弱小と化した彩珠学院の野球部を再建するため、狭山校長は13年前に審判を殴ってから今はインチキセールスマンとして転落人生を歩む元教え子の鳩ヶ谷圭輔に白羽の矢を立てた。
彩珠学院の経営監査を任せられている美里ゆり子が不良債権である野球部の廃部を主張するなか、狭山は理事長に掛け合って「来年の夏までに甲子園に出場できれば野球部の存続を認める」という約束を取り付け、鳩ヶ谷は監督としてチームを指揮することに。
さらに偶然草野球で特大ホームランを放った少年・剛士を借金まみれでどうしようもない実父から引き離し、OB会長の大宮と養子縁組することで彩珠学院野球部に転入させることに成功し、独自のやり方でチームを鍛えていく。
フリーライターの蕨やスポーツ用品メーカー営業の夏子らの協力を得つつ沖縄合宿を経てチームは力をつけていき、さらにヒョロヒョロではあるが変則左投の助っ人投手・スティーブをチームに迎えた彩珠学院。
春の大会でシード権を獲得し、いよいよ夏の県大会が開幕。
直前でエース日高がフォークの自主練で肘に違和感を抱えるアクシデントに見舞われた彩珠学院だが、快進撃でついに全国から優秀な選手が集まる聖母学苑をも破り、甲子園出場を決めた。
その一方、野球部の経営母体のあやのくにグループには土壌汚染のある土地を売ろうとしていたスキャンダルが発覚し、学校の未来に暗雲が立ち込める。
そして学校の外では彩珠学院の売却先候補が浮上し、このまま売却が成立すれば野球部を含むすべての部活動が廃止となる運命。
野球部存続のために売却を阻止したいゆり子は狭山校長と共に学校の理事長であるあやのくにグループ総帥・彩之小路に甲子園での野球部の活躍から新たな学校の買い取り先を探す策を提示し、学校の未来は野球部に託されることとなった。
本来は甲子園出場を果たしたことでお役御免の鳩ヶ谷だったが、そのまま自分の野球を甲子園で試すために監督続投を決意し、いよいよ甲子園が開幕。
甲子園初戦の相手は地元の大声援を背に堅実なプレーを徹底する湊川商工。
しかし鳩ヶ谷の教えを胸に目の前のプレーに集中する彩珠学院はプレッシャーに押し負けることなく奇襲で畳みかけ、中盤で4点のリードを奪うことに成功するのだった。
31巻のあらすじを振り返ってみましょう。以下ネタバレ注意です。
湊川商工を寄せ付けず勝利
4点のリードに成功した彩珠学院。
湊川商工は有馬の指示のもと伝統を守って1点ずつ堅実に返すことに集中する。
しかしバントやスクイズを多用する戦術はアウトを伴うもの。
彩珠学院はあえてスクイズを簡単にさせることでアウトを稼ぎつつ、ランナー無しにして流れを絶ちきった。(7回表 彩4-1湊)
敗北を悟りながらも有馬は伝統を貫き、戦えることを変えるよりも潔く散ることを指示。
ところが9回裏、ヒットとデッドボールで1アウト1,3塁とチャンスを作ると、垂水監督が独断で動く。
伝統にはディレイドスチールを敢行、1塁ランナーが憤死する間に3塁ランナーがホームインした。(9回裏 彩4-2湊)
これで2アウトランナー無し、打つ手がなくなり彩珠学院がそのまま試合を勝利で締めくくるのだった。
2回戦の相手は強力打線の大豊
2回戦の相手は強力な打線を誇る大分代表の大豊に決まる。
自ら敵情視察として相手の練習グラウンドに向かった鳩ヶ谷に対し、大豊の大友監督は隠すようなことはないと気前よく練習を見せる。
独自の道具を使った素振りや打撃練習に感銘を受ける鳩ヶ谷、大友もまた鳩ヶ谷と似た野球をよく知る相手のようだ。
大豊の主軸は3番で何でもできる津久見と4番の主砲、九重。
正しく鋭いスイングを持つ大豊打線に揺さぶりは利かない。
鳩ヶ谷は対大豊の練習として野手にプロテクターをつけてノックを受けさせ、また投手にはベースの内と外をしっかり狙って投げ分ける特訓を開始。
そして大豊との試合が始まるのだった。
甲子園2回戦 彩珠学院vs大豊
大豊の先発は右のエース関。
ベンチに左のエース国東もいるなか、今日は関の調子が良いようである。
対する彩珠学院、鳩ヶ谷は出血覚悟で臨みながら相手が手を出して来てファールになるようなゾーンを見つけるよう指示。
高さを無視してでも内外を使い分け、ファールでカウントを稼ぐ狙いである。
1回裏、さっそく津久見にクリーンヒットを許し、4番の九重の打球はライトに大きな当たりとなる。
が、甲子園の浜風に遮られて失速しライトフライに。
これを見ていた剛士は、これまで自分の打球がホームランにならなかった理由が浜風にあることを悟り、自分のバッティングが間違っていたわけではないと迷いが消えた。
2回表、先頭の剛士がツーベースで出塁し、進塁打で1アウト3塁のチャンス。
鳩ヶ谷は悩んだ末にスクイズを指示するが、大豊に読まれてまさかの失敗、先制のチャンスを逃してしまった。
大豊は打撃だけの相手ではない―。
果たして彩珠学院は勝利を飾ることができるのか。
【31巻のまとめ】
危なげない試合運びで湊川商工を下し、2回戦へ進出した彩珠学院。
次の相手は強力打線に左右のエースを擁する大豊。
失点覚悟で臨んだ彩珠学院は先生のチャンスでスクイズを失敗。
打撃だけではない強敵を相手に勝利を飾ることはできるのか―。
次巻へ続きます。
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