死刑が廃止され、代わりに極悪犯罪者たちが集められた無法地帯「天獄島」。
大学教授である父を何者かに殺された御子柴は、その容疑者であり父の共同研究者・友人である榊を追って天獄島へ行きつく。
しかし島の中に残る街で課題を出され、合格していい生活をするか不合格で無残な奴隷の姿になるかの選択を迫られる。
出された課題は「神」と崇められる少女の前での殺し合いに勝つこと。
榊に近づくために課題を受けた御子柴だが、闘技場ではひときわ異様なオーラを放つ僧侶が立ちはだかるのだった。
2巻のあらすじを振り返ってみましょう。以下ネタバレ注意です。
目次
常人ではない力
怪僧は4区の代表者。
赤目が特徴で、何かからくりがあるのか、常人ではない身体能力を持っているようだ。
〈強すぎる怪僧 [天獄の島 2巻](c)日本文芸社/ 落合裕介〉
それでも御子柴は矛を武器に怪僧の左腕を斬り落とす。
しかし怪僧は右腕だけで御子柴の首を絞めた。
絶体絶命の御子柴。
怪僧がさらに力を込めると、みるみるうちに赤目が膨れ上がっていき、最後には破裂して死んだ。
〈膨れ上がる赤目 [天獄の島 2巻](c)日本文芸社/ 落合裕介〉
神の少女イチと「神の祝福」
優勝し祝福を受ける御子柴はさらなる情報を有馬から得ようとする。
神と呼ばれる少女の名は「一(イチ)」。その隣には榊の姿も確かにあった。
優勝した区に褒賞が送られ、区長の壬影もイチに接見が許される。
〈神の祝福 [天獄の島 2巻](c)日本文芸社/ 落合裕介〉
そこで「神の祝福」と称された薬品が壬影に与えられるのだった。
イチは大事な研究対象のような扱いを受けており、榊がその世話役のようである。
〈神の世話役 [天獄の島 2巻](c)日本文芸社/ 落合裕介〉
御子柴の逃走
榊の影を追う御子柴は島の真実を知るべく、壬影のもとを訪れる。
「神の祝福」を摂取しイチのようになりたいと願う壬影は苦痛に悶絶していた。
〈苦悶する壬影 [天獄の島 2巻](c)日本文芸社/ 落合裕介〉
御子柴は自分と榊の過去を話し、壬影から榊の居場所を突き止めようとする。
しかし壬影は次第に苦痛が引いていき、イチのような存在になることができたと喜びながら安らかに死んでいった。
ちょうどその現場を目撃していた有馬は御子柴を壬影殺しの犯人と吹聴し、自らが区長の座を狙う。
〈現場に居合わせた有馬 [天獄の島 2巻](c)日本文芸社/ 落合裕介〉
御子柴は毒のついた槍をかすめながら何とか逃亡した。
一方、檻に監禁されていた上妻にも課題が与えられる。
上妻に課されたのは、別の区長である邑崎に性的な奉仕をすること。
〈上妻への課題 [天獄の島 2巻](c)日本文芸社/ 落合裕介〉
別の奉仕担当と温泉で手ほどきを受けることとなり戸惑う上妻。
しかし御子柴逃走の一報が入ったことで邑崎も対応に追われることとなり、上妻の処遇は保留となった。
捕らえられた御子柴を巡る取引
毒により動きが鈍る御子柴はしばらく身を隠している。
壬影の死と御子柴の逃亡は各区長や榊の耳に入り、様々な憶測が飛び交う。
「神の祝福」と呼ばれる薬は区長レベルにしか存在と効果が明かされていない極秘扱い。
〈推測する区長たち [天獄の島 2巻](c)日本文芸社/ 落合裕介〉
区長たちは、イチひとりにしか効果がないと知りながら壬影が投薬を強行した発作で死んだと推測を立てた。
余計な混乱を避けるため、区長たちは御子柴に罪を着せて薬の存在を隠すことを決めるのだった。
区長の座を射止めるため独自に動く有馬は、区長たちの目論見を榊に報告し、御子柴の危機を利用して興味をひく。
時を同じくして、弱った御子柴が発見され身柄を確保された。
〈捕まる御子柴 [天獄の島 2巻](c)日本文芸社/ 落合裕介〉
「御子柴を差し出す代わりに区長への推薦を」という取引を持ち掛けたのである。
榊はその取引を逆に利用して有馬を脅し、「奴隷になりたくなければ御子柴を自分の前に差し出せ」と迫るのだった。
天獄島と「神の祝福」の秘密
捕らえられ、磔にされてさらし者になる御子柴。
その前に姿を現した榊は、怒る御子柴に鎮静剤を与えて落ち着かせ、御子柴を奴隷にすることを宣言する。
〈御子柴に鎮静剤を打つ榊 [天獄の島 2巻](c)日本文芸社/ 落合裕介〉
身動きが取れない御子柴に対してわざわざ鎮静剤を打って口を封じたのには、理由があった。
教授である御子柴の父は開発した新薬は、ガン細胞の進行を完全に止める奇跡の薬だった。
しかし同時に健康な細胞の成長も止める副作用があり、被験者であるイチはずっと少女の姿のままである。
〈成長の止まったイチ [天獄の島 2巻](c)日本文芸社/ 落合裕介〉
倫理的観点から、直前になって発表を取りやめようとする御子柴教授。
それに対し、助手を務めていた榊は研究の正しさを信じ、一人でも続ける覚悟を固めていた。
御子柴も父の研究に関わっており、イチや薬に関する秘密を知っている可能性があったため、余計なことを口走らないように榊は鎮静剤を打ったのである。
榊の人体実験の末、ようやく「神の祝福」に適応する奴隷が現れた。
〈完成した奴隷 [天獄の島 2巻](c)日本文芸社/ 落合裕介〉
研究の最終目標は完全体の奴隷を大量生産すること。
天獄島はこの研究のために作られた島であり、この報せは東京にいる黒幕、獅賀(しが)厚生労働大臣にも届くのだった。
完成した奴隷の完全体
御子柴教授が生きていた頃から研究に関与していた獅賀は、教授の死後指揮をとる形で天獄島へイチを移送させた。
教授たちの殺害の犯人とされた榊がその研究を引き継いだが、実はこの榊にも裏があった。
榊は秘密裏にデータを改竄して研究を妨害しており、データが何者かに改竄されていることに同じ研究チームの水沢が気づいてしまう。
〈改竄に気づく水沢 [天獄の島 2巻](c)日本文芸社/ 落合裕介〉
完成した奴隷は、水沢が独自に作った薬を用いており、榊には止められなかったのである。
主人の命令だけを忠実に守る、不死身の奴隷。
その研究で人類の歴史に名を刻む野心をもつ水沢が暴走しようとしていた。
御子柴教授殺しの犯人は榊ではなかった
他方、囚われた御子柴と面会する榊。
驚くべきことに、御子柴は榊が父殺しの真犯人ではないことを知っていた。
〈真犯人に迫る [天獄の島 2巻](c)日本文芸社/ 落合裕介〉
御子柴の言葉に表情が変わる榊。
事件の真相は―。
【2巻のまとめ】
殺し合いに勝利した御子柴だったが、区長が「神の祝福」と呼ばれる薬を摂取して死んでしまうとその罪を着せられてしまう。
「神の祝福」はガン細胞の信仰を完全に止める副作用で健康な細胞の成長も止めてしまう禁断の薬で、御子柴教授と榊が開発したもの。
神と崇められる少女イチは御子柴教授の被験者で、奇跡的にその薬に適応した結果、少女の姿のまま成長が止まってしまっている。
御子柴教授亡きいま、獅賀厚生労働大臣のもと完全な奴隷を大量生産するために天獄島で研究が続けられている。
榊はその研究を指揮するフリをして、御子柴教授の遺志を継いで研究の悪用を防ぐために妨害していたが、同じ研究者の水沢が完全体の奴隷を完成させてしまった。
そして御子柴と榊が再会。
御子柴は驚くべきことに榊が悪に染まっていないことを見抜いていた。
次巻へ続きます。
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