プロ野球のスパイダースに所属していた凡田夏之介は、プロ8年目で年俸1800万円の中継ぎ投手で、プロ野球選手としては決して一流とは言えない選手である。
このままでは引退後は年収100万円台の生活に陥ってしまう。
「グラウンドには銭が埋まっている」略して「グラゼニ」を胸に、同郷の先輩で引退しラジオでの解説者に転身を果たした徳永、同期で先発投手の渋谷、後輩で期待の若手野手である大野らと共にプロ野球選手としての生活に励んでいる。
プロ8年目のシーズンは中継ぎの便利屋として登板機会が増え、骨折による戦線離脱があったもののリーグ優勝に貢献。
契約更改でアピールに成功し、希望通り年俸がアップした凡田は、春のキャンプでは昨年で引退し今年から解説者になった大物捕手の北王子が視察に訪れ、凡田のことを目にかけるように。
9年目のシーズンではチームに振り回され、2軍からブレイクした捕手の丸金とは対照的にどん底を味わった凡田だが、シーズン終盤から目覚ましい活躍でチームの日本一に貢献。
秘かに思いを寄せていた行きつけの定食屋の店員・ユキとも距離が縮まり、オフ契約更改ではやや難航したものの、希望額どおり3000万円+出来高の年俸となった。
ストーブリーグは過熱し、北王子がワイルドワンズの監督となったことでスパイダースは田辺監督の続投が決まる。
そしてスパイダースは左の中継ぎである松浪と、ワイルドワンズとのトレードで左の先発である綾野投手を獲得し、代わりに渋谷を放出、メジャー帰りの曾我部外野手も入団し、メンバーが入れ替わって新シーズンを迎えた。
10年目のシーズン、ユキと急接近していた凡田の調子は絶好調。
ライバルの松浪もフォーム改造と新しい変化球を武器にチームの守護神の座に就き、打撃陣も丸金、曾我部、大野、樹と重厚な打線がチームを牽引し、凡田もオールスターにも選出される。
プロ野球選手として自信を深めてユキにプロポーズする決意を固めるなか、スポーツ代理人のダーティ桜塚と高校時代の後輩である持田が凡田に接触。
スパイダースがそのままリーグ優勝しCSへ突入するが、この後凡田の気持ちを変える展開が待ち受けているのであった。
14巻のあらすじを振り返ってみましょう。以下ネタバレ注意です。
北王子の後悔
ワイルドワンズはシーズン3位でCS進出を果たすが、またも表と裏のヘッドコーチの意見が割れてしまう。
秋村コーチはエースの渋谷を軸に回すべきと主張するが、監督の右腕である石塚はあえて初戦で相手エースとの投げ合いを避けて第2戦を確実に取るべきという意見。
結局北王子監督はここでも石塚の意見を採用し、初戦は落としてしまった。
第2戦ではプレッシャーがかかるなか渋谷が好投を見せるが、モップスのベテランである天才・高橋に外角高めのストレートを捉えられ、ボールはぐんぐん伸びてホームランに。
これが決勝点となり、ワイルドワンズはCSのファーストステージで敗退。
終盤に石塚の意見を採用したことが裏目にで続けた北王子は涙を流し悔しがるが、秋村は北王子に反目せず次のシーズンに向けて気持ちを切り替えるのであった。
日本シリーズ進出を逃したスパイダース
CSのファイナルステージはスパイダースとモップスの戦いに。
かつてスパイダースで同期として入団したうち、凡田と共に現役を続けているのは渋谷と泉だけ。
そして泉は戦力外を言い渡され、渋谷もモップスの高橋に打たれた。
同期の仇ではないが、モップスとの対決により気合いが入る凡田。
高橋を相手にも堂々と勝負し、キレのいいストレートで押し込んで内野フライに打ち取る。
凡田の働きもあり第1戦を勝利したスパイダース。
しかし結果的にその後凡田の出番はなく、スパイダースは4連敗で日本シリーズ進出を逃してしまった。
そしてこれがシーズンオフに影響するのであった。
大荒れの契約更改
日本シリーズではオックスが日本一となり、寺杉がシリーズMVPに。
全日程が終わり、シーズンオフに突入する。
リーグMVPは19勝したスパイダースのエース椎名が獲得したが、丸金も打率、ホームラン、打点で2位と大活躍。
しかしスパイダースは昨年と違い、曽我部や大野、松浪らが好成績を残しながらCSに敗退し、年俸を上げなければならないのに予算枠が限られている状況。
フロント陣はチームの重要選手を優先的に扱うことを決め、上記の5人に大幅な年俸アップを設定した。
その結果、凡田を含めその対象に入らなかった選手たちには渋い提示が相次ぐこととなる。
3300万円からの3倍増を希望していた凡田にも6600万円の提示しかなく、中継ぎのエースとしてリーグ優勝に貢献した自負のあった凡田は納得できずに保留。
他にも保留する選手が続出し、フロント陣は上層部に掛け合って予算を拡大したものの、多少のアップにしか繋がらない。
他球団で自分より成績の悪かった選手の更改も気にしつつ、どうしても納得できない凡田は粘りつつ、チームで大幅な年俸アップを獲得した5人の報道を見て自分との評価の違いにショックを受けた。
VIPの5人に予算を割いたしわ寄せが自分に来たのではないか。
そんな不満がこぼれ、交渉の場でも思わずヒートアップして喧嘩腰になってしまう凡田。
交渉の後にビビり始めた凡田は、とにかく誰かと話したいと、後輩の持田に声をかける。
そして持田はボスであるダーティ桜塚に相談してみることにするのであった。
ダーティ桜塚の入れ知恵
凡田と会うことにしたダーティ桜塚は、早々にこのタイミングからの代理人交渉は球団の気を損ねるため受けられないと釘を刺しつつ、凡田にアドバイスを与える。
まず球団も選手との関係悪化は望んでおらず、次の交渉では平気な顔をしていれば関係修復は問題ないということ。
そして、そのルートを取って仲直りしてしまえば、凡田の年俸は再提示されて7900万円で固まってしまうこと。
スパイダースの予算やフロントの考えなどを的確に見抜いたダーティ桜塚は、7900万円以上を望むならスパイダースを出るしかないと吹き込む。
トレードなら8500万くらいまでは上がるだろうが、凡田の今季の成績でいえば年俸1億でも妥当。
もし来年メジャーでプレーしたなら年俸1億5000万は下らず、そのままの成績でいけばこれから肉体的にもピークを迎える4年で総額15億は稼げると予想。
メジャーで活躍できる可能性も十分現実的であり、そうすれば現役のうちに稼いだ金で預金の心配は一生要らなくなる。
引退後の面倒まで見てくれそうだが年収の上昇は見込めないスパイダースに残るか、年俸を求めてスパイダースを出るか。
ダーティ桜塚は日本シリーズに進出できなかったためにスパイダースがVIP5人に凡田を含められなかったと指摘し、さらに凡田よりも丸金を重要視していると煽る。
そして自分も球団にとって大切に思われているはずと考えている凡田に対し、ポスティング申請をしてみるようアドバイスした。
ポスティング申請は選手が希望して行うものであり、球団が乗る方にダーティ桜塚は100万円を賭けることを宣言する。
ダーティ桜塚を見返しつつ100万円をもらおうと考えた凡田はその賭けを受け、ポスティングを申請。
スパイダースは初めてのポスティング申請に慌てながら、対応を考えることになるのだった。
ナッツ(高校生)編⑪
秋の大会直前で東京遠征に出た鶴見川高校。
東京観光や神宮球場の見学をしつつ、練習試合に臨む。
1年の持田がまずまずの結果を残すなか、試合のマウンドには登らなかった凡田。
ブルペンでの投球を見る限りまだスピードは戻っておらず、監督は秋の大会のエースナンバーは持田につけようと考えているのだった。
【14巻のまとめ】
CSでは第1戦でセットアッパーとして勝利に貢献した凡田だったが、その後出番はなくチームが4連敗し日本シリーズ進出を逃してしまう。
その結果、スパイダースのフロントは限られた予算のなかで好成績を挙げた選手5人に破格の条件で契約更改をする方針を固め、その5人に選ばれなかった凡田を始めとする他の選手の契約更改は大荒れに。
どうしても希望額に遠く及ばなかった凡田は、後輩の持田の伝手でダーティ桜塚にアドバイスを求めることに。
するとダーティ桜塚は引退後の面倒まで見てくれそうだが年収の上昇は見込めないスパイダースに残るか、年俸を求めてメジャー移籍に手を挙げるかという判断を提示したうえで、試しにポスティング申請をしてみるように吹き込んだ。
自分がスパイダースにとって重要な選手であればポスティング申請には応じられないはず。
そう信じながら凡田はポスティングを申請、スパイダースは初めてのポスティング申請に慌てながら対応を考えることになるのだった。
次巻へ続きます。
この漫画をもう一度読みたい方はこちら
全巻まとめに戻る
-
参考シビアすぎるプロ野球選手の金勘定の話『グラゼニ』全17巻【ネタバレ注意】
続きを見る