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100勝すれば自由…過酷な戦いの道を歩み始めた少年拳奴『拳闘暗黒伝セスタス』1巻【ネタバレ注意】

爛熟期を迎えつつある帝政ローマ。当時、コロシアムでは古代ボクシングが興行されていた。そこで選手として戦う奴隷たちは拳奴(けんど)と呼ばれ、過酷な環境の中で闘いを繰り広げているのだった。本編の主人公である拳奴セスタスは、体格に劣りながらも天性のスピードと師ザファルの教えたテクニックにより、難敵を打破していく。その闘いぶりが若きカエサル・ネロの目に止まり、謁見を許されるが、それを契機としてセスタスは運命の渦の中に巻き込まれていくこととなる。

さっそく、1巻のあらすじを振り返ってみましょう。以下ネタバレ注意です。

拳奴セスタス

紀元54年、ローマ帝国では17歳のネロが史上最年少で皇帝に即位。

同国、奴隷拳闘士の養成所では拳奴になるための最終選考が行われていた。

完全装備での模擬試合で、15歳の主人公セスタス親友で兄貴分のロッコとの対戦を命じられる。

初めての試合が親友相手とあり動揺を隠せないセスタスだが、師であるザファルの叱咤で練習通りに身体を動かしていく。

目にも止まらぬスピードでロッコを圧倒し、試合を制したセスタス。

しかし敗者は用無しと言わんばかりに、敗北したロッコはセスタスの目の前で処刑されてしまうのだった。

100勝したら自由という過酷な戦いの道へ

最終選考を乗り越えたセスタスたちは、ユラニウス・ヴァレンスという男の所有物として正式に拳奴となる。

身体にはヴィクトール(勝利者)の「V」の焼き印を入れられ、「100勝したら解放」という僅かな希望を与えられることとなった。

一度でも負ければ死という過酷な運命、それでも師であるザファルがその道を潜り抜けたことから、セスタスはザファルを信じて茨の道を歩む覚悟を固める。

まだ成長期の華奢な身体で戦い抜くためには、持ち前の目の鋭さと運動速度を活かした回避能力と連打がカギ。

今は左膝を壊して現役引退しているとはいえ、かつては「ヌミディアの拳狼」とまで呼ばれたザファルもまた、セスタスを熱心に指導する。

そしてローマの闘技場で行われる、皇帝主催の養成所対抗戦が近づいているのだった。

ルスカとデミトリアスとの出会い

養成所対抗戦のために初めてローマの都を訪れたセスタスたちは、その圧倒的な景観に息をのむ。

市街散策中に仲間とはぐれてしまったセスタスは、同年代で身なりの良いルスカという少年と出会う。

セスタスを探しまわるザファルもまた、かつて左膝を壊された代わりに右目を壊した因縁の相手である「アッティカの金獅子」ことデミトリアスと再会を果たした。

師を引退に追い込んだ因縁のデミトリアスを見つけるや否や殴りかかるセスタス。

あっけなく制されてしまうが、デミトリアスはザファルの拳を継いだという弟子を知って薄ら笑いを浮かべるのだった。

皇帝ネロの目に留まるセスタス

養成所対抗戦、第9試合に出場することとなったセスタスの相手は体格で数段勝るマリウス養成所のギドン。

セスタスは開始早々に連打で圧倒し、下馬評を覆して完全勝利を手にする。

大会を主催するネロと皇后のオクタヴィアは本心では残虐な見世物に気乗りしていなかったが、ネロは自分と同年代で鮮やかな戦いを見せたセスタスに一目置くように。

逆にセスタスに何もできずに完敗したギドンには観客から容赦ない罵声が浴びせられ、罰として処刑を求めるコールが湧く。

この時代の生殺判定の主導権は観客にあり、敗者は主催者である皇帝に赦しを乞うしかできない。

と、ここでセスタスがギドンの手を取って共にネロに赦しを乞うポーズを見せる。

通常であれば許されざる行為であり、ネロの母である皇太后アグリッピーナの逆鱗に触れてしまうセスタス。

しかしデミトリアスが「即位したばかりのネロの器の大きさを示すべき」と進言し、セスタスは不問、ギドンだけが観衆の望むがままに処刑された。

敗者が死ぬことに悔しさをにじませたがゆえの行動であったが、ザファルは「振り返らず死に物狂いで走り続けるしかない」と叱るのだった。

ルスカも総合格闘技の使い手だった

試合後、セスタスとザファルを呼んで戦いを労うネロ。

そしてアグリッピーナやデミトリアスも同席する中、大会の最後には特別試合として「流浪の拳獣」ケンドールの試合が始まる。

対戦するのは皇立徒手格闘兵団の首席訓練生にしてデミトリアスの息子であるルスカだった。

打撃のみならず投げや関節技も操る総合格闘術パンクラティオンを幼いころから叩き込まれたルスカはケンドールに何もさせずに圧勝。

観衆からも多大な人気を誇るルスカもまた、同年代の拳奴セスタスに興味を抱いている様子。

ザファルとデミトリアス、2人の因縁はセスタスとルスカにも影響を及ぼすことになるのだった。

セスタスvsルスカ

ネロの宮殿に呼ばれたセスタスとルスカ。

ネロは2人に戦う理由を尋ねると共に皇帝としての苦悩や繊細な心を見せるが、ネロの弱い性根を鍛えるためか、アグリッピーナが頭ごなしにセスタスとルスカに決闘を命じる。

オクタヴィア、そしてセスタスに少なからず同情する宮廷衛士のロクサーネにはアグリッピーナの命令を止めることはできず、セスタスはやむなくルスカと戦うことに。

腹をくくって攻めるセスタスだが、実力はルスカの方が何枚も上。

セスタスの攻撃は全て見切られ、逆に絞め技で追い詰められる。

と、2人の決闘に嫌気が差したネロが泣き叫びながら中止させ、母アグリッピーナに「私は母上の人形じゃないんだ」と反抗してみせる。

息子の反抗にアグリッピーナは取り乱し、結果的にセスタスとルスカの決闘は手打ちとなった。

その後、ネロは再び母に甘えるかたちでアグリッピーナに許しを乞う一方、デミトリアスは相手を破壊しなかったルスカの甘さを罰し、ルスカは父への憎悪を募らせるようになる。

ルスカに何もできなかったセスタスは敗北を噛みしめ、ザファルのもとでもっと強くなることを誓うのだった。

【1巻のまとめ】

15歳の少年セスタスはヴァレンス剣闘士養成所に所属する拳奴であり、「100勝すれば自由の身」という条件で過酷な戦いの道を歩み出した。

元拳奴のザファルに師事し、師の仇敵であるデミトリアスやその息子ルスカとの出会い、そして弱い17歳にしてローマ皇帝に即位したネロとその母アグリッピーナと、セスタスの周囲で物語が動き始める。

アグリッピーナの嫌がらせでルスカと決闘させられることとなったセスタスは、ルスカの駆使する総合格闘技の前に何もできずに完敗し、敗北を噛みしめながらもっと強くなることを胸に誓うのだった。

次巻へ続きます。

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