プロ野球のスパイダースに所属していた凡田夏之介は、プロ8年目で年俸1800万円の中継ぎ投手で、プロ野球選手としては決して一流とは言えない選手である。
このままでは引退後は年収100万円台の生活に陥ってしまう。
「グラウンドには銭が埋まっている」略して「グラゼニ」を胸に、同郷の先輩で引退しラジオでの解説者に転身を果たした徳永、同期で先発投手の渋谷、後輩で期待の若手野手である大野らと共にプロ野球選手としての生活に励むのであった。
2巻のあらすじを振り返ってみましょう。以下ネタバレ注意です。
ずば抜けた運動神経ととんでもない緊張感
プロ野球選手として一流ではない凡田は1塁に山なりのボールが投げられないイップスも抱えているが、それでも一般人と比べれば運動神経や身体の柔らかさは抜群。
サッカーのリフティングではJリーグに入れそうだった若者にひけをとらないレベルであり、練習相手のノボルという青年も同じくらい上手い。
そのノボルもまた、かつては甲子園の優勝投手でかつてはドラフト1位指名された元選手。
ケガに泣かされて昨年引退してしまい、今や球場の売店スタッフとして働いている。
全員がとんでもない運動神経を持ち、とんでもない緊張感のなかで戦うからこそイップスなども起こり、またケガをすれば若くして引退もある、シビアな世界なのであった。
漫画家の取材
凡田のもとに牧場という漫画家が取材に訪れ、主人公のリリーフ投手の設定に協力することに。
読み切りで漫画を完成させた牧場は、プロ野球選手へのリスペクトを込め、自分のこの漫画が連載を獲得したら凡田も今シーズン中に憧れだった先発投手への転向を果たすように約束する。
読み切りの読者アンケートの結果は上々、しかし連載枠を獲得した牧場は結局その野球漫画ではなく、前作の続編を書くことにしてしまった。
わざわざ危ない橋を渡るより前作の続編の方が安定するという計算。
それはプロ野球の世界でも同じ。
肩の違和感で守護神の瀬川が2軍落ちした後釜には富永投手が指名されたものの、監督はピンチの場面で早々に富永を引っ込めて凡田を投入。
ずっとブルペンとベンチをいったり来たりして準備してきた凡田が見事な牽制球でゲームを締め、マウンドでは投げなかったもののセーブポイントを飾ったのであった。
年俸10倍の豪胆な選手との対戦に執念を燃やす
選手名鑑で自分の年俸の倍数を稼ぐ選手が気になってしまう凡田。
自分の倍の年俸である同期の渋谷から野菜を食べることや酒の自粛、禁煙などプロ意識について勉強する凡田だが、自分の3倍や4倍稼ぐ他球団の選手らは肉メイン、大酒飲みでタバコも吸うなど、必ずしも渋谷の言うことが絶対ではない。
凡田の10倍の1億8000万を稼ぐワイルドワンズの一塁手・関谷に至っては銀座のクラブでホステス達と朝まで飲み明し、酒が残った状態でナイターのゲームに出場する始末。
しかし試合ではさすがに酒の影響を感じさせないファインプレーをし、打席でも集中して威圧感を放つ。
関谷の夜遊びの場面に鉢合わせした凡田は、「朝帰りの人には負けたくない」という執念を燃やし、裏をかいたピッチングで見逃し三振を奪うのであった。
崖っぷちの第4捕手
スパイダースの第4捕手である東光が故障した選手と入れ替わりで一軍に上がってきた。
東光は普段は2軍暮らしであり、32歳で年俸も500万しかない。
他方、ドーヨスポーツのエース記者である北村の年収はおそらく1000万超。
北村記者は東光と大学の同期で同じ捕手だったが、選手としてベンチ入りすることもできずマスコミに就職する道を選んだ身。
大学時代1軍だった東光は今や2軍暮らしであるのと対照的に、北村は2軍から1軍扱いで年収も東光の倍という、皮肉な状況に。
東光は年齢的にも打力も盗塁を阻止する肩もリードもパッとしない中途半端な存在であり、北村記者は試合後に東光に厳しい指摘で引退を勧告する。
その場面に居合わせた凡田は、一軍の投手から見た評価を求められて気まずい思いをすることに。
その裏には北村記者が実家の商社の営業マンとして東光を引き抜こうとしており、東光は翌日自分が先発マスクを被る試合にかける決意を固めた。
そして試合の日、バッテリーを組むのは大ベテラン投手の川崎。
東光は調子のいい川崎に助けられて無失点で切り抜けつつ、攻撃でも味方打線の打線に乗って自分もヒットを連発。
大量リードを奪ったうえにこの日の東光は駆け引きも使って俊足の相手走者の盗塁を阻止し、攻撃でもなんとサイクルヒットを達成する。
まだまだ東光は現役で戦えそうなのであった。
外国人選手獲得の噂の余波
スパイダースの瀬川はまだ昨シーズンから守護神になったばかりで、今シーズンは調子を落として2軍に行くことに。
しかしここに来て球団が外国人のストッパーを獲得しようとしているというニュースが流れ、焦る瀬川。
そして瀬川よりも焦っていたのは、年俸2千万で2軍暮らしの投手トーマス。
外国人の1軍登録は4人までであり、スパイダースは既に先発ローテの一角であるデズモンド、中継ぎのホーマー、4番打者ティーブ、ユーティリティプレイヤーのギャレットが鉄板。
支配下登録はトーマスを含め全部で6人おり、さらに外国人が増えればトーマスはクビを切られるかもしれない立場である。
そんななか、トーマスに急に先発のチャンスが回ってきた。
他球団の裏をかこうとした采配であり、トーマスにとっても生き残りをかけたアピールのチャンス。
しかし球場までの通勤になれないトーマスを凡田が送っていくところを一般人の野球ファンに見つかり、そのツイートから対戦相手に先発が筒抜けになってしまう。
その試合、トーマスは気合で4回まで踏ん張るが、2アウト満塁のピンチを作ったところで降板。
短気でボールが真ん中に集まりやすくなる悪癖を持つトーマスはあっさりとベンチに下げられ、マウンドに上がった凡田は押し出しで1点を与えながらもピンチを凌ぐ。
凡田の押し出しにベンチでも怒りの収まらないトーマスだったが、凡田の押し出しは際どいコースを攻めた証だった。
ピンチでもボール球を投げられる勇気について学んだトーマス。
結局スパイダースは新外国人リリーフの獲得に失敗し、瀬川もトーマスも首の皮が繋がるのであった。
【2巻のまとめ】
この巻ではメインストーリーに大きな進展はありませんでした。
次巻へ続きます。
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