今から1年前、突如として神々が各地の「妖(あやかし)」を率いて人間の国を侵攻し、その超大な力の前に成すすべなく多くの国が滅ぼされていった。
聖国(ひじりのくに)も例外ではなく、第一王女にして剣の腕前が立つ燕姫は側近の義武と共に神による襲撃から逃れ、反撃と再興を模索していたところで神を殺す力を持つ男・神殺と出会う。
神殺は魂を引き裂かれて心を殺された妹・ヒルコの敵討ちのために神々を皆殺しにするのが目的である。
神殺たちは霊峰の頂上で日蝕の時を迎え、元凶である最高神・アマテラスが地上に顕現。
運命の決戦が始まるが、アマテラスに敗北した神殺。
だが、助けに入ったタケスサノオノカミの力によって神々の侵攻で国が亡ぶ前にタイムスリップする。
完全な力を覚醒させるため、バラバラに引き裂かれたヒルコの魂の欠片を集めに隣国の儡渦国を目指す神殺たち。
しかし相手は神にも人間にも味方しない妖たちの組織「咎組」と接敵し、燕姫が拉致されてしまった。
救出を急ぐ神殺たちは咎組のアジトへ攻め入ると、咎組の組長の正体は咎組にとっても敵である神・アメノホヒだったことが判明。
咎組の幹部で神を憎む幻術使いの妖狐・ダフネ、龍人のギンと共闘し、アメノホヒとの戦いが激化するのであった。
最終巻のあらすじを振り返ってみましょう。
ギンとダフネの決意
アメノホヒを倒した神殺は、ギンたちに1年後に起こる神々の本格的な侵攻を告げ、神との戦いに備えるように示唆する。
ギンは神々に一族を滅ぼされたところを咎組の組頭に拾われて育ち、それ以来組頭の息子として神を殺すことを目標にしてきた。
組頭の死、そしてアメノホヒにすら敵わなかった自分の無力さを痛感したギンは、来る1年後の決戦に向け、組頭の遺志を継いで強くなる決意を固める。
一方、ダフネは咎組とは行動を別にし、神殺と燕姫の後についていくことを申し出るのであった。
「神殺-かみそぎ-」3巻©講談社/爾弥餡丸
イシコリトベの問い
儡渦国では、殺された人々は肉体が生殺しのまま、魂は成仏することを許されず徐々に吸い取られる無限の苦しみを味わわされていた。
国を滅ぼしたイシコリトベという神はこれまでとは異なる強さを持つ傑神「五伴緒」の一柱。
まともに戦えば無傷で済むとは考えにくく、神殺は燕姫と義武に「万が一足手まといになるような事があれば迷わず殺す」と告げる。
後方にはつかず離れずの距離でダフネが付いてくるなか、一行は霊峰の修験道へ。
と、不思議な鳥居をくぐった義武が幻術にハマり、首だけのイシコリトベが姿を現した。
「神殺-かみそぎ-」3巻©講談社/爾弥餡丸
イシコリトベは「我が問は汝の心を映す鏡なり。先へ進みたければ真の理を答えて見せよ」と言い、二択の質問を投げかけてくる。
心の読めるイシコリトベを何の考えも無く答えた義武は魂を吸い取られて気絶。
神殺たちは難敵に行く手を阻まれてしまうのだった。
神殺の真の仇敵
続いて燕姫が問いかけに応じ、自分の本心を回答するが、これも不正解として魂を吸い取られてしまった。
自分の本心とは逆の回答をすることが正解と読んだダフネは正答を言い当て、最後は神殺の番。
神殺への質問は「本当に殺したい神の名はアマテラスかヒルコか」というものだった。
「神殺-かみそぎ-」3巻©講談社/爾弥餡丸
これまでの情報からすれば神殺の復讐の相手はアマテラスであるため、逆の「ヒルコ」を回答すればよいはず。
しかし神殺は少し間を置いて「アマテラス」と回答し、結果は正答。
隠れていた敵の術者を殺したことでイシコリトベの幻影は消え、燕姫と義武も無事に目を覚ます。
神殺は真実を語らないままダフネに対して「今のことは忘れろ」と口止めし、先へと進むのであった。
六道仙将との戦い
いよいよ神のいる最深部が近づく。
と、そこで六道仙将にして王狒々最強の戦士「雲壌背負い」とダフネにとっての仇敵であるギョコの待ち伏せを食らうことに。
神殺は雲壌背負いに圧され、燕姫はギョコの催眠にかかってヒルコと共に敵の手に落ちてしまう。
「神殺-かみそぎ-」3巻©講談社/爾弥餡丸
神殺、ダフネ、義武は深い穴にあった神軍の本拠地へと落ちてしまう。
だが悪いことに神殺はヒルコが近くにいなければ刀も変身もできず、戦力は半減状態であることを明かすのであった。
神殺とヒルコを縛る宿命
ヒルコの正体は神だと明かす神殺。
かつて大いなる二柱によって最初に産み落とされた神は、万物の死を司る「禍津蛭水神(ひるこ)」であり、想定を超えた驚異と見做された「ひるこ」は深海の奥へと捨てられ、封印された。
「神殺-かみそぎ-」3巻©講談社/爾弥餡丸
「ひるこ」は自分を捨てた神々への復讐から「神を殺す力」を宿し、ヒルコがその依り代となったのである。
神殺が自分の魂も預けることで「ひるこ」の力を借り、神々を全部殺すことが出来たら、「ヒルコ」を依代の運命から解放されるという取決め。
そして神殺自身も魂を蝕まれていくため、役目を果たし終えたときは死ではなく存在ごと無に帰ることになるのだという。
全ては「ひるこ」が決定権を握られており、その意味で神殺は「アマテラス」の先に自分たちの運命を縛った「ひるこ」を殺したい相手として見据えているのであった。
ギョコを撃破
囚われた燕姫は神の力によって強力な妖に変身させられ、自分の意思とは裏腹に神殺たちと戦うこととなる。
神軍の本拠地で燕姫だったものと闘うこととなった神殺は、燕姫に呼びかけて本心を呼び覚まし、ひるこの力を借りずとも背中の弱点を突いて変身を解除。
無事に燕姫を救出したものの、神殺の右腕には深いダメージを負ってしまった。
他方、拠点の最深部ではギョコが鏡の神器を使ってヒルコを別の国へ連れて行こうとしており、ダフネを含めた全員で勝負を挑む。
幻術のレベルもダフネよりギョコの方が遥かに格上だったが、ダフネは自らの生命線でもある尾をちぎってまで囮にし、隙をついてギョコに深い一撃を与えることに成功。
ダフネは逃走するギョコから何とかヒルコを取り戻すのだった。
雲壌背負いを撃破
ここまでずっと様子をうかがっていたイシコリトベが現れ、山を崩して神殺たちを生き埋めにしようとする。
崩落が始まるなか、戦えない義武とダフネは先に脱出を急ぎ、神殺・ヒルコ・燕姫でヒルコの魂の欠片の在り処を目指す。
だがそこで再び雲壌背負いが立ちはだかり、神殺はヒルコを燕姫に託して先を急がせることに。
雲壌背負いはかつて王狒々の一族の長だったが、神殺に負けたことで没落し、イシコリトベに救われる形で再びここまで成りあがった過去がある。
復讐を果たすべく攻める雲壌背負いに対し、神殺はあえて使い物にならない右腕を喰わせた。
そして「ひるこ」の力を宿した右腕が雲壌背負いを内側から破壊し、撃破に成功したのだった。
継承された神殺の力
残るは本命のイシコリトベのみ。
燕姫はまたしてもイシコリトベに捕まってしまい、ヒルコと合流した神殺が変身して挑むこととなる。
しかし神殺は自分の命は本来、アマテラスに負けたタイムスリップ前で本当は終わっており、「ひるこ」との取決めどおり自分は程なくして無に帰る予定であることを悟っていた。
今生きているのは、「ひるこ」の力を次の者に継承するため。
イシコリトベの一撃を食らった神殺は、ヒルコとの約束に思いを馳せながら倒れてしまう。
「神殺-かみそぎ-」3巻©講談社/爾弥餡丸
それはかつてアマテラスとツクヨミの弟にして生命の源である大海の守護を任されたスサノオが、神の国から追放されてでも深海に捨てられた「ひるこ」の傍を離れず添い遂げたように、「世界中が敵に回ってもずっとヒルコの傍にいる」という約束。
役目を果たし終えた神殺は、死んで無に帰る間際に最後の力を振り絞り、「ひるこ」の力の宿った刀の切っ先を囚われている燕姫に投げつける。
そのまま崩れていく神殺の身体、だが「神を殺す力」は無事に燕姫へと継承された。
「神殺-かみそぎ-」3巻©講談社/爾弥餡丸
その後次の「神殺」となった燕姫はイシコリトベを含む五伴緒を殺し、ヒルコの魂の欠片も集めてヒルコを蘇らせた。
「神殺」として完全な力を手に入れ、再び日蝕の時が近づく。
絶大な力を持つアマテラスたちとの決戦が、また始まろうとしているのであった。
【3巻(完)のまとめ】
アメノホヒを倒してダフネを味方に加え、霊峰の最深部へと到達した神殺たち。
そこで六道仙将である八つ尾の妖狐・ギョコ、そして王狒々最強の戦士・雲壌背負いを辛くも倒すが、続く傑神・イシコリトベとの戦いで神殺は力尽きてしまう。
だがヒルコに宿った神殺しの力は燕姫へと継承され、次の「神殺」となった燕姫がその復讐を受け継いだ。
そして1年後、ヒルコの魂の欠片を集め終えた燕姫は、万全の状態で日蝕の時を迎える。
いま再び、絶大な力を持つアマテラスたちとの決戦が始まるのだった。
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