ボードレールを愛する、文学少年・春日高男(かすが・たかお)。ある日、彼は、放課後の教室に落ちていた大好きな佐伯奈々子(さえき・ななこ)の体操着を、思わず盗ってしまう。それを、嫌われ者の少女・仲村佐和(なかむら・さわ)に見られていたことが発覚!! バラされたくない春日に、彼女が求めた“契約”とは……!? 話題沸騰!! 奇才・押見修造が描く背徳的純愛ストーリー!
(U-NEXT作品紹介より引用)
ボードレールの詩集『惡の華』を愛読する文学少年・春日高男を主人公に、歪んだ青春と秘密の契約が描かれる問題作。
押見修造による本作は、思春期の罪悪感・羞恥心・欲望を容赦なくえぐり出す、唯一無二の青春漫画です。
今回は第1巻の内容と見どころをネタバレありで紹介します。
春日の「過ち」から始まる物語
主人公・春日高男は、クラスの美少女・佐伯奈々子に密かに想いを寄せる、どこにでもいる中学2年生。
ある放課後、忘れ物を取りに戻った春日は、教室で偶然にも佐伯の体操着袋を発見してしまいます。
「ダメだ」と分かりながらも衝動に負け、体操着を持ち帰ってしまう春日。
この一瞬の過ちが、物語全体を動かす決定的な引き金となります。
読者は春日の葛藤とみっともなさに、どこか共感してしまうかもしれません。
謎めいた少女・仲村の登場
翌日、担任から佐伯の体操着紛失が告げられ、春日は罪悪感に苛まれます。
そんな春日の前に現れるのが、クラスの異端児・仲村という少女。
彼女はなんと、春日が体操着を持ち出す場面を目撃していたのです。
仲村というキャラクターは、本作最大の魅力と言っても過言ではありません。
掴みどころがなく、不気味で、しかしどこか純粋。
その独特の存在感が、物語に強烈な緊張感をもたらしています。
衝撃の「契約」と歪んだ関係の始まり
図書室に呼び出された春日は、仲村から取引を持ちかけられます。
「秘密をバラさない代わりに、大事なものを奪う」という、不穏な契約です。
さらに仲村は、春日に対して佐伯とのデートを仲介するなど、奇妙な形で二人の関係に介入していきます。
この「契約」という構図が、本作の核心です。
春日は仲村に逆らえず、しかし仲村の言動には単純な悪意とは異なる何かが滲んでいます。
支配と依存、羞恥と解放が入り混じった関係性は、読む者を不安定な気持ちにさせます。
仲村が明かす「本音」の衝撃
春日が作文の代わりに『惡の華』を差し出す場面は、第1巻の白眉と言えるシーンです。
それに怒った仲村は、春日に佐伯の体操着を着せ、「どんな気持ちか」と問い詰めます。
そして興奮した様子で、「私も変態なの」と告白し、毎日放課後を一緒に過ごすよう春日に命じるのです。
仲村のこのセリフは、彼女が単なる「意地悪な女子」ではないことを示しています。
彼女自身も社会や日常に馴染めない孤独を抱えており、春日の「過ち」の中に同じ匂いを嗅ぎ取ったのかもしれません。
佐伯との距離が縮まる一方で…
クラスで給食費の盗難事件が起きた際、仲村に疑いの目が向けられます。
そのとき春日だけが仲村をかばったことで、佐伯は春日に好意を寄せるようになります。
二人は次の日曜日にデートの約束をします。
しかし仲村はそれを利用し、デート当日に春日を女子トイレへ連れ込み、服の下に佐伯の体操着を着るよう命令するのです。
甘い恋愛の予感と、背徳的な強制が同時進行するこの構造が、本作の読者を翻弄する最大のポイントです。
【1巻のまとめ】
第1巻は、春日・仲村・佐伯という三角関係の原型が丁寧に描かれた巻です。
「普通の恋愛漫画」を期待すると、その歪さに驚かされるかもしれません。
しかしその歪さこそが、本作の圧倒的なリアリティの源泉です。

続巻では、三者の関係がどのように変化していくのかが気になります。
未読の方はぜひ手に取ってみてください。
次巻へ続きます。
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