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前巻はこちら春日の告白と幸せな日々、そして過去との向き合い『惡の華』9巻【ネタバレ注意】
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9巻のラストで「あの町」へ向かう決意をした春日。
10巻では、故郷での祖父の死、過去の関係者との再会、そして常盤への告白を経て、物語はついに仲村との再会という大きな場面へと向かいます。
春日の成長と覚悟が凝縮された、見応えのある一冊です。
今回は第10巻の内容と見どころをネタバレありで紹介します。
祖父の死と、故郷の重さ
両親と車で故郷に戻った春日は、病院で危篤状態の祖父と対面します。
祖父の足をさすりながら温める春日でしたが、少し病室を離れた隙に祖父は息を引き取ります。
病院を出ると、いとこたちから「祖父が死んだのはお前のせいだ」と責められます。
夏祭りの事件以来、肩身の狭い思いをしてきた親戚たちの怒りは、春日に重くのしかかります。
謝る春日に「一生かけて償え」と言い残し、いとこたちは去っていきます。
故郷に戻るとは、単なる帰省ではなく、自分がかつて傷つけた全てのものと再び向き合うことだと、この場面は静かに語りかけてきます。
木下との再会と謝罪
祖父の通夜で受付をしていた春日は、参列者の中に木下の姿を見つけます。
木下は「久しぶり」と声をかけるだけで、焼香を終えてそのまま帰ろうとします。
春日は木下を呼び止め、あのときのことを謝ります。
木下は「あとで時間があるか」と尋ね、葬儀後に二人で会う約束をします。
一言ずつ交わされる会話の中に、3年という時間の重さが滲み出ています。
謝罪を受け入れるでも拒絶するでもなく、「聞きたいことがある」と続ける木下の姿が、この場面に複雑な余韻を与えています。
木下が明かす仲村の居場所
ファミレスで向き合った春日と木下。
木下は佐伯のことを尋ね、春日は偶然の再会と、佐伯が普通に幸せに暮らしていることを伝えます。
それを聞いた木下は「自分一人だけがこの町に置いてけぼりだ」と涙をこぼします。
佐伯も春日も前に進んでいる中、自分だけが取り残されているという木下の孤独が、静かに胸に刺さります。
そして木下は、バイト先で偶然耳にしたという仲村の居場所をメモに書いて春日に手渡し、「さよなら」とその場を去ります。
木下のこの行動が、物語の最終局面を動かす大きな鍵となります。
常盤への告白、そして小説の完成
故郷から戻った春日は、常盤の部屋に呼ばれます。
常盤は恥ずかしそうに「小説が完成した」と告げ、原稿を春日に手渡します。
しかし春日は「今は読めない」と口にします。
そして、言わなければならないことがあると、中学時代に起きた全てを常盤に打ち明けます。
さらに「仲村に会った後に小説を読みたい」と伝えると、常盤は原稿を破り捨てて部屋を飛び出します。
必死に追いかけた春日は橋の上で常盤に追いつき、後ろから抱きしめます。
常盤は「私にキスできるか」と問い、春日がそっとキスをすると、常盤は「私も仲村さんに一緒に会いに行く」と告げます。
原稿を破り捨てるという激しい感情表現と、それでも春日と共に歩くことを選ぶ常盤の強さ——この場面は10巻の最大の見どころのひとつです。
ついに仲村との再会
木下のメモを手に、春日と常盤は電車で千葉の外川という町へ向かいます。
町の人に尋ねながら食堂を探し当てた二人は、席に着いて定食を注文します。
しばらくすると、買い物を終えた仲村が店に入ってきます。
何も言わず定食を運んできた仲村に、春日は立ち上がり「会いに来た」と声をかけます。
仲村は「ひさしぶり」と微笑みます。
この再会シーンは、台詞の少なさと相まって、圧倒的な静けさの中に深い感情が満ちています。
「向こう側」を目指して暴走し、全てを失い、それでも仲村のことを忘れられなかった春日が、ついにここへたどり着いた——その重みが、この一場面に集約されています。
【10巻のまとめ】
10巻は、物語が完結へ向けて大きく動き出す、非常に重要な巻です。
故郷での再会と謝罪、常盤への告白、そして仲村との3年ぶりの対面——全ての場面が、春日の成長と覚悟を丁寧に積み上げています。

次巻へ続きます。
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