リカオンズ悲願の優勝を目指す”悲運の天才打者”児島は、ミニキャンプに来た沖縄で1打席勝負の賭け野球「ワンナウト」で無敗を誇る天才勝負師・渡久地東亜と出会う。
速球も変化球もないが並外れた度胸、洞察力と読心術で相手打者を翻弄する渡久地を児島は勝負への執念で破り、渡久地は児島に従って「リカオンズを優勝させる」という目的のもと入団することとなった。
球団経営を銭勘定でしか考えないリカオンズオーナーの彩川と「1アウトで+500万円、1失点でー5000万円」という完全出来高制の年俸契約(通称:ワンナウツ契約)を結び、渡久地のプロ野球選手としてのシーズンが始まる。
既に球団売却を水面下で進める彩川オーナーはワンナウツ契約に具体的な条件をつけ有利に進めようとするが、渡久地は相手打者や彩川オーナーを手玉に取り荒稼ぎをしていく。
渡久地はパ・リーグの最強王者マリナーズとの3連戦に全試合先発させられながらも見事に大幅な収支黒字で切り抜け、ホームスチール成功率100%の最速男ジョンソン擁するバガブーズ、ホームスタジアムでイカサマを駆使する悪質球団ブルーマーズも破った。
渡久地と彩川オーナーの賭け勝負は途中から2軍で戦力外寸前のムルワカ・倉井・菅平のポンコツ3人衆も対象に含めた「新・ワンナウツ契約」へと姿を変えるが、ここでも渡久地は3人の潜在能力を引き出して大勝。
ついに彩川オーナーの資金が底を尽き新・ワンナウツ契約は終結するが、今度はリカオンズの球団売却の話が公表される。
球団消滅の危機に際し選手たちは渡久地と共に解雇を受け入れる覚悟を固めるが、渡久地が個人で球団の買い取りに名乗りを上げ、新しいオーナーに就任するのだった。
15巻のあらすじを振り返ってみましょう。以下ネタバレ注意です。
さらに大きな壁が立ちはだかる
最後の最期でトロンポスの三田村を裏切り、経営権を手に入れた渡久地。
児島との約束でリカオンズを優勝させるための戦略を考えた結果、渡久地は既に球団売却の密約を決めている彩川グループをいっそ潰すというシナリオを描いていた。
三田村と組んでワンナウツ契約を彩川に仕掛け、順調に金を巻き上げていくが、シーズンの途中で三田村が球団解体の意図を告白したことで渡久地は作戦変更を余儀なくされる。
〈トロンポスを欺いた渡久地 [ONE OUTS 15巻](c)集英社/甲斐谷忍〉
高額を提示してリカオンズの経営権を横取りした渡久地だが、既に大きな力が渡久地を潰しに動き出している。
セリーグの最強軍団ガラリアンズのオーナー・田辺常行の存在である。
収益拡大のために1リーグ構想を画策する田辺は、球団の経営難にあえぐパリーグ球団を救うという大義名分を狙っており、唯一黒字経営をしているリカオンズの存在がネックになっている。
そこで田辺は三田村を使ってリカオンズの乗っ取りを画策していたが、それを渡久地に邪魔される形となっていたのだった。
〈球界のドン・田辺が立ちはだかる [ONE OUTS 15巻](c)集英社/甲斐谷忍〉
暫定オーナーに就任
さっそく田辺はオーナー会を召集し、渡久地の経営者としての資質にイチャモンをつける。
しかし渡久地は堂々と反論し、次の条件で経営権の承認を取り付けた。
その条件は次のようなもの。
・1週間を1単位として毎週末球団の収支を出し、赤字が出たらアウト
・首位と10ゲーム以上離されていたらアウト
・上記2つをクリアできなければ渡久地は経営権を放棄し、クリアしていれば経営権を1週間延長する
・最終的にリカオンズがペナントレースで優勝できなければ渡久地は経営権を放棄する
こうして、渡久地は暫定オーナーとして優勝を狙いに行くのだった。
〈暫定オーナーに就任 [ONE OUTS 15巻](c)集英社/甲斐谷忍〉
秘策「Lチケット」
勝ち続けながら黒字を出す、そのために渡久地は「Lチケット」という秘策を用意していた。
〈秘策「Lチケット」 [ONE OUTS 15巻](c)集英社/甲斐谷忍〉
リカオンズのホームゲームで導入し、価格は1.5倍とする代わりに「リカオンズが負ければ全額返金」とう条件が付いている。
さらに勝利した場合はファンからその試合のMVPを5票分投票してもらい、その得票数に応じて各選手のギャラとして分配するという仕組みである。
選手たちの年俸は完全停止し、Lチケットの得票による出来高制、いかに活躍しても試合に負ければノーギャラ。
〈負ければノーギャラ [ONE OUTS 15巻](c)集英社/甲斐谷忍〉
チケット代がタダになるかもしれないとあって球場には多くのファンが詰めかけ、興行的にはまず成功を収める。
そしてLチケットの魔法はチーム強化にもつながっていくのだった。
選手たちの意識に変革が起こる
Lチケット導入後初めての試合は渡久地が先発登板し、完封。
児島が決勝点となるタイムリーを挙げたことでチームは勝利し、MVPの集計は渡久地と児島に集中した。
「活躍する機会が欲しければスタメンの座を奪えばいい、スタメンは前節でのMVPチケット獲得数のみで決める」と渡久地はルールを設け、一層の選手の奮起を促す。
〈カネが欲しけりゃ掴み取れ [ONE OUTS 15巻](c)集英社/甲斐谷忍〉
渡久地は二軍の試合でもLチケットを導入し、さっそく覚醒した菅平が活躍していた。
菅平を一軍の試合に合流させると、選手たちは菅平の変わりように驚愕する。
菅平はいかにチームが劣勢でも「自分がヒーローになって金を稼ぐ」という思考になっており全力のプレーを連発。
「もし逆転すればMVPは菅平」という印象は選手たちにも強く残り、次第にその意識は1軍にも浸透していった。
それぞれが「自分がチームを勝たせる」という強い意識のもと異様な集中力を発揮してプレーするようになり、活躍できなかった選手たちも「自分がスタメンになるにはどうすればいいか」を必死に考えるように。
〈逆境はむしろチャンス [ONE OUTS 15巻](c)集英社/甲斐谷忍〉
ここにリカオンズは覚醒し、マリナーズからの首位奪還に向けて突き進んでいくこととなるのだった。
【15巻のまとめ】
渡久地のオーナーとしての資質にイチャモンをつけたのはセリーグの最強球団ガラリアンズのドン・田辺会長。
しかし渡久地は球団経営で黒字を出しながら優勝することを宣言し、暫定オーナーとして承認を取り付けた。
球団改革に乗り出した渡久地は「勝てばファン投票に応じて選手に報酬還元、負ければチケット代は客に返金+選手はノーギャラ」という仕組みのLチケットを導入する。
新しい試みが話題を呼び観客動員数が伸びる一方、選手たちも「自分がいかにヒーローとなって勝つか」を追求し、勝負への意識に改革が起こるのだった。
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