ネバーランド(子供の世界)での幸せな生活を描くハートフルな物語かと思いきや、孤児院で育てられた子ども達が過酷な運命に抗っていく物語。
色々な孤児が集まる「孤児院」・グレイス=フィールド(GF)ハウスは、院のシスターで「ママ」と慕われるイザベラのもとで、「きょうだいたち」にも血縁関係はないが、幸せに暮らしていた。
ここでは、赤ん坊のころに預けられた子供を、特殊な勉強とテストにより育てあげ、6歳から12歳までの間に里親の元へと送り出す...と孤児たちは教えられていた。
里親が見つかり、外の世界に出ることになったというコニーが人形を置き忘れたため、主人公で身体能力に優れるエマと、知略に優れるノーマンはそれを届ける。
しかし二人は、近づくことを禁じられていた「門」でコニーが食肉として出荷される瞬間を目撃する。
今までママやきょうだいたちと幸せに暮らしていた孤児院は、実は「鬼」に捧げる食用児の養殖農園だった。
そして「鬼」の存在を知ったエマとノーマンは、リアリストで博識なレイのほか、ドン、ギルダを仲間に引き入れ、GFからの脱獄計画をスタートさせる…。
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登場人物紹介
<グレイス=フィールド(GF)>
エマ
主人公。グレイス=フィールドハウスに住む、孤児で最年長の一人。11歳の女の子。
人想いで楽天的な性格。毎日のテストでは度々フルスコア(300点)を出しており運動能力も高い。
ノーマン
孤児最年長の一人。11歳の男の子。テストは常にフルスコアで、ずば抜けて頭脳明晰。脱獄に関する実質的なリーダーとなる。
レイ
孤児最年長の一人。11歳の男の子テストも度々フルスコアを出しており博識な読書家。現実主義的な性格。
コニー
6歳の女の子。テストのスコアはいまひとつで、そのことにやや劣等感を持つ。人形のリトルバーニーが好き。
ドン
10歳の男の子。エマたち最年長3人組に次ぐ年長者。明るく負けず嫌いな性格。
同年齢のギルダとは親しい。ノーマン達に比べると、やや短絡的で状況判断能力に劣るが、兄弟たちを思う気持ちは強い。コニーのことも気にかけ、よく助けていた。手先が器用なのか、スリの特技がある。
ギルダ
10歳の女の子。エマたち最年長3人組に次ぐ年長者。内気だが、芯の強い性格。
エマとは共に年少者の世話をする係で、仲がいい。ノーマンには及ばないが、優れた洞察力と冷静な思考力を持つ才女。
アンナ
9歳の女の子。時々ギルダと一緒にいる。長い三つ編みが特徴。面倒見がよく、優しい性格。
ナット
9歳の男の子。少し臆病で、ちょっぴりナルシスト。ピアノが弾ける。
トーマ
7歳の男の子。足が速く、鬼ごっこが好き。
ラニオン
7歳の男の子。トーマと仲良しで、いつも一緒。
フィル
4歳の男の子。とても賢くて、活発な性格。テストも成績優秀で、4歳以下の子供達でずば抜けて頭が良い。
シェリー
4歳の女の子。フィルと共に、よくノーマン、エマを探している。
マルク
5歳の男の子。食べることが好き。ナイラと仲が良い。
ナイラ
4歳の女の子。マイペースな性格。マルクと仲が良い。
クリスティ
5歳の男の子。好奇心旺盛。
アリシア
5歳の女の子。お転婆でチア部っぽい。
ジェミマ
5歳の女の子。まじめな性格。
キャロル
新入りの赤ちゃん。
レスリー
イザベラが子供の頃、同じプラントにいた少年。物静かな性格だが歌を作る才能があり、自身が作った歌をイザベラに頼まれて聴かせていた。
サイモン
エマ達の脱走後、フィルが送られたプラントにいた少年。フィルによると、お調子者で人柄がドンに少し似ている。
ジャッキー
エマ達の脱走後、フィルが送られたプラントにいる少年。そのプラントでは最年長。
ヘレン
エマ達の脱走後、フィルが送られたプラントにいる少女。フィルの良いお姉さん的存在。
<グローリー=ベル(GB)>
ユウゴ
エマ達が辿りついたシェルターで出会った大人の男性。13年前、仲間と共にペンを頼ってGB農園から脱獄し、シェルターに辿りつく。
仲間が皆ゴールディ・ポンドで狩られ壊滅し、自分だけ生き永らえたことに罪悪感を持ち続けながら1人でシェルターで生活している。
ニコラス
ユウゴの仲間だった少年。帽子を被っていた。
ジョン
ユウゴの仲間だった少年。ユウゴが着ているベストは、元々は彼が着ていた物のようである。
ダイナ
ユウゴの仲間だった少女。ユウゴは彼女の事が好きだったようで、ルーカスもその事を知っていて告白を促されたが言えずにいた。
ルーカス
ユウゴの親友の男性。サブリーダー格。
<グランド=ヴァレー(GV)>
テオ
ゴールディ・ポンド(GP)にいる12歳の少年。秘密の猟場に来た当初、オリバーから猟場の説明をされるも信じなかった。
モニカ
GPにいる少女。テオからは「姉ちゃん」と呼ばれる。
ジェイク
GPにいる少年。テオからは「兄ちゃん」と呼ばれている。
ヴァイオレット
GPにいる少女。13歳。俊敏でチームの斥候役を担う。
オリバー
GPにいる少年。猟場にいる子供たちのリーダーで、1番の古株。
頭が切れ、猟場の人間達の生活を回すしながら密猟者達を撃退して人間の集落へ逃げる事を計画する。
サンディ
GPにいる少年。17歳。救護担当。
くせのある毛質でヘッドバンドをしている。いつもポジティブで皆を元気づける。
ザック
GPにいる少年。18歳。救護担当。戦闘派。
最古参の1人で、身体能力が高くどんな危険にも怯まず飛び込む。
ナイジェル
GPにいる少年。16歳。機械類担当。
ソーニャ
GPにいる少女。17歳。副リーダー。
メガネをかけていてそばかすがある。作戦を立てたりデータを作るのが得意。
ペペ
GPにいる少年。16歳。食料担当で料理隊長。猟場に来てからの日は浅め。
ジリアン
GPにある秘密の猟場にいる少女。15歳。食料担当。
ポーラ
GPにある秘密の猟場にいる少女。17歳。食料担当。狙撃の名手。
アダムとだけ食事をし、他の仲間には口元を見せない。同志でも古参。
<その他の食用児>
アダム
GPにいる少年。ヴァイオレット達のアジトである風車の門番をしている。
大柄で一般的な人間とはやや異なる体型。
どこから来たのか不明で言葉をあまり理解できないらしく、ほとんど喋らず、稀に「22194」という数字を独り言で繰り返す。
バーバラ
ノーマンの腹心。グッドウィル=リッジ出身。
量産農園を警備する鬼達を容易く殺すほどの実力で、自分達ばかり食べられるのはムカつくと殺した鬼達を食べる。
シスロ
ノーマンの腹心。グッドウィル=リッジ出身。
量産農園を警備する鬼達を容易く殺せるほどの実力を有する。
ザジ
ノーマンの腹心。紙袋のようなもので顔を隠しており現時点では性別は不明。
言葉を上手く話せない。二刀流の使い手で、量産農園を警備する鬼達を容易く殺せるほどの実力を有している。
何を考えているのか分からず、ノーマン以外の言う事は聞かない狂犬のような人物。
ヴィンセント
ノーマンの腹心。成人男性のような見た目をしている。
グローリー=ベル出身。
ハヤト
ノーマンが助けた食用児。人間離れした速度で走る事ができる。
ジン
ノーマンが助けた食用児。黒髪で口元を布で隠している。
<知性鬼の社会との関係者>
マム・イザベラ
子供にとても優しく振る舞うが、裏では鬼の冷酷な手下としてGF人間農園を管理する飼育監(ママ)。
自らも農園の生まれ育ち。
シスター・クローネ
イザベラからの監視強化の要請により、本部から派遣された補佐役。エマ達のいる第3プラントとは別のプラント出身。
イザベラのミスを知ると、証拠を掴んで彼女を失脚させ、「ママ」の地位を奪おうと画策する。
グランマ・サラ
複数のプラントを統括する立場の人物で、イザベラら飼育監の上司。
イザベラの手腕を高く評価し、彼女が管理する第3プラントを頼りにしている。
<ラートリー家関係者>
ウィリアム・ミネルヴァ(本名:ジェイムズ・ラートリー)
ウィリアム・ミネルヴァはGFに本を寄贈する際の偽名であり、本名はジェイムズ・ラートリー。
1000年前鬼と『約束』を結んだ一族、ラートリー家の第35代当主。
二世界間の調停役として約束を代々受け継ぐ立場でありながら食用児たちに犠牲を強いる理不尽な仕組みに耐えかね、偽名を名乗って食用児が自らの未来を選択するのを支援する。
しかし腹心だった弟・ピーターの裏切りで一族から命を狙われ、行方も生死も不明に。
ピーター・ラートリー
ウィリアム・ミネルヴァの実弟。ラートリー家第36代当主。兄とは異なり、人間世界の安寧のために食用児が人間の世界へ渡る事を阻もうとする。
アンドリュー
ピーター・ラートリーの部下。褐色の肌でメガネをかけた男性。
ピーターの指示で脱走した食用児全員の処分を任される。
マイク・ラートリー
ウィリアムとピーターの叔父。中立的な考え方をする常識人。
<鬼たち>
「あの方」(仮)
鬼達から神聖視される存在。王よりも更に上位の立場。
七つの壁を超えた先にいる、”約束”の裁定者。”約束”を結べば何でも実現させてもらえる代わりに、自分の一番大事なものを”ご褒美”として差し出さなければならない。
"約束"で決められた事は絶対らしく、誰も破ることはできない。
レグラヴァリマ
女王。レウウィスやソンジュの姉。王族の中でも数少ない核が2つある鬼。
非常に欲深い性格で、女王の座も実父である先代王を殺して就いた。
イヴェルク
最上級貴族、五摂家の一員。五摂家の中でも中心的な人物で、政を司っている。
ノウム
五摂家の一員。ノウスとノウマの妹。ドッザとは仲が悪いようである。
ドッザ
五摂家の一員。元はギーラン卿の部下だったようだが、ギーランを陥れて五摂家の座に就いた。
言動も品位を欠いており、バイヨン(当代)からは下賤の成り上がり者と蔑まれている。
バイヨン
五摂家の一員。猟場の主である先代バイヨンの息子。ゴールディ・ポンド(GP)という秘密の猟場の主。
ピーター・ラートリーと繋がりがあり、自身の息のかかったグランド=ヴァレー農園から食用児を生きたまま入荷できる特権を持つ。
秘密の私設の庭で食用児を放し飼いにし、他の一部貴族にも人間狩りを提供している。
プポ
五摂家の一員。おどおどした性格のようである。
<ゴールディ・ポンド(GP)に集う密猟者>
レウウィス大公
鬼の王家出身で五男坊。女王レグラヴァリマの弟。秘密の猟場の客。
パルウゥスという小さい猿のような鬼を肩に乗せている。「狩りは互いに命を懸けるから面白い」という考えの持ち主で、子供たちが本気で殺しに来るようハンデやヒントを与えながら狩りを楽しむ。
実力は密猟者達でも別格で、尚且つ何をしてくるか分からない。
ルーチェ
上級貴族の鬼。秘密の猟場の客。
獲物への拘りは特に無く、雑魚を蹂躙して楽しく狩りたいという陰湿な性格。
ノウス
ノウマとペアで行動する男性の鬼。秘密の猟場の客。上級貴族。
ノウマ
ノウスとペアで行動する女性の鬼。秘密の猟場の客。上級貴族。
<その他の鬼>
ムジカ
エマ達を助けた知性鬼の少女。
ソンジュと共に知性鬼の社会とは離れて暮らし、「原初信仰」なる独自の宗教を信仰し、人間を食べずに生活する。
「邪血の少女」と呼ばれる一族の生き残り。
ソンジュ
レイを助けた鬼の男性。ムジカと同じく宗教上の理由で人間は食べない鬼の社会でも異端な存在。
女王レグラヴァリマやレウウィス大公の弟だが、自身は「反逆者」として追われる身。
ギーラン卿
元五摂家で良識のある貴族の鬼だったが、700年前に腹心のドッザの裏切りによって一族ごと「野良落ち」の刑に処され、知性鬼の社会から追放された。
自分たちを追い出した王家と現五摂家を恨み、復讐を企む。