二ツ坂高校1年の東島旭は中学まで美術部だったものの、「薙刀は高校部活界のアメリカンドリーム」という謳い文句に感激し、薙刀部に入部した。
インターハイ予選ではダークホースである國陵に敗れてしまい、3年生が引退してエースの宮路真春、部長の野上えり、2年の大倉文乃、1年で剣道経験者の八十村将子、初心者だが長身の紺野さくらと共に新たな体制でスタートを切る。
本格的な薙刀の練習が始まり、二ツ坂が薙刀教士・寿慶やその紹介で来た元インカレ優勝者の福留やす子を指導者に迎え、厳しい稽古を乗り越えていく旭たち。
他方、國陵は部内の空中分解の危機を乗り越えながらプレースタイルもガラっと変えた部長の寒河江、熊本からきた孤高のエース寧々、薙刀経験者の的林を主軸に選抜大会の団体戦全国3位を果たし、その他にも巨体の1年生薬師丸擁する聖泉や、個人戦最強の戸井田奈歩率いる絶対王者の熊本東、そしてその熊本東から団体戦で金星を挙げた出雲英豊など、ライバルが続々と登場。
そして旭たちは2年になり、藤ヶ丘高校の監督の娘でサラブレッドの愛知、ボーイッシュで勢いのある等々力、虚弱で存在感のない座敷わらしのような大工原の3人が新たに入部。
実力主義を掲げた愛知の発案で今度のインハイ予選の団体メンバーの座をかけて全員による部内戦が行われることとなり、自分の実力のなさが露呈して精神的に限界を迎えてしまった野上が途中棄権。
見かねた紺野が野上に寄り添い、少しでも負担を軽くするために部長の座を譲り受けることとなる。
インハイ予選団体戦では二ツ坂が國陵を下して優勝、個人戦でも真春が個人戦優勝を果たすが、藤ヶ丘との団体戦で相手と交錯して前十字靭帯断裂という選手生命に関わる大ケガを負ってしまった。
病院で診察を受けた真春は、これからの選手生命を考えるならインターハイを諦めてすぐに手術するか、保存療法で激痛への恐怖というリスクを負いながらもインターハイに出るのか難しい選択を迫られることとなる。
さらにここまでチームを指導してきたやす子は大学時代の過去を引きずり、インターハイ予選までという本来の約束どおり指導を離れてしまった。
指導者不在のまま二ツ坂は今年も寿慶のもとで夏合宿を行うこととなり、國陵の寧々と的林も加えてインターハイに向けた稽古をすることに。
私語も挨拶も含め他人と一切口を聞いてはいけないというルールのもと、試合のような緊張感をもってメンタルを鍛える稽古が進む。
自分の怪我の苦しみと向き合う真春は折れずに立ち上がり、故障を抱えた状態で勝つ方法を模索。
そして旭も新しい体さばきを閃いて試し始めた。
ところが真春と旭の焦りを見抜いた寿慶は、旭の体さばきは「正しい体さばきじゃない」と諫め、真春には今後の選手生命を考えてインターハイは諦めなさいと説く。
寿慶の言葉に真春も旭も納得しかけたとき、突然姿を現したやす子が寿慶の頭をひっぱたくのであった。
26巻のあらすじを振り返ってみましょう。以下ネタバレ注意です。
真春の決断を支えるやす子
寿慶の言葉に対し、一般客を装って断食道場に応募しながら二ツ坂の様子をずっと見守ったいたやす子が猛反発。
真春は「自分のことは自分で決める。必ずインターハイに出ます」と力強く宣言し、今見えているものを全力で追いかけることを決意した。
自分が勝負から逃げてしまったとき山吹が何を望んでいたかの答えを垣間見たやす子は、真春を勝たせるために全力でサポートすることを誓う。
寿慶も2人の固い覚悟に折れ、やす子が二ツ坂の監督に戻ってきたのだった。
真春が新たな可能性を手に入れる
やす子は監督に戻る際の条件として、インターハイでの団体戦で真春は控えとし、個人戦に専念させることを伝える。
長い時間試合をするほど真春は不利となるため、試合数をできるだけ絞って集中することが不可欠。
真春は団体戦を仲間に託すことにし、やす子によるそれぞれへの指導が始まる。
大倉はスタミナと集中力を鍛えるためにランニングすること、野上は相手ばかり見ずに自分を観察して自信をつけること、八十村は常に中心をとってより速く動くこと、紺野は接近戦でバタつかないようにすること、愛知は有効打突を増やすために審判へのアピール力をつけること、等々力と大工原は打ち込みの練習台になること。
旭はむしろ編み出した体さばきを練習し、自分だけのオリジナル武器にすること。
そして真春には左右逆となる右中段の構えへ転向し、踏み込むための脚を逆にすると同時に相手の小手を狙いやすくすることを提案。
新たな可能性に真春は前を向く。
やす子の指導方針を聞いていた寿慶は、現役を退いた自分は二ツ坂の生徒たちに正しい道を照らしていたつもりが、傷つかないように守ることばかり考えており、生徒たちと同じ熱意や切実さを共有してやれないことに少し嫉妬していた。
やす子の指導方針を認めることはできないが、それでも寿慶は心の中では皆の幸せを願っているのだった。
國陵を背負う寧々
國陵の寒河江たち3年生は受験勉強しながらも部長となった的林の気苦労を心配していた。
的林も自分には寒河江のように皆をまとめることができていないと感じつつ、後輩たちが行っている別の合宿のことも気になってしまう。
我慢できずに携帯を返してもらおうとする的林。
しかし一緒に合宿に参加している寧々が「自分はインハイに集中して國陵の名前を全国に広めてやる」という決意を口にすると、的林も迷いが吹っ切れるのであった。
熊本東の内部崩壊
合宿6日目の総仕上げは昨年と同じ、3連勝するまで抜けられない円陣稽古。
真春が早々に抜け、あとは拮抗した実力のなかで稽古が進み、合宿を終えた。
その頃、熊本東では下級生が一斉に退部し、翌年以降の存続すら危ぶまれていた。
戸井田たち「中の人」と吉里・島田の「外の人」の確執は深まり、全力で潰し合うような稽古に耐えられなくなったのだろう。
熊本東はこの代で終わるかもしれない、それでも磨きあげられて残った部員たちはこれまでで１番強いのであった。
それぞれが準備を重ね、インターハイへ
インハイ予選以降、愛知はどうにも母との間に気まずい距離感ができていた。
しかし合宿を終え、母ではなく仲間と共に強くなるために手段を選ばないと決めた愛知は意を決して「審判へのアピール力をつける方法」について母にアドバイスを求める。
自分のことを見つめるという宿題を出された野上はOGに言葉をかけられ、部や真春のことはさておき、自分がインターハイに出られるという喜びを改めて実感し、引退試合に向け覚悟が固まった。
もとからハワイの大学に行くことを目指していた大倉は、インターハイが終われば仲間と離ればなれになることを初めて「寂しい」と感じ、少しでも多くの思い出を作るために気合が入る。
部をまとめる紺野は実力で旭や八十村に水をあけられ、薙刀はこれまで自分がやってきた習い事のなかで１番上達しきれていないことを感じていたが、それでも仲間と競い高め合う今を楽しいと感じるようになった。
中心を取るという感覚を探り続ける八十村は勝利への意欲を燃やし、旭は新しい体さばきを練習。
さらに愛知は部旗を作るべきと発案し、OGも含めて皆でお金を出し合うことに。
それぞれが準備を重ね、インターハイが近づくのだった。
旭が夏之に告白！？
校舎で夏之と二人きりになった旭。
旭を応援する夏之は素直に旭への尊敬を口にしつつ、皆にあげてほしいと御守りを配る。
自分のことより人を気遣う夏之の優しさに触れた旭は、思わず前から抱いていた好意が溢れ出し、立ち去ろうとする夏之の袖を少し掴んで「好き」と告げるのであった。
【26巻のまとめ】
インターハイに出ることを真春が決断し、真春を支えるためにやす子も二ツ坂の監督に戻ってきた。
やす子がそれぞれのレベルアップに向けて指導し、旭は新しい体さばきを、そして真春は右中段構えという新たな戦い方に行き着いた。
寧々が看板を背負う國陵、内部崩壊を起こしながらも最強の部員が残った熊本東、それぞれが準備を重ねインターハイが近づく。
そんなある日夏之と校舎で2人きりになった旭は、思わず夏之への好意が口からこぼれ、不意に「好き」と告げてしまうのだった。
次巻へ続きます。
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