カモメ古書店、そこは凶悪な犯罪に巻き込まれた被害者やその遺族が無念を晴らすために訪れる店。
古書店の主・鴨ノ目 武(カモ)とその相棒である島田 虎信(トラ)のコンビでこれまで数々の復讐依頼をこなしてきた。
シリアルキラーの園田に両親と従姉妹を殺害された開成 奈々子の面倒を見ながら、奇妙な同居生活が続いている。
犯罪に手を染めながらも十分な裁きを受けず反省もしていない犯罪者たちに、被害者に代わって復讐を行う2人の「復讐屋」の物語。
前作「善悪の屑」は作品の途中で本シリーズが有害図書指定を受けるほど過激な内容となっており、Amazonでは取り扱いが停止。
そこから描写をマイルドに変更し、タイトルも変更しながらメインストーリーを受け継いだ続編です。
こちらも併せてどうぞ。
登場人物紹介
<復讐代行屋>
鴨ノ目 武(かものめ たけし/カモ)
本作の主人公。坊主頭にサングラスをかけている。普段は「カモメ古書店」の店主。
かつては団地で妻と娘と共に暮らしていたが、強姦目的で押し入ってきた男に妻子を暴行されて殺害されたことをきっかけに非合法の復讐を稼業にするようになった。
島田 虎信(しまだ とらのぶ/トラ)
カモの相棒。地下格闘技で鍛えた格闘術を持ち、その身体能力を生かし主にターゲットを捕縛する役目を担う。
二人暮らしをしていた母がひき逃げで殺されたことをきっかけに悪人を憎むようになった。
開成 奈々子(かいせい ななこ)
練馬区一家殺害事件の唯一の生き残りの女性。20歳。両親と従姉の無念を晴らすためにカモメ古書店を訪れ、自らを囮にして復讐することを依頼し、以後行動を共にするようになる。
<朝食会>
榎 加世子(えのき かよこ)
日本トップのシェアを誇る家電メーカー「ENOKI」の会長の孫。幼少の頃に鶴巻裕の父親に誘拐され、性的虐待を受けた経験を持つ。それ以来、犯罪加害者に対して過剰な嫌悪感を抱いており、犯罪の被害に遭った人たちの復讐を支援するため、「朝食会」に加盟した。鶴巻をいつもそばに置き、ボディーガードにしている。
鶴巻 裕(つるまき ゆう)
朝食会のメンバーである大柄の男。主にターゲットである加害者を補縛する役目を担う。
関口 清(せきぐち きよし)/粕谷 九頭男(かすたに くずお)
財閥系企業会長の三男。朝食会の支部長。関口は仮名。女性をオトしてから蹂躙して殺すことに至極の快感を覚えるサイコパスであり、榎にその歪んだ好意を向けている。
東京支部aの支部長
見た目はただの意地悪なオバサンだが、その正体は朝食会の現会長。末期がんを患っている。
ヘルペス
朝食会現会長の護衛。眼鏡にスーツの男性。
メンチョ
朝食会現会長の護衛。女性。
京都支部長
見た目は美人女医。薬でターゲットの痛みを緩和しながらいたぶって殺すのが趣味。
<主な凶悪犯>
園田 夢二(そのだ ゆめじ)
奈々子の両親と従姉を殺害した犯人。表向きは「ゴアゴアコミック」出版の編集者で自らも作家志望。高校時代から殺人を繰り返すサイコパス。自宅では自身も漫画を執筆していて、右手の薬指に大きなペンダコがある。漫画のネタになることに関しては異常なまでの執着を持ち、漫画のためならば殺人を犯すことも厭わない。
近野 智夏(こんの ちか)
虹彩異色症の女。凶悪な殺人鬼として今は行方をくらましている。大学時代は園田と同じ漫画研究会に所属しており、園田とは殺人鬼同士、人には言えない秘密を共有している仲。なお当時既に9人を殺めている。毒や薬品を仕込み武器とするのが得意。
國松 義忠(くにまつ よしただ)/大瀧 鳳仙(おおたき ほうせん)/厚木 孝臣(あつぎ たかおみ)
やり手の実業家。ワケあって収監されていたが、出所後は知略を巡らせて街の浄化のために反社会的勢力の排除を目論み、桜内と梅沢を裏で指揮する。
本名は厚木孝臣で、裏の顔は同一人格者の大瀧鳳仙の異名を持つ凶悪殺人犯。権謀術数に長け、相手の心理を操って洗脳し、自分の言うことを何でも聞く熱烈な信者にするのが得意。
逆口 拓(さかぐち たく)
人体破壊マニアの凶悪殺人犯。驚異的な動体視力と深視力を持ち、作中随一の戦闘力を持つ。
<ヤクザ・半グレ>
栢山 道夫(かやま みちお)
興劉会本部長。坂本組組長。
渋沢 映二(しぶさわ えいじ)
興劉会代表代行。
伊勢原 哲治(いせはら てつじ)
興劉会若頭補佐。
町田 兼人(まちだ かねと)
興劉会旧渋沢派の若頭。
梅沢 保(うめざわ たもつ)
興劉会系山中組若頭。
桜内 淳(さくらうち あつし)
指定暴力団我蜂組若頭。カモとは幼馴染。梅沢とは兄弟分。大阪にいる腹違いの弟はトラの母を事故死させた罪で収監されているが、そのことはカモもトラも知らない。
富水 康多(とみず こうた)
街を浄化するために非道な行為も厭わない半グレグループ「世名汚死」の1人。モヒカンが特徴で世直しに対する信念が強く義理堅い面もあるが、少し融通が利かないところがある。
蛍田 茂之(ほたるだ しげゆき)
街を浄化するために非道な行為も厭わない半グレグループ「世名汚死」の1人。富水に比べ、欲に流されやすい傾向にある。
五月女 潤(そうとめ じゅん)
詐欺師の男性。年齢は28歳。振り込み詐欺の犯罪に関与して警察に捕まる。余罪があり、同じ詐欺グループの仲間のことも白状しないため、通常は20日ほどで出所できる留置所に4か月も入っている。 詐欺の常習犯なのにも関わらず、意外にも常識を重んじ、非常識なことを嫌う。富水と蛍田の友人であり、出所後に行動を共にする。
<その他の登場人物>
ジェイク・堀尾
女性をナンパする流れを教える怪しげなセミナーの講師。仲間内でターゲットの女性に強い酒を盛って酩酊させ、集団強姦する手口が常套手段。
加藤 真理江 (かとう まりえ)
専業主婦の女性。長い黒髪をしている。母子家庭で母親と2人、古いアパートで暮らしていた。高校生の頃、必死に勉強して有名大学に入学後、一流企業に入社。その後、当時付き合っていた男性が会社を立ち上げることになり、それを機に結婚した。当初は裕福で円満な家庭生活を送っていたが、不況により旦那の会社の経営が傾き、現在はアルバイトをして家計を支える日々を送っている。 自己顕示欲の塊でプライドが高く、負けず嫌いなため、アルバイトをしている姿を知人に見られないよう、自宅から6駅も先のスーパーで働いている。
滝谷 (たきや)
運送業者の男性。トラックを運転中、スマートフォンを見ながらの脇見運転で歩道に乗り上げ、その際に児童を巻き込んで死なせてしまう。
松下(まつした)
漫画家志望の男性。短い黒髪で、「縦音無尽」と書かれた黒いシャツの上からスカジャンを着用している。出版社「ゴアゴアコミック」に定期的に漫画を持ち込み、編集者の園田夢二に作品を見てもらっている。同性愛者で、園田に対して好意を抱いている。ある日、「ゴアゴアコミック」社内のトイレで突然園田にキスされ、思い切って園田に告白したものの、興味本位でキスしただけだと断られてしまう。 以来、逆上して園田のストーカーとなり、好意が次第に憎悪へと変わっていく。
榊 奈緒子(さかき なおこ)
前作で一家乗っ取り事件の犯人である榊ヨシ江の養子の1人。39歳、企画・立案・洗脳・拷問担当。
榊 久文(さかき ひさふみ)
前作で一家乗っ取り事件の犯人である榊ヨシ江の養子の1人。47歳の元会社役員で、企画・立案・尻ぬぐい担当。
榊 哲(さかき てつ)
前作で一家乗っ取り事件の犯人である榊ヨシ江の養子の1人。33歳の元詐欺師で、詐欺・強迫担当。
榊 華代(さかき はなよ)
前作で一家乗っ取り事件の犯人である榊ヨシ江の養子の1人。26歳の元プロレスラーで、拉致・監禁・暴力担当。
榊 葉介(さかき ようすけ)
前作で一家乗っ取り事件の犯人である榊ヨシ江の養子の1人。19歳の元引きこもりで、情報収集・機械系担当。
田神(たがみ)
ストレスでメンタルを病んだ男。
<その他の善人>
カモの叔父
職業は刑事。カモが行っている復讐代行業を黙認しており、時に復讐の対象になった人物の情報を伝えるため、警察内部の機密情報をカモ達に漏らす、依頼人をカモメ古書店に連れてくるなども行う。
鴨ノ目 美咲(かものめ みさき)
カモの妻。故人。夫と娘と共に不自由なく暮らしていたが、ある日部屋に押し入ってきた男に暴行を加えられ、娘共々殺害される。
鴨ノ目 里奈(かものめ りな)
カモの娘。故人。年相応の活発な少女であったが、目の前で母親に暴行を加えられる様を目にし、泣き叫んでしまったため、殺意を抱いた犯人から母親以上に手酷い暴行を受け殺害される。
加藤 乃亜 (かとう のあ)
加藤真理江の娘。黒髪のおかっぱ頭の小学生。両親と3人で千葉で暮らしている。母親とは対照的に、おとなしくて控え目な性格。クラスメイトの前野あかりと仲が良い。しかし、母親同士の仲が悪く、あかりから誕生日会に誘われても、真理江から誕生日会に行くことを禁止され、泣く泣く誕生日会への参加を断念した。
前野 あかり (まえの あかり)
小学生の少女。長い黒髪をストレートにしたり、左右に分けてツインテールにしている。加藤乃亜とはクラスメイトで、自分の誕生日会にも招待する程に仲が良い。しかし、母親同士の仲が悪く、日を重ねる毎により険悪になっていく。その結果、真理江が運転する車に乗せられ、林の中に連れて行かれて殺害されてしまう。
あかりの母 (あかりのはは)
専業主婦の女性。長い黒髪を後頭部で一つに束ねている。娘の前野あかりが加藤真理江の娘・加藤乃亜とクラスメイトのため、真理江とはママ友の仲。しかし、プライドが高くて自己顕示欲の強い真理江とは性格が合わず、陰で他のママ友と悪口を言い合っていた。のちに真理江に嫌悪感を抱いていることを悟られ、それをきっかけに2人の関係は険悪になる。 その結果、真理江にあかりを殺害されてしまう。真理江があかりを殺害した容疑で捕まってから8年後、真理江が刑務所から釈放されたのを機に、鴨ノ目武に真理江への復讐を依頼する。
萌美(もえみ)
盲目の女性。実の父親にDVを受けているところで園田と出会う。
久野 詩音(くの しおん)
大学時代に園田と同じ漫画研究会に所属していた女性の先輩。クールだが口が悪い。
吉飼 飛夫(よしかい とぶお)
大学時代に園田と同じ漫画研究会に所属していた男性で、園田とは同期。お調子者で久野に好意を向けているが相手にされていない。
秦野(はだの)
國松と親しい元工場長。エロトークで意気投合し、借金していたところを國松に救われた恩がある。薬剤師の資格を持っている。