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前巻はこちら恋心、劣等感、そして自分らしさへ——登場人物たちの内面が深まる『アンサングシンデレラ 病院薬剤師 葵みどり』13巻【ネタバレ注意】
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第14巻では、遺伝的体質が引き起こす思わぬ処方ミス、SNSが助長する危険なダイエット、そしてトランスジェンダーの患者との向き合い方まで、現代社会のリアルな課題が次々と描かれます。
みどりの恋愛と私生活の揺らぎも描かれており、医療ドラマとしてだけでなく、人間ドラマとしての深みがさらに増した一冊です。
体質の「遺伝」が処方を左右する
狭心症で通院している中嶋は、薬を服用しているにもかかわらず症状がなかなか改善しないという状況が続いていました。
一方、中嶋の息子の妻は切迫早産で入院中でしたが状態は安定しており、息子は職場の歓迎会に参加します。
しかし親ゆずりでアルコールに弱い体質の息子は酔ってけがをしてしまいます。
その出来事からアルコール体質と疾患リスクの関係を調べていたみどりは、中嶋が「飲まない」のではなく「飲めない」体質であることに着目し、主治医に相談します。
その結果、体質に合わない処方が続いていたことが明らかになり、すぐに変更されました。
遺伝的な体質が処方の適否に直結するという、薬剤師ならではの視点が光るエピソードです。
その後、息子夫婦には無事に赤ちゃんが生まれ、孫に目を細める中嶋の姿が温かく描かれています。
荒れるみどりと、SNSに踊らされる女性
小野塚との気まずい関係が続く中、みどりの生活は乱れていました。
食事は雑になり、飲酒も増え、肌荒れと体重増加が重なっていきます。
気持ちを立て直そうとドラッグストアを訪れたみどりは、サプリを選ぼうとしますが薬剤師の習性から成分と含有量が気になりなかなか決められないという、思わず笑ってしまう場面も描かれています。
その同じドラッグストアで、こむら返りの薬を購入していたのが福山でした。
SNSの過剰な痩身傾向に影響を受けた福山は無理なダイエットを続けており、急激な体重減少に喜びを感じるあまり体調悪化を見て見ぬふりをした結果、ついにベッドから起き上がれなくなってしまいます。
過激なダイエット情報が拡散しやすい現代のSNS環境の危うさを、リアルに突きつけるエピソードです。
薬を「使う責任」と「使わせる責任」
救急搬送された福山が入院すると、妹が持参したサプリや薬の中に危険な副作用を引き起こす可能性のある成分が含まれていることが判明します。
本来の用途とは異なる目的でダイエット薬を処方する医師の存在も描かれており、使う患者だけでなく処方する側のモラルも問われています。
体調が回復し始めてもネットの情報を鵜呑みにして漢方に手を出そうとする福山に、みどりは過度な痩身が女性の身体機能に与える深刻な影響を丁寧に説明します。
実際に萬津にも過度な低体重で入院している患者がいることを知った福山は、葛藤の末に自身のダイエットを記録していたSNSアカウントを削除しました。
SNSと薬と身体の関係を、現実的かつ誠実に描いた章です。
みどりと小野塚、ぎこちない再会
久しぶりに食事をともにしたみどりと小野塚。
小野塚は関係が壊れることを恐れて慎重になっていたと打ち明けますが、みどりにはその言葉が「恋愛感情はない」という意味にしか聞こえませんでした。
恋愛と友情の境界線で揺れるみどりの複雑な心情が、静かながら丁寧に描かれています。
トランスジェンダーの患者と向き合う難しさ
トランスジェンダーのスタッフのみで営まれるバーで働く皆川は、ホルモン注射の影響で体調を崩しがちになり、治療を中止されてしまいます。
身体的な変化が戻り始め、一向に回復しない体調から、ついに萬津を受診することを決意した皆川でしたが、スタッフから過剰に気を遣われることにもまた苦しさを感じていました。
前例のないトランスジェンダーへの対応にスタッフ全員で情報を共有して臨んだみどりでしたが、神経質になるあまり声のかけ方を誤り、皆川を傷つけてしまいます。
その反省からLGBTQについて深く調べ始めたみどりは、自分がいかに「知らない世界」に無自覚だったかを痛感するのでした。
知ろうとすることから始まる理解の大切さを、説教的にならずに伝えているところが本作らしい誠実さを感じさせます。
【14巻のまとめ】
『アンサングシンデレラ』第14巻は、遺伝的体質と処方の関係、SNSが招くダイエットの危険性、トランスジェンダーの患者理解と、現代社会のリアルな課題を丁寧に拾い上げた一冊です。

ぜひ続きの第15巻とあわせてお手に取りください。
次巻へ続きます。
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