働きもせずにしょぼい博打に明け暮れ、負けを重ねるドン底の生活を送っていたカイジは、バイトの元同僚である古畑の借金の連帯保証人として借金地獄に巻き込まれた。
闇金回収の遠藤という男の勧めで借金をチャラにするどころか一攫千金のチャンスがある希望の船「エスポワール」に乗ることとなり、集められた債務者たちとのゲームが始まる。
ゲームの内容は手持ちのカードでじゃんけんをしながら勝敗に応じて星を奪い合い、負ければ悲惨な末路が待つ「限定ジャンケン」。
騙し騙され、また自分の利益の為に平気で仲間を裏切る戦いに嫌気が差したカイジは、得た金で別室で出会った何の資産もない石田という男を救済して船から生還を果たし、運営に一矢報いる。
しかし借金を完済することはできず、再び借金漬けの生活から抜け出すために新たなギャンブルに挑むこととなる。
バイト先の佐原や再会を果たした石田らと共に鉄骨の上で行われる人間競馬「Brave men road」と電流鉄骨渡りに命懸けで挑戦するカイジたち。
死の恐怖に抗えなかった石田がカイジに1000万円相当のチケットを託して命を落とし、佐原もまた最後に仕掛けられた罠にかかって死んでいった。
仲間たちの想いを背負って真のゴールにたどり着いたのはカイジただ1人だが、利根川も難癖をつけ賞金を渡そうとしない。
そこに黒幕と思わしき老人が現れ、激昂するカイジに再度チャンスを与えることを提案する。
勝負は影の権力者さながらの老人が考案した「Eカード」なるゲーム。
果たしてその内容は―。
9巻のあらすじを振り返ってみましょう。以下ネタバレ注意です。
Eカードのルール
Eカードは2人対戦用カードゲーム。
「皇帝」(1枚)「市民」(4枚)の手札と、「奴隷」(1枚)「市民」(4枚)の手札を持ちあい、じゃんけんのようにカードを出し合うもので、皇帝側と奴隷側は3回ずつ互いに持ちあい、勝負を重ねていく。
〈皇帝側か奴隷側かで戦う [賭博黙示録カイジ 9巻](c)フクモトプロ/福本伸行〉
皇帝は市民に勝ち、市民は奴隷に勝ち、奴隷は皇帝に勝つ3すくみのルールだが、勝負のポイントは「いかに市民に紛れて皇帝を出すか」「皇帝を出してくるかタイミングをいかに読んで奴隷を出すか」というゲームである。
ただし運否天賦の勝負ではなく、プレーヤーは必ずカードを見て確認したうえで出し、さらに同時ではなく交互にカードを出すルール。
〈目か耳を賭けろ [賭博黙示録カイジ 9巻](c)フクモトプロ/福本伸行〉
利根川はリスクを負えば1億円も夢ではないと告げ、その代わりに目か耳を賭けることを勧める。
リモコン操作で針が伸び、3cmに達したら眼球または鼓膜が破られる装置。
カイジは1ミリ単位で賭けることができ、12回のゲームで全て最小単位で賭ければ全敗しても目や耳は無事という仕組みである。
〈カイジが賭けるのは針の進み具合 [賭博黙示録カイジ 9巻](c)フクモトプロ/福本伸行〉
賭け金はカイジが皇帝側のときに勝てば1ミリ=10万円、そして奴隷側で勝てば1ミリ=50万円という破格の条件。
対してカイジは利根川に「自分が勝ったら土下座して詫びろ」と要求。
〈勝ったら土下座しろ [賭博黙示録カイジ 9巻](c)フクモトプロ/福本伸行〉
利根川もこの条件をのみ、大きく張って勝てば大金、負ければ目か耳を失う戦いが始まるのだった。
幸先のいいスタート
葛藤の末、耳を賭けることを選んだカイジ。
手札を出す制限時間は5分以内というルールが設けられ、腕時計を渡される。
そして第1戦が始まる。
〈最初から大きく張るカイジ [賭博黙示録カイジ 9巻](c)フクモトプロ/福本伸行〉
大きく勝つために最初から10ミリを賭け、皇帝側のカイジが先にカードを出す。
1枚目から皇帝を出し、勝利を拾ったカイジ。
10ミリ賭けた対価として100万円を一瞬で手に入れ、2戦目も10ミリ賭け。
ここでも1枚目で皇帝を出し2連勝。
〈始めは2連勝 [賭博黙示録カイジ 9巻](c)フクモトプロ/福本伸行〉
幸先のいいスタートを切り喜ぶカイジだが、利根川はカイジの思考を読み取っていくのだった。
利根川に見事に読まれる
続く3戦目、皇帝側の手番では確実に勝ちたいカイジは少し考え、1枚目は市民を提出。
〈利根川の自爆を期待するが… [賭博黙示録カイジ 9巻](c)フクモトプロ/福本伸行〉
利根川が奴隷を出すことで自爆を期待する作戦だが、ずるずると引き分けに持ち込まれ3枚目のカード提出へ。
ここを逃せば4枚目か5枚目かの2択となり、勝敗の確率は50%に追い込まれる状況。
やむなく3枚目で皇帝を出し、「市民来いっ!」と心の中で強く念じるカイジ。
〈利根川に読まれた [賭博黙示録カイジ 9巻](c)フクモトプロ/福本伸行〉
そんなカイジの心の声を読み取ったかのように、利根川が出したのは奴隷。
カイジは初めての負けを喫し、耳の中で針が10ミリ進む。
その不快な音に、ゲームで負ければ聴力を失うという恐怖がこみ上げてくるのだった。
〈耳の中で不快な音が響く [賭博黙示録カイジ 9巻](c)フクモトプロ/福本伸行〉
利根川との読み合いに為すすべなく連敗
利根川は本当に心が読めるのか―。
そんなはずはないと思いながらも、必死にその仕掛けを探ろうとするカイジ。
〈本当に心が読めるのか…? [賭博黙示録カイジ 9巻](c)フクモトプロ/福本伸行〉
しかしカードには何の変哲もなく、正体がつかめない。
今度はカイジに奴隷の手番が回り、様子を見るために2ミリにまで賭けを落とす。
最小限の1ミリにまで落とさなかった見栄を看破され、心理的にも劣勢に立たされる。
勝って流れを変えたいカイジは、「上司が見ている手前、利根川は是が非でも勝ちたいはず」という推理を立て、カードを選んでいく。
〈利根川だって勝ちたいはず [賭博黙示録カイジ 9巻](c)フクモトプロ/福本伸行〉
自分が先に出す手番で皇帝や奴隷は出しづらいのではないかという仮説で、カイジは自分が先だしとなる2枚目にあえて奴隷を出す。
しかし利根川が出したのは市民のカード。
カイジは連敗となり、その後も為すすべなく利根川との読み合いに負けが続く。
〈負けが続く [賭博黙示録カイジ 9巻](c)フクモトプロ/福本伸行〉
5戦を終え、カイジの針は14ミリにまで進んだ。
勝利への糸口が見えず、残りすべて最低の1ミリ賭けならまだ無事で済む状況。
しかしここでカイジは再び10ミリを賭け、勝負に出ることを宣言するのだった。
〈ここで再び勝負に出る [賭博黙示録カイジ 9巻](c)フクモトプロ/福本伸行〉
【9巻のまとめ】
Eカードは互いにどのターンで勝負に出るかの読み合いが肝心となる2人用のゲーム。
カイジにとっては耳を賭けるリスクがあるが、大金を得る可能性もある大勝負となる。
12回のうち勝負初めの2回は幸先のいいスタートをきったカイジだが、その後はまるで利根川に心を読まれているかのように負けが続いていく。
5戦を終えても勝利への糸口が掴めないカイジ。
しかしここでカイジは再び大きな賭けに出て勝負することを宣言するのだった。
次巻へ続きます。
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