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貘と蜂名の過去編、そしてアイデアルのボスが登場し卍勝負の新章へ『嘘喰い』30巻【ネタバレ注意】

~前巻までのあらすじ~

多重債務者の冴えない青年・梶隆臣はひょんなことから凄腕のギャンブラー・斑目貘と出会い、行動を共にするようになる。

さらに梶は命すら対価にするギャンブルや、それを成立させるために立会人を派遣する中立の秘密組織「賭郎」の存在を知り、廃ビルでの命懸けの脱出勝負に勝った貘は、全てを凌駕する暴力を持つ別人格の怪物・ロデムを宿すマルコを仲間に加え、賭郎の会員権や大金を得た。

賭郎の会員権を梶に譲った貘はさらに賭郎の能輪立会人の手配で新たな賭郎勝負の場を設定してもらうこととなり、貘と顔なじみである立会人の夜行妃古壱が梶の専属につくなか、富士山中のトンネルでテロリストの佐田国との賭郎勝負に勝ち、お屋形様との取引で再び賭郎会員に復帰。

しかしその裏ではお屋形様の思惑通り警察以上の力を持つ新組織成立へと動き始めており、さらに賭郎の乗っ取りを企む米国の犯罪組織「アイデアル」も実行部隊リーダーである暗殺者カラカルが暗躍する。

貘は警察とグルになって未解決事件の犯人をでっち上げるための迷宮ギャンブルを利用して自分が屋形越えに失敗した事実を無かったことにし、さらにイカサマを読み切って勝利を手繰り寄せ、合計11億円とこの迷宮ギャンブルに関与していた警察関係者の名前として天真という男の名前を得た。

貘の命を狙ってその天真とその部下である密葬課の箕輪が現れ、この迷宮ギャンブルの関係者のデータが入ったLファイルを賭けて門倉が仕切る勝負が行われるが、これにも勝利して天真からLファイルを獲得する。

他方、梶は自らの力で無実を証明すべく立ち上がり、貘から得た情報で殺人事件の真犯人である羽山邸へと潜入、羽山家に取り入るヤクザの鞍馬と滑骨の代理戦争に巻き込まれる形で完全な証拠を賭け、梶・カール・郁斗の3人で「ファラリスの雄牛」の勝負。

焼かれたカールが瀕死の重傷を負うが、カールとの協力もあり梶が最終的に勝利して事件の証拠を獲得、負けを認めようとしなかった滑骨は屋敷の外で伽羅によって葬られるが、伽羅は滑骨が契約していた伝説的ボディーガードのキョンホ・ジョンリョに狙われることとなり、姿を消した。

貘は梶が獲得した証拠と犯罪者が載るLファイルを使い、テレビ局を乗っ取って生放送での暴露番組を企画、賭郎勝負としてスタジオには弥鱈立会人が目を光らせるなか、番組ではゲストたちがパネルと共に事件の犯人として暴かれていき、貘はゲストの中に潜ませていた梶と共謀して500億もの大金をゲストから巻き上げることに成功。

放送市場類を見ない番組を終えた貘はさらに電波ジャックを継続し、Lファイルを利用して賭郎が用意した搦手の人員を各所に受け入れさせ、500億と合わせて屋形越えの権利に手をかける。

搦手が成立するまでの時間稼ぎとして旧電波塔である帝国タワーで賭郎勝負を始めたが、相手として現れたのは零號立会人の切間撻器を連れた謎の男・捨隈。

2人の戦いはアイデアルのカラカルとマーティンや鞍馬組も割り込み混沌とした戦いとなるが、アイデアルの工作員だった捨隈の思考をも看破した貘が勝負を制した。

他方、タワーの外では賭郎と警察が互いの代表による激しいバトルが繰り広げ、搦手の成立と笹岡副総監の死によって決着し、密葬課は解体、真鍋と三鷹の2人は賭郎に吸収されることとなる。

零號の称号を賭けた號奪戦でも死力を尽くした妃古壱が撻器から勝利を挙げ、貘が賭けに勝ったものの、その勝負の裏で貘の500億がアイデアルに横取りされてしまう。

さらに持病の記憶喪失を起こしたお屋形様がかつてお守役だった栄羽と合流すべく、賭郎の追っ手を振り切って行方をくらませた。

お屋形様の表の顔である内閣調査室の蜂名直器と面識のあった防衛省の大船額人が逃走を助け、額人が追う武器密輸事件の捜査に協力することとなった蜂名は、密輸の受渡場所であるジャルード号を特定し、額人と共に潜入。

船に拘束されていた新聞記者の横井と偶然巻き込まれた梶と共に額人がレーシィ船長と賭郎勝負「バトルシップ」を繰り広げ、レーシィのイカサマを見抜いた額人だったが、勝負はレーシィが勝利した。

敗れた額人は蜂名に救出され、梶や賭郎たちが脱出した後に蜂名の工作によって船は沈没。

その蜂名とアイデアルのボスが接触し、直接対峙することが決まる。

その前に蜂名は失った記憶を取り戻すべく、栄羽が描いた絵本を求めてとある古本屋を訪れた。

しかしその絵本を巡って貘とゲームをすることに。

過去にも同じ場所で絵本を巡った勝負を繰り広げられていた貘と蜂名。

共に行動したこともある2人の過去がいま明かされるのであった。

 

30巻のあらすじを振り返ってみましょう。以下ネタバレ注意です。

貘と社長が料亭で対峙

社長の息子から大勝ちした貘は、とある料亭でその父である社長と食事をすることに。

社長は中に入るのは護衛2人までと制限を付け、連れの男から「5億で手討ちにしないか」と切り出す。

連れの男はこの後副総監となる笹岡警視長であり、護衛には密葬課の長となる真鍋の姿もあった。

貘が申し出を断ると笹岡の指示で警察が動き出し、外で待機していた貘の配下は強制的に身柄を拘束、料亭に入った貘の護衛も真鍋が制圧する。

しかし機転を利かせたハルがいち早く料亭内に突入し、気絶した者の代わりに貘の護衛を名乗った。

ハルに見られたことで「誰にも気付かれずに制圧する」という密命を果たせなくなった真鍋はここで撤退。

作戦が失敗した社長は新たな賭けを提案するのであった。

ハマグリを使ったゲームに貘が勝利

息子の敗北と貘に奪われた会社の支配権と株を奪還するため、社長はハマグリを使った勝負を持ちかける。

ハマグリが焼き上がって開いた時に身が上についているか下についているか、上につく数を当てるという勝負。

焼きハマグリの特性を知っていた社長は貘の裏を読んで勝ちを確信するが、さらにその裏を読まれて敗北する。

貘は大株主として社長の座をボンクラ息子に譲らせ、これが貘の最初の屋形越えへの搦手となった。

そしてこの時2人が賭けた「息子が大金を賭けて負けたギャンブルの事実を賭郎に証明できなくする」という取り決めから、笹岡は後にアリバイを証明できなくする迷宮ギャンブルという仕組みを思いつくのであった。

梟との勝負に負けたハル、栄羽の死

貘がいずれ屋形越えに挑むことを悟ったハルだが、ある日貘から「はちの王子さま」の絵本を譲り受けた。

その本に書いてあった合図を頼りに、栄羽と落ち合うために六本木の蟻塚ビルへと足を運ぶハル。

しかしハルは同時に貘の名を借りてポーカーの達人でもある梟からの個人的な賭け勝負を受け、蟻塚ビルに呼び出していた。

既に捨隈に賭郎会員権を奪われていた梟とスタッドポーカーで勝負し、チップを取られたらロシアンルーレットをすることとなる。

この勝負に勝ったら切間でも蜂名でもなく、貘の仲間であるハルとして生きる決意を固めて臨むが、結果は敗北。

駆け付けて咄嗟に割り込んだ栄羽が身代わりとなったためにロシアンルーレットで命は失わなかったものの記憶を再び失い、栄羽は命を落としてしまうのだった。

記憶を失ったハルに屋形越えを挑んだ貘

その2年半後、2001年4月9日に貘は屋形越えに挑むこととなる。

そのときお屋形様となっていたのは切間創一だが、本人はかつてハルとして貘と行動を共にした頃の記憶はない。

ビルの上空を横切る飛行物が30分以内に来るか来ないかという勝負で、貘が負けることとなる。

しかし貘はこの敗北で命を取られるか取られないかのスリルを楽しんでおり、カジノで見つけたQ太郎や伽羅との縁、迷宮ギャンブルのヒントを得た笹岡など、全ては運命のように紡がれて今に至るのであった。

貘・蜂名・アイデアルのボスが直接対峙

時は今に戻り、本屋で再び対峙した貘と蜂名。

蜂名はその場でアイデアルのボスにホットラインを繋ぎ、3人でケリをつけることを提案する。

今から言う場所に1人で10分以内に来てほしいとボスに告げ、ボスもその無理難題を飲んで飛行機からのパラシュート落下で2人のもとへ降り立った。

アイデアルのボスであるビンセント・ラロが初めてその姿を見せる。

蜂名は屋形越えの権利の横取りを狙うラロに対し、ラロにも全てを賭けた勝負をするように告げる。

貘もギャンブルで白黒つけることを宣言し、蜂名はその場で「卍(ばん)を貼る」ことを決める。

卍の札を貼られた内部の空間でプレイヤー同士が限られた期間に好きに勝負を行うこととなるのが卍勝負。

貘が呼んだ弥鱈立会人がその卍勝負を取り仕切ることとなり、貘の帰りを待つ梶とマルコのもとにも弐號立会人として復活した門倉が卍が貼られることを告げるのだった。

屋形越えの挑戦権を賭けた卍勝負へ

呼ばれていった場に記憶を失っている様子のお屋形様もアイデアルのボスもいることに驚きながらも、立会人としてその場で公平なルールを考える弥鱈。

弥鱈は刻(勝負を行う期間)、者(協力者の人数)を貘とラロにそれぞれ決めさせ、地(勝負を行う場)は自分が決めることを伝えた。

この勝負の後すぐに屋形越えが行われることを確認し、貘は勝負の期間を今から12月31日までの24日間に設定、対するラロは協力者を4人までに決めた。

プレイヤーとそれぞれが選んだ協力者は賭郎が勝負の場へと導くこととなる。

貘は協力者に梶とマルコを選び3人目には蜂名、4人目には伽羅を指名する。

対するラロは2人を選び、3人目には貘も知る人物かつ蜂名にポーカー勝負で勝って記憶を失わせるきっかけとなった梟、そして滑骨を殺した伽羅をつけ狙う伝説のボディーガードであるキョンホ・ジョンリョを指名。

弥鱈は「卍勝負が終わる12月31日の時点で皇帝だった者を勝者とする」とだけ伝える。

それ以外のことは何でもありの勝負の場へ、それぞれが船で導かれていくのであった。

【30巻のまとめ】

以前蜂名が記憶を失った際には「ハル」として貘と行動を共にしたこともある蜂名。

いま再び記憶を失った蜂名は貘、そしてアイデアルのボスであるラロと直接対峙し、屋形越えの挑戦権を賭けて勝負することが決まる。

限られた空間・時間・協力者の人数のなかで好きに勝負ができる卍勝負となり、新章へと突入するのであった。

次巻へ続きます。

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