全巻まとめ

聴覚障害の少女といじめっ子の少年を中心に孤独や絶望、純愛や友情を描き反響を呼んだ作品『聲の形』全7巻【ネタバレ注意】

高校生の少年・石田将也は、自分が過去に犯してしまった罪から、一人の少女の行方をずっと捜し続けていた。

そして将也は、とある手話サークルの会場にて、捜し続けていた聴覚障害者の少女・西宮硝子と再会を果たすことになるが、彼女は驚きのあまり逃げ出してしまう。

二人の出会いは小学校の頃にまで戻ることになるー。

硝子と将也の2人の触れ合いを中心に展開し、人間の持つ孤独や絶望、純愛や友情などが描かれるストーリーに引き込まれる作品。

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登場人物紹介

<主人公たち>

石田 将也(いしだ しょうや)
小学生時代の将也は幼稚で粗暴なガキ大将タイプでコミュニケーションが下手な少年。耳の聞こえない硝子に、好奇心からいじめを行ってしまう。元々退屈を極度に嫌い、それに対抗するかのように河川に飛び込んだり自分より体格の大きな者に喧嘩を売ったりするなど度胸試しを好む悪癖があった。硝子へのいじめもその延長線上に過ぎなかったのだが、それがあまりに度を過ぎたものになって学級裁判にかけられ、クラスから断罪される。

西宮 硝子(にしみや しょうこ)
本作のもう一人の主人公。先天性聴覚障害を持つ少女。補聴器をつけても会話はほとんど聞き取れないほど障害の程度は重く、発話も不完全で他者には内容が聞き取りづらい。聴覚障害が発覚したのは3歳のとき、父親は硝子の障害を知ると責任を母親になすりつけ離婚した。

植野 直花(うえの なおか)
小学校時代の将也のクラスメイトで、黒髪ロングの少女。小学校時代、明るくさばさばした姉御肌の性格もあって、転校してきた硝子の世話役をなりゆき的に任される。しかし、その負担の大きさの割に担任教師からの理解や支援もなく、次第に不満を募らせるようになる(このとき、その不満の火に油を注ぐような言動をとった佐原に対していじめを行い、佐原を不登校に追い込んだ)。

佐原 みよこ(さはら みよこ)
そばかすが特徴。硝子の世話役を任された植野の負担を軽減するため、手話を学ぼうと硝子や喜多をフォローする。しかし、そのことで逆にクラスメイトから「点数稼ぎ」と罵られるようになり、卒業式の日まで不登校だった。そのため、硝子が将也にいじめられていたことや将也がクラスメイトにいじめられていたことも知らない。

川井 みき(かわい みき)
小・中・高と学級長を務めており、眼鏡をかけている女生徒。真面目な優等生だが周囲に八方美人的な態度を取り、自分が追い詰められると相手を悪者扱いする利己的・保身主義的なところがある(将也曰く「自分がかわいいだけ」)。クラスメイトの硝子には直接的ないじめこそ行っていなかったが、陰では植野と一緒に散々悪口を言っていたという。

島田 一旗(しまだ かずき)
将也を中心としたいじめに加担した男子生徒。当初は将也と仲が良く、共に硝子をいじめていた。しかし将也の幼稚さやいじめをすることには思うところがあったことが後に示唆されており、いじめ発覚後は将也を裏切る形でいじめの対象とする。育ちが良く、家の束縛が厳しいらしく、将也の自由奔放さが彼にとって癒しになっていた。将也のいじめに対しては一応ではあるが諌めていたこともあり、状況を冷静に判断出来るだけのずる賢さを持っている。中学でも小学校時代の将也のことを吹聴して孤立させた結果、将也にトラウマを刻み付け、将也にとって会いたくない人物の一人になる。

広瀬 啓祐(ひろせ けいすけ)
将也を中心としたいじめに加担した男子生徒。肥満体型が特徴。島田同様に将也と仲が良く、硝子いじめにも加担していたが、島田につき従う形で将也を裏切っていじめるようになる。中学でも島田と共に小学校時代の将也のことを吹聴して孤立させ、将也にとって会いたくない人物の一人になる。高校編では一切いじめに干渉しなくなり会うこともなくなった。

竹内(たけうち)
将也たちの担任を務める男性教師。眼鏡をかけている。抑揚に乏しく冷淡な態度が目立つ。障害を持つ硝子についても積極的に受け入れたわけではないようであった。硝子への支援をクラスに丸投げし、障害をからかう将也の冗談を咎めようとせず、一緒に笑ったこともある。喜多の指導に水を差して制したり、学級内のいじめを「自己責任」と黙認したりするなど放任、責任回避傾向がある。

永束 友宏(ながつか ともひろ)
高校編から登場。将也のクラスメイト。モコモコ頭と小柄で小太りが特徴の少年。登場人物では数少ない良識的な性格でノリが良いほか、家庭的な面がある。また、情に厚く結絃が将也を追い返した際に結絃の胸倉をつかみ一喝したり、結絃が犯した事件のことで一緒に謝ったりするなど、芯が強く思いやりがある。将也が高校に入ってから初めてできた友達で、彼から「永束君」と君付けで呼ばれている。永束から将也への呼称は「石田君」「将也」「やーしょー」などと変則的に変わる。殺伐とした雰囲気になりがちな本作のコメディリリーフ的な役割を持つ。

真柴 智(ましば さとし)
高校編から登場。将也のクラスメイト。面白い人物として将也に目を付けていたらしく、あるきっかけにより将也の交友関係の輪に入って来ることになる。性格は基本的に穏やかで、いつもニコニコしているが、どこか歪んだ部分を持つ。

西宮 結絃(にしみや ゆづる)
硝子の妹(年齢は硝子の約3歳下)で中学生であるが、不登校で学校には通っていない。少年のような外見で自分のことを「オレ」と呼ぶ。そのため、将也・永束・植野はいずれも初めて会ったときには結絃のことを男性だと思い込み、硝子の妹だとは気付かなかった。幼い頃から姉のことを慕うがゆえに、その姉に偏見をぶつけたりいじめたりする周りの人間を憎んでいた。髪を短く切って男性のように振る舞うようになったのも、姉を守るための「強さ」を子どもなりに表現したものでもあった。

石田 美也子(いしだ みやこ)
将也の母親。床屋を営んでおり、番外編では硝子の散髪を行う。将也に対して、硝子いじめの件を嘆きながらもきちんと叱る描写はなかった。また、将也の姉が彼氏を取っ替え引っ替えで家に連れ込むことに対して注意も見られず、教育面でかなり放任主義的なところも見られる。

西宮 八重子(にしみや やえこ)
硝子と結絃の母親。高校編の回想によれば、医療関係の仕事をしている。硝子を「クソガキ(硝子のクラスメイトなど)に舐められないように」と無理矢理ベリーショートの髪型に変えようとする、母親でありながら手話を覚えようとせず、家庭内でも食事中の手話を禁じ、将也当人の前で「下品な顔…親子そっくりね」と母子共に罵るなど、強引で冷淡な面が目立つ。

西宮 いと(にしみや いと)
硝子と結絃の祖母。孫姉妹の自己を尊重する最大の理解者であり、特に結絃からはとても慕われている。結絃が所持しているカメラも彼女が買い与えたものである。老人会を休んでまで手話教室に通いつめて手話を覚えており、硝子とも会話ができる。娘(硝子と結絃の母)からは孫を甘やかすなとつらく当たられているが、娘の真意を理解しており、実際は心の拠り所となっていた。

各巻のあらすじ

聴覚障害の転入生へのいじめから全てが壊れてしまった…孤立した元いじめっ子が6年越しの贖罪へ
友達になりたい、しかし友達とは何だ?自分にそんな資格があるのか
小学校時代のクラスメイトたちとの再会、友達ごっこと本当の友達の違いとは
仲良し?8人で遊園地へ、一方硝子の祖母が亡くなり厳しかった母にも変化が訪れる
夏休みに映画制作へ!しかし喧嘩別れしてしまい花火大会で悲劇が…?
将也が意識不明で入院、責任を感じた硝子が壊れたみんなとの関係修復に向け動き出す
過去は消せなくても未来は変えられる、それぞれの道へ歩み出す

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