アシトは2日目の練習で司馬のキラーパスに食らいつき、考えをぶつけながらプロの技術と対話を重ね成長の兆しを示す。
花や栗林との会話を通じ、自分が夢を描けていなかったことに気づき視野を広げる。
最終日の紅白戦では司馬の視野を体感し、ノールックパスの真髄に迫る手応えを得るのだった。
30巻のあらすじを振り返ってみましょう。
目次
司馬の脳の瞬発力と覚醒への軌跡
司馬のプレーの1つ1つの裏に膨大な時間や経験の蓄積を感じたアシトは、司馬のなかではチラッと見るだけで最善手を考え、パスをするその時には相手を見なくてもできるレベルにいることを悟る。
そしてそれは、司馬が大ベテランだからできるのではなく、もともと「考えたものを瞬時にプレーとして出す」ことができる脳の持ち主、いわば突出した脳の瞬発力を持っていたからこそ。
ずっと考え続けることで、いつしか考えずとも直感的に動くことができるようになる。
司馬はもともとフィジカルが弱く、プロになることも期待されていない選手だったが、エスペリオンから練習参加のオファーを受けた際にプロになるための細い希望の糸を必死に掴んだ。
ボールを奪われない位置や動きを考え続け、大学を中退してエスペリオンに入団してからも、オフの時もずっとサッカーのことを考え続けた司馬は、いつしか自分がピッチの上で敵味方全員を出し抜けることに気づく。
そのとき司馬は覚醒し、司令塔として急成長を遂げ、日本代表としてワールドカップにも出場を果たすほどの名手に。
アシトは初めて、自分の目指すべき姿が明確に見えたのだった。
栗林との縁とサブ組を鼓舞する司馬
エスペリオンには他にも、司馬と同じレベルにいる選手がいる。
その1人が栗林である。
栗林もかつて中学生ながらトップチームの練習に合流した際には司馬の世話になっており、司馬のことを尊敬していた。
特に「早々に技術から逃げ出した奴がフィジカルどうとか言い出すんだ。技術にこだわれ」という司馬のアドバイスは当時の栗林には刺さり、栗林が突き抜ける原動力にもなった。
エスペリオンに残り、その教えをクラブ全体に浸透させ続けた司馬。
本人はもう自分がいなくても栗林たちが次の世代に向けてバトンを繋いでくれると確信し、心残りはない。
しかしそのとき、アシトが激しいディフェンスで栗林からボールを奪い、司馬にボールを預けて鼓舞する。
サブ組の心に火を付け、消えかけていた司馬の現役続行へのモチベーションも繋ぎとめるのだった。
アシトの成長と司馬の現役続行決意
司馬を信じて全てを賭けることにしたアシトは、司馬との見事な連携を見せ、さらに司馬のイメージを超える絵を描いて見せた。
「こっちのほうがいい」というメッセージをアシトが司馬に出し、実際にアシトと遊馬が抜け出す大チャンスを作り上げたのである。
司馬にとっても、自分の教え子が自分のイメージを超える瞬間は望外の喜び。
それも、練習に参加してたった3日目のアシトがそれをやってのけたのである。
アシトは遊馬にクロスを上げ、日本代表CBの難波が見事な反応で一気に遊馬に立ち塞がるが、遊馬もボールへの嗅覚と執念でシュートをねじ込んだ。
試合はその後火が付いたレギュラー陣が圧倒し、1-4でサブ組は敗れたが、アシトにとっては得るものが大きい3日間となった。
試合後、司馬は「俺が全盛期の時に教えてやりたかった」と名残惜しそうにアシトに言葉をかけると、アシトは真っすぐに
「こんなにサッカーがわかってる人は下手になりようがない。サッカーをやればやるほど上手くなるのだから、司馬は今が全盛期だ」
と返す。
司馬の教えを乞うアシトに対し、司馬も今は自分がアシトにとっての細い希望の光になっているのだと悟り、決意を固める。
アシトには「トップ練習に常態的に呼ばれるようになっておけ」と指示し、1年間だけ現役続行、つまり引退を翻意するのであった。
ガノン大阪との死闘を制したユースAチーム
その頃、ユースのAチームはチャンピオンシップでガノン大阪と死闘を繰り広げていた。
スコアレスのまま延長戦へ突入するなか、義経からのラストパスを受けた山田が値千金の決勝ゴール。
歓喜に包まれるなか、主将を務めあげた阿久津は感情を爆発させることなく、どこか遠くを見つめて感慨に耽っていた。
こうしてチームは優勝特典として、国際大会への出場権を手に入れたのであった。
プロ入り見送りと国際大会への挑戦条件
トップチームではガルージャ監督がアシトと遊馬を呼び出していた。
2人とも期待を超える成長と成果を見せたものの、その場でのプロ入り内定は見送られる結果に。
司馬ありきのプレーでは認められなかったが、それでも来期のシーズン開幕後からなら可能性はあるというガルージャ監督。
その条件は、ユースAチームが出場権を勝ち取った国際大会で、あのバルセロナのユースクラブを打ち破ること。
ガルージャ監督は自分の出身クラブであり世界最高レベルのバルセロナに勝つことができたなら、エスペリオンの育成を評価し、有望なメンバーを幅広くトップチームで試すことを明言するのだった。
栗林の直談判とデミアン・カントとの因縁
シーズンが終わり、オフの期間に突入。
激動の1年を終えたアシトは地元に帰って少し休むことを考えるが、そのときクラブハウスでは栗林が珍しく首脳陣に直談判しているのを耳にする。
既にプロになったにも関わらず、ユースチームの一員として国際大会に出場し、どうしてもバルセロナと戦いたいというのである。
バルセロナのユースには、栗林にとって人生で唯一敗北を喫した因縁の相手がおり、現時点での力を測るのが今後の自分のサッカー人生において不可欠なのだと。
その男の名は、デミアン・カント。
果たして栗林とデミアンの間にいったい何があったのか―。
【30巻のまとめ】
司馬の脳の瞬発力と膨大な思考の積み重ねが直感的なキラーパスを生み、日本代表まで駆け上がった軌跡をアシトは悟る。
栗林との縁や技術への執念を胸に司馬はサブ組を鼓舞し、アシトは司馬を信じ抜く連携で自らの成長を示す。
敗戦の中で司馬は現役続行を決意、アシトにはトップ練習常態化を課し希望を託す。
同時にユースAチームはガノン大阪を制して国際大会への切符を獲得、アシトらはバルセロナ撃破を条件にプロ入りを目指す。
栗林は唯一の敗北を喫したデミアン・カントとの再戦を求め、国際大会への同行を直訴する。
【30巻の見どころ】
この巻の見どころは、司馬の直感的プレーの裏に潜む膨大な思考と努力の軌跡、そしてアシトがその核心に触れる瞬間です。
司馬が「見る前に考え、考えた瞬間に動く」域へ到達した背景として、弱点を補うため大学中退後も頭を使い続けた過去が描かれます。
アシトはその覚醒の物語を通じ、自分が目指すべき未来像を具体的に思い描き始めます。
サブ組を鼓舞する司馬の言葉や、アシトとの連携から生まれる突破は、師弟を越えた信頼と挑戦の証です。

次巻へ続きます。
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