
すなわち、このまま打ち続ければ当たりの穴に玉が入ることは必至。
そして玉同士の衝突などで不規則な軌道を描きながら、玉が当たりの穴へ向かう。
〈当たりは目前 [賭博破戒録カイジ 12巻](c)ﾌｸﾓﾄﾌﾟﾛ／福本伸行〉
ところがこのタイミングで一条たちの最終手段が間に合い、最後の壁となって立ちはだかるのだった。
一条の最終手段が発動
当たりの穴へ間違いなく向かったはずの玉が、直前で明らかにはねつけられた。
〈最終手段は強風のバリア [賭博破戒録カイジ 12巻](c)ﾌｸﾓﾄﾌﾟﾛ／福本伸行〉
一条たちが用意していた露骨すぎる最終手段は、当たりの穴の縁から噴射される強風のバリア。
物量作戦で次々と玉を送り込むカイジだが、玉は風に邪魔されて当たりの穴に入ることなくただ3段目を彷徨うのみ。
〈当たりは出ずに玉が彷徨うだけ [賭博破戒録カイジ 12巻](c)ﾌｸﾓﾄﾌﾟﾛ／福本伸行〉
藁にも縋る思いで祈りながら打ち続けるカイジ。
しかし為すすべなく玉だけが消えていき、当たりは出ることなく追い詰められてしまうのだった。
〈玉田家が消えていく [賭博破戒録カイジ 12巻](c)ﾌｸﾓﾄﾌﾟﾛ／福本伸行〉
奇跡は起きず、ゲームオーバー…
起死回生の策はなく、カイジは涙ながらに一条に引き分けを提案する。
〈一条に泣きつくカイジ [賭博破戒録カイジ 12巻](c)ﾌｸﾓﾄﾌﾟﾛ／福本伸行〉
せめて残りの玉を1億2000万円で買い取ってもらえれば、自分と遠藤の急場は凌げる―。
しかしそんな虫のいい話を一条が受けるはずもなく、カイジの運命は残り30発に委ねられた。
土壇場で奇跡が起きることを願うが、無情にも玉が尽きる。
〈ついに玉が尽きた [賭博破戒録カイジ 12巻](c)ﾌｸﾓﾄﾌﾟﾛ／福本伸行〉
頭が真っ白になるカイジ。
そのまま地下へ連行しようと、黒服たちがカイジを取り囲むのだった。
〈万事休す… [賭博破戒録カイジ 12巻](c)ﾌｸﾓﾄﾌﾟﾛ／福本伸行〉
【12巻のまとめ】
傾きが元に戻ったものの玉詰まりは維持され、3段目もハズレの穴が詰まるという僥倖に恵まれたカイジ。
このまま打ち続ければ勝利は確実という状況に至るが、土壇場で一条の最終手段が発動。
当たり穴を守るように強風のバリアが張られ、玉を寄せつけない露骨な鉄壁が敷かれる。
勝利を目前に為すすべなく玉が尽きてしまったカイジ、そのまま地下へ連行しようと黒服たちが周りを取り囲むのだった。
次巻へ続きます。
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参考地下の強制労働を脱し、モンスター級パチンコの攻略に挑む『賭博破戒録カイジ』全13巻【ネタバレ注意】
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