6年前、大学の漫画研究会に所属していた園田と近野は、互いに殺人鬼という秘密を共有しながら表向きは何気ない日常を過ごしていた。
その中で、近野が初めて人を殺した相手が11歳のときに自分の身体的特徴である虹彩異色症を他のクラスメイトと共にイジってきた親友であるという秘密も明らかに。
そしてある高級リゾートホテルのモニターのバイトに参加した園田と近野。
運営側スタッフや世界中から集められたモニターと島でひと時のバカンスを過ごすはずだったが、スタッフの中には日本の復讐支援団体「朝食会」からヘルペス・メンチョの2人が潜入していた。
2人からターゲットとして近野が狙われるも、ちょうど島は大地震に見舞われて復讐は一時中断。
一行は津波から逃れるために地下の固く閉ざされた扉の先へと急ぎ、通訳兼ガイドのオーウェンが波に流されるも残る12人は奥深くに広がっていた謎の地下空間へと行き着く。
出口はなく、いつ助けが来るかもわからない状況のなか、言葉の壁のある集団でのサバイバルが始まり、まずはチームを分けて空間内に建っていた施設を手分けして探索することに。
地上は壊滅的な被害を被っていることが監視カメラの映像で判明し、本格的に終わりの見えないサバイバル生活が始まった。
メンチョやダニエル医師、サンドラ(モニター)、ブルーノ料理長らの過去が明らかとなる一方、モニターとして参加していたマルコが何者かに背後から刺されて重傷を負う事件が発生。
マルコは治療中に何者かに毒を盛られてトドメを刺され、その疑いの目はナイフをくすねていた園田と毒物に詳しい近野に向いていく。
拘束された近野はヘルペスとメンチョには自分が過去に親友を殺した日の真相を話し、殺された親友の父から復讐依頼を受けていた2人は近野が信じられるかどうか判断がつくまでいったん近野を殺すのを保留にした。
そして園田と近野が拘束されている間にモニターのサンドラが何者かに惨殺され、疑いは晴れることとなる。
冷静沈着なヘルペスと園田が真犯人に迫り、運営スタッフがそもそも怪しいとにらんだ園田はダニエル医師とブルーノ料理長が黒幕と推理。
ダニエル医師の首に包丁を突きつけながら、ブルーノ料理長に白状するよう迫るのであった。
最終巻のあらすじを振り返ってみましょう。以下ネタバレ注意です。
目次
スタッフの正体は海外の復讐支援団体のメンバーだった
あくまで推測ではあるが、園田の見立てでは通訳のオーウェンも生きていてこの会話をどこかで聞いているはず。
何をしでかすかわからない園田の狂気とヘルペスの冷静な説得で、ついにダニエル医師が口を割る一方、ブルーノ料理長はその場から逃げ出した。
ダニエル医師が言うには、彼らは「ラムアンドハーツ(羊と心臓)」という、朝食会のルーツともいえる海外の復讐支援団体のメンバーだという。
犯人はダニエル、ブルーノ、そしてどこかでまだ生きているであろうオーウェンの3人であるのがほぼ確定し、地震や津波なども建物を揺らしただけで地上の映像はおそらくフェイク。
なぜここまで手の込んだことをするのか―。
園田はその理由に好奇心を駆られ、ヘルペス・メンチョ・近野と合わせた4人の中で誰が一番早くに殺人鬼を捕まえるか競争することを提案。
園田か近野が勝てば近野への復讐は中止という条件で、手分けしてブルーノ・オーウェン探しを始めるのであった。
逃げたブルーノ料理長がヤニスを襲う
園田と近野がまず医療施設で目当ての薬品を調達しつつ捜索する一方、ヘルペスとメンチョは自分たちがラムアンドハーツのターゲットではない可能性が高いことから、頃合いを見て他のモニターが狙われるだろうと予測する。
そしてヤニスが我慢しきれずにホテルのトイレに行ったところで、個室に潜んでいたブルーノがナイフを手に襲い掛かった。
必死に逃げ惑うヤニスの悲鳴が響き渡り、タチアナ・ビリー・ニーナの表情も強張っていくのであった。
タチアナの過去
7年前、生まれ育ったフランス南部の街に強い愛着を持っていたタチアナは、地域への恩返しのために自治体が主催するボランティア活動に参加するようになる。
しかし自分で持ち味だと思っていた歯に衣着せぬ物言いが周囲の住人から煙たがられるようになり、ある日ボランティアの炊き出しに毒物が混入してホームレス数人が死んでしまう事件が発生。
毒物の成分はタチアナが仕事で頻繁に使用していた塗装の溶剤と一致。
タチアナは自身の潔白を主張し、周囲で学生の不良グループが同じような野良犬の毒殺事件などの悪戯を起こしていたと警察に話すが、周囲の人は誰もタチアナを擁護しなかった。
結局、タチアナは証拠不十分で不起訴となったが、街全体からの強烈な敵意を感じたタチアナは「自分は悪くない」という心の叫びを抱えながら街を離れたのであった。
メンチョがブルーノ料理長と対峙
ブルーノがヤニスを追い詰め、ついにナイフによる復讐が実行されようかというとき。
タチアナがヤニスを庇って刺された。
「自分は間違ったことはしていない」と満足そうにつぶやきながら命を落としたタチアナ。
そこにヘルペスとメンチョが駆け付ける。
ヘルペスはブルーノのパンチ一発で気絶してしまうが、メンチョがナイフを所持したブルーノと対峙するのであった。
近野がダニエル医師を始末
薬品から自作の毒を生成した近野は、園田と別れて拘束されているダニエル医師のもとへ向かう。
マルコもサンドラも短い間だったとはいえ自分に良く接してくれた友人に近い存在。
その2人を殺された復讐として、近野はダニエルに毒を注射して殺すのであった。
黒幕オーウェンを倒し、ブルーノ料理長も始末
メンチョがブルーノをボコボコにするが、諦めないブルーノはヤニスを人質に取ろうとする。
と、そこに現れた園田が背後からブルーノを刺し、ブルーノもついに動けなくなった。
ここで銃を手にしたオーウェンが姿を現し、全ての真相が明らかとなる。
マルコを殺したのは世界でも発表されていないオリジナルの毒物であり、オーウェンはヘルペスとメンチョが朝食会のメンバーであることも知っていた。
朝食会はラムアンドハーツの活動のフォーマットを参考にするためにあえて2人を派遣しており、2人の行動をずっとモニタリングしていたのである。
グレンはまず最も脅威であるメンチョを銃で狙うが、それを予知したニーナが間一髪でメンチョを庇う。
ニーナが肩に銃弾を受け、怒ったメンチョが一気に距離を詰めてオーウェンを制圧。
さらに園田もオーウェンに肩を貸すフリをしながら、「一度でいいからやってみたかった」と言いながらナイフでオーウェンをメッタ刺しに。
敗北を悟ったブルーノは、「誰の中にもオレがいる。失ってしまった大切なものは二度と戻らない。他者を断罪する瞬間だけ生を感じることができる。そしてその生存欲求は快楽に繋がる殺人衝動と同じ」とつぶやく。
ブルーノを生かしたままでは厄介になると判断したヘルペスは、死んだマルコたちの復讐を自らメンチョに依頼し、メンチョがブルーノを絞殺するのであった。
島からの脱出、数年後に園田があの事件を引き起こす
オーウェンが持っていたWi-fiや見取り図から、例の開かずの間に地上への出入り口があることを突き止めた園田たち。
そのまま地上を目指して脱出を急ぐが、まだ息があったオーウェンは再び大地震の発生装置を作動させる。
落ちてくる資材から近野を庇ったメンチョが足を負傷し、全員で助け合いながら何とか地上に出ることに成功した一行。
ニーナは予知能力でクルーザー船のある海岸の方角を言い当て、さらにヤニスが運転して無事に島からの脱出を果たした。
全てが終わり、ヘルペスに取材をする園田は、ブルーノが言っていたメッセージを日本語に訳してもらい、影響を受けることとなる。
内地に着いたあとは、ヘルペスはヤニス・ニーナ・ビリーの3人の事も運営側のメンバーもろとも死亡したと朝食会に報告することとし、3人には「誰かに復讐を依頼されるほどの恨みを買っていた事実を忘れるな」と忠告。
一方、近野については依頼の発端である楓の殺害は事故の可能性もあると判断し、復讐を一時中断。
日本に帰国後、空港で別れた園田と近野は、その後二度と会うことは無かった。
そして数年後、ブルーノの言葉が頭の中を反芻する園田は、自分の中に何がいるのか、それと対峙したときにどんな感情になるのかに好奇心を駆られ、我慢できずにナイフを手に通り魔事件を起こす。
偶然にも「クソ親父 クソババア 死ねっ!!」という叫び声が通りがかった家の中から聞こえ、園田は衝動的にその家に押し入るのであった。
【6巻(完)のまとめ】
このモニターのバイトは初めから海外の復讐支援団体「ラムアンドハーツ」が仕組んだものであり、モニターのバイト達はいずれも後ろ暗い過去から復讐のターゲットとして集められていたものだった。
ダニエル医師、ブルーノ料理長、そしてどこかに姿を隠したままの通話オーウェンの3人が黒幕であることを園田が突き止め、命懸けの殺し合いが始まる。
拘束したダニエル医師は近野が毒殺し、ブルーノ料理長は1人を手にかけながらもメンチョによって制圧された。
姿を現した黒幕のオーウェンも最後には園田に殺され、事態は収束。
地上が壊滅したという映像もフェイクであり、生き残ったモニターたちは島を脱出する。
日本に帰国後、この事件を通じて自分の中に潜む殺人衝動について好奇心を駆られた園田は、偶然通りかかった家に押し入り、練馬区一家殺害事件を引き起こすこととなるのであった。
この漫画をもう一度読みたい方はこちら
全巻まとめに戻る
-
参考本編で主要な凶悪犯だった園田と近野の過去を描くスピンオフ作品『園田の歌』全6巻【ネタバレ注意】
続きを見る