色々な孤児が集まる「孤児院」・グレイス=フィールド(GF)ハウスは、院のシスターで「ママ」と慕われるイザベラのもとで、「きょうだいたち」にも血縁関係はないが、幸せに暮らしていた。
ここでは、赤ん坊のころに預けられた子供を、特殊な勉強とテストにより育てあげ、6歳から12歳までの間に里親の元へと送り出す...と孤児たちは教えられていた。
里親が見つかり、外の世界に出ることになったというコニーが人形を置き忘れたため、主人公で身体能力に優れるエマと、知略に優れるノーマンはそれを届ける。
しかし二人は、近づくことを禁じられていた「門」でコニーが食肉として出荷される瞬間を目撃し、孤児院は実は「鬼」に捧げる食用児の養殖農園だったこと知ったエマとノーマンは、リアリストで博識なレイ、年長者のドン・ギルダを仲間に引き入れ、GFから全員で逃げ延びるための脱獄計画をスタートさせた。
なかでも6年前から農園の真実に気づいていたレイは、自らイザベラのスパイになる代わりに身の安全と仕事に対する報酬をもらう取引を持ち掛け、子供たちの動きをコントロールしながら用意周到な準備を進めていた。
そのレイの内通に気づいたノーマンは二重スパイを依頼し、監視要員として派遣されたシスター・クローネの野心も利用して計画の準備を進める。
しかしクローネはイザベラに先手を打たれ殺されてしまい、イザベラもなりふり構わず計画の阻止に動き出した。
ノーマンの「出荷」も決まり、エマとレイは必死に助けようとするが、覚悟を固めたノーマンは自分の逃げるチャンスを脱獄の為の情報収集に使い「出荷」されていった。
エマとレイは悲しみに暮れながらもドンやギルダを通じて計画の準備を進め、いよいよレイの出荷前日の夜に脱獄を決行。
レイの焼身自殺をブラフにしてイザベラの目を欺いて逃走し、脱獄に気づいたイザベラもその後を追おうとするが、幼いフィルがイザベラの助けを求めるように呼び掛けた。
エマは全員で逃げることを諦めたのか、果たして脱獄の行方は―。
5巻のあらすじを振り返ってみましょう。以下ネタバレ注意です。
脱獄に成功
フィルがイザベラのもとに残った理由、それはエマが「4歳児以下を農園に残す」という結論に至ったからだった。
見捨てたわけではなく、今は残して準備を整え、他の農園の子供たちも含めて2年以内に再度迎えに来る算段。
〈エマの決断 [約束のネバーランド 5巻](c)集英社/白井カイウ・出水ぽすか〉
そのうえで4歳児のなかで1番賢いフィルにだけ真相を打ち明け、フィルもエマ達を信じて待つ決断を下した。
何も知らず泣きわめく子供たちを見て状況を察知したイザベラは、子供たちをいったん残してエマたちを追う。
無線で本部に緊急事態を告げ警戒を強化させるが、エマ達が選んだ逃走ルートは本部から外にかかる橋ではなく、崖を渡り切るルート。
積み重ねた準備と訓練で恐怖心を克服し、見事な手際でベッドシーツを使ったロープを対岸の木に巻きつけ、ハンガーを使ったジップラインで次々と崖を渡っていく。
〈見事な手際で崖を渡る [約束のネバーランド 5巻](c)集英社/白井カイウ・出水ぽすか〉
ノーマンの計画の全容を目の当たりにしたレイも、命を投げ捨てることなく外の世界で生きるためにあがくことを決意した。
見送ったイザベラの想い
自身も農園で育ち、レスリーという名の少年に惹かれていたイザベラ。
〈幼い頃のイザベラとレスリー [約束のネバーランド 5巻](c)集英社/白井カイウ・出水ぽすか〉
後に農園の真実とレスリーの死を知った後も、レスリーが口ずさんだ歌を頼りに強く生き、自らも妊娠・出産を経て飼育監となった。
子供たちに愛情を注ぎながら、レスリーの分まで強く長く生きることを決意したイザベラだったが、自分が子供に聞かせていたレスリーの歌を幼いレイが歌ったことで自分のレイが自分の実子だったことを知る。
〈レイはイザベラの子だった [約束のネバーランド 5巻](c)集英社/白井カイウ・出水ぽすか〉
そのレイや自分の子供同然に愛情を注いだエマたちは今や崖の向こう。
脱獄を阻止できなかったイザベラは敗北を認め、逃げた子供たちの幸せを願う。
〈子供たちの幸せを願う [約束のネバーランド 5巻](c)集英社/白井カイウ・出水ぽすか〉
外の世界に出たのは全部で15人。
右も左もわからない世界で最初の朝を迎えるのだった。
〈外での最初の朝 [約束のネバーランド 5巻](c)集英社/白井カイウ・出水ぽすか〉
未知の世界での手探り
脱獄を知った本部がすぐに追手を放つ一方、エマ達は深い森に逃げ込み生き延びるための情報を探る。
目指すべきはノーマンから貰ったペンが示す「B06-32地点」。
〈ペンが目的地を示す [約束のネバーランド 5巻](c)集英社/白井カイウ・出水ぽすか〉
しかしその矢先、未知の植物に飲み込まれて全員が地下の空洞に引きずり込まれるアクシデントに襲われた。
出口を探す一行は光と匂いに誘われて中央の大木に行き着く。
しかしこれは植物の罠。
入り口は塞がれ、徐々に獲物を捕らえる根が周りから迫ってくる。
〈未知の植物の罠 [約束のネバーランド 5巻](c)集英社/白井カイウ・出水ぽすか〉
この状況に見覚えのあったエマは、ミネルヴァがモールス信号で「約束」というメッセージを残した冒険記の内容を思い出す。
その本はファンタジーを装いながら子供たちが外の世界で生きていけるようにするガイドブックだった。
〈ミネルヴァの本はガイドブックだった [約束のネバーランド 5巻](c)集英社/白井カイウ・出水ぽすか〉
木の根に触れなければ探知されないこと、そして寒さに弱いことを本から知ったエマたちは、中央の大木を登って天井に穴を開ける。
外の冷気でみるみるうちに植物は動きを止め、脱出に成功したのだった。
ミネルヴァからのメッセージ
ガイドブックの意味を知り、そしてペンは現在地を示すコンパスの役割を、そしてミネルヴァが残したもう1冊、モールス信号が無い方の本はペンが示す暗号のコードブックの役割を果たしていた。
コードブックを頼りに暗号を読み解くと、ペンに残されたメッセージが浮き上がる。
「助けがいるなら訪ねておいで、B06-32地点に私はいる ウィリアム・ミネルヴァ」
〈ミネルヴァのメッセージ [約束のネバーランド 5巻](c)集英社/白井カイウ・出水ぽすか〉
さらに次の暗号も。
その先を見ようとしたエマとレイだが、そこに何かが近づいてくる気配を察知するのだった。
鬼の追っ手が迫る
追ってきたのは野生の鬼。
〈野生の鬼と遭遇 [約束のネバーランド 5巻](c)集英社/白井カイウ・出水ぽすか〉
訓練の通りに隊列に別れて逃げる子供たち。
ドンとギルダが幼い子たちを率いて逃げ、レイとエマは地下に引きずり込む植物に鬼を誘い込む作戦を立てる。
自ら囮となって鬼を引き付けるレイ。
しかしそこに人間の言語を話す鬼の追手も到着し、野生の鬼を駆逐した。
〈知性ある鬼の追っ手 [約束のネバーランド 5巻](c)集英社/白井カイウ・出水ぽすか〉
明らかに知能も能力も数段上の追手の登場に対し必死に頭を回転させるレイ。
エマ達を無事に逃がすために行き着いた結論は、自分が全ての注意を引き付けること。
「GO 06-32 PURSUER(06-32に行け。追手だ)」という伝言を木に残し、レイは自分が特上品であることを明かしながら囮となる。
一方、追手が鳴らした笛の合図とレイが一向に追いついてこないことから、レイの身に何かあったことを悟るエマ達。
様子を見に戻ろうとするエマも、発信機を取り除いた際の耳の傷が開き、高熱で倒れてしまう。
〈エマが倒れてしまう [約束のネバーランド 5巻](c)集英社/白井カイウ・出水ぽすか〉
絶体絶命のピンチに陥る子供たち。
そしてその前に謎の少女が現れ進むべき道を示すのだった。
〈謎の少女が現れる [約束のネバーランド 5巻](c)集英社/白井カイウ・出水ぽすか〉
【5巻のまとめ】
エマは幼いフィルにだけ真相を打ち明け、4歳以下の子供たちは2年以内に迎えに行くまで農園に残す決断を下していた。
子供たちは塀を登って崖を渡り、イザベラに捕まる前に農園の外の世界へと脱出を果たした。
イザベラは敗北を認め、自分の実子であるレイや愛情を注いだエマたちの幸せを願って見送る。
見知らぬ世界での道標となったのは、ミネルヴァが残したペンと本。
ペンが現在地を、本がガイドブックの役割を果たすことに気づき、ミネルヴァの待つ「B06-32」地点を目指す。
しかし知性を持つ鬼の追っ手が現れ、レイは囮に。
またエマも脱獄の際に負った傷口が開き、高熱で倒れてしまう。
絶体絶命のピンチのなか、子供たちの前に謎の少女が現れ進むべき道を示すのだった。
次巻へ続きます。
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