女性として教授に上り詰める野望をもつ加藤が天才外科医の朝田とオペ看のプロであるミキをスカウトし、バチスタチームの結成を目指す。
朝田はさっそく医局に染まり切っていない研修医である伊集院に目をつけ、強引ながら指導をしていく。
常に患者のためにまっすぐで医局に問題を起こす朝田を野口教授が切り離そうとする一方で、その腕に惚れたERの鬼頭教授は朝田を手に入れようと画策する。
野口も加藤ではなく、ミキの兄にして朝田と因縁のある北日本大の軍司を推薦することに決め、一度は野望が終わったかに見えた加藤。
しかし「選挙制度そのものを変える」という抜け道を見出して選挙改革草案を作る一方、軍司が論文のためにバチスタを後回しにしていた患者も朝田の新しいバチスタ術式とともに救ってみせた。
選挙改革草案は「加藤が負けたら朝田はERに移籍する」という条件付きで鬼頭が教授会に通し、教授選が幕を開ける。
首の皮一枚つながった加藤だが、教授選では横綱相撲を見せる野口と、鬼頭自らが擁立した最強の候補者、国立笙一郎が立ちはだかるのだった。
12巻のあらすじを振り返ってみましょう。以下ネタバレ注意です。
国立笙一郎の実力
鬼頭が呼び寄せた国立は既にUCLAの教授を辞任しており、明真のERの助教授のポストについた。
と、そこに明真の秘書室にフランス語のメールが届く。
朝田宛のメールで、患者の画像も添付されており、緊急で助言を求めるもののようだ。
ちょうどそこに居合わせた国立が朝田の代わりにメールを見、ボイスチャットで送り主と会話をする。
送り主はNGOで朝田と一緒に働いていた医師で、患者は紛争地帯の地雷で右足を解放骨折した少女。
可能なら足を切断することなく済ませてあげたいというものだった。
状態は悪かったが、国立は的確な指示を飛ばし、見事に少女の足を残したまま手術を成功に導く。
〈朝田並みの実力をもつ国立 [医龍 12巻](c)小学館/乃木坂太郎〉
国立は一人息子の真悟にに自分の偉大な姿を見せることで教育を施そうと、先ほどの手術の判断などを教えるが、真悟は冷たい目で無機質な反応を見せるだけだった。
真悟の引率を頼まれた伊集院は必死に間を持たせようと話しかけるが、「お父さんみたいな医者になりたいの?」という問いに真悟は「なりたいわけないだろ」と返す。
〈斜に構える国立の息子、真悟 [医龍 12巻](c)小学館/乃木坂太郎〉
しっかりしているのだが、どうも斜に構えて周りを見下すような態度だった。
国立 vs 朝田
ERで朝田や荒瀬、伊集院の働きぶりを見る国立。
ちょうどそこに胃潰瘍の既往があり大量吐血をしている急患が運び込まれてきた。
緊急開腹手術が必要だが、消化器外科の手は埋まっている。
ERで手術することとなり、朝田が執刀医、国立が第一助手を務めることとなった。
〈朝田と国立による手術 [医龍 12巻](c)小学館/乃木坂太郎〉
胃のどこかの血管が切れているはず。
開腹して出血箇所を必死に探すが、どの血管も切れていない。
そうこうしているうちに出血は続いていく。
国立はここで胃の全摘を提案するが、諦めない朝田は胃とは別の腹部に手を突っ込み、見事に出血箇所を特定した。
胃の潰瘍が胃壁を貫通し、意の裏側にある大動脈に穴をあけていたのである。
〈国立の判断を覆した朝田 [医龍 12巻](c)小学館/乃木坂太郎〉
国立の判断を朝田が覆し、成功に導いた形となった。
軍司の策略
加藤と国立が動き出す一方で、軍司は一向に積極的な選挙活動を起こそうとはしない。
加藤はともかく、国立は今後着実に勢力を伸ばしていくだろう。
危機感を募らせた野口が問い詰めると、軍司はこう切り返す。
〈野口の寝首を狙う軍司 [医龍 12巻](c)小学館/乃木坂太郎〉
「あなたが今すぐ辞職すればいいんです。たった今選挙を行えば、確実に勝てる。」
軍司もまた、野口の寝首をかこうと狙う敵だったのである。
そんな軍司は選挙演説で平凡な医局員たちに寄り添い、聞こえのいい公約を掲げ、心を掴んでいく。
軍司を警戒し、見張るミキは軍司に過去の事件などを切り出す。
しかし軍司は取り乱すこともなく、冷静に自分が凡人であることを自覚し、凡人たちのために動く決意を語った。
〈軍司の掲げる理念 [医龍 12巻](c)小学館/乃木坂太郎〉
国立だけではなく、軍司も手段を選ばない男。油断はできない。
朝田が離脱…?
とある日、国立が朝田を呼び出す。
選挙の駆け引きとは関係なく、朝田にUCLAへの推薦状を書いてくれるというのだ。
〈朝田に留学を薦める国立 [医龍 12巻](c)小学館/乃木坂太郎〉
朝田が日本の医局に埋もれていくことを純粋に惜しんだがゆえの国立の計らいだった。
思わぬ申し出に回答を保留する朝田。
朝田の去り際に、国立はERで一緒に手術をした胃潰瘍だった患者の話を持ち出す。
国立が胃の全摘を勧めたが、朝田が出血箇所を特定し全摘を免れた患者。
その患者は結局、容態が急変し、亡くなった。
結果論であるが、胃を全摘していれば助かったのである。
通常の医師であれば全摘していただろうが、優秀過ぎたゆえに朝田は全摘を回避できてしまった。朝田にはそのレベルにあった舞台がアメリカにある―。
朝田は国立からの推薦の件を加藤や伊集院に話し、バチスタチームに動揺が広まっていく。
しかしミキだけは、朝田に依存し過ぎていたことと感じ、朝田の尻を叩いて旅立たせようとする。
行かないでほしいと全力で朝田を説得しようとする加藤。
〈朝田を引き留めたい加藤 [医龍 12巻](c)小学館/乃木坂太郎〉
そんな思いをよそに、朝田はUCLAに行くことを宣言するのだった。
【12巻のまとめ】
軍司は平凡な医局員たちを味方につけ、凡人のための医局を掲げる。
さらに野口に今すぐの退官を提言するなど、軍司もまた策士だった。
一方、朝田は国立にUCLAへの留学を持ち掛けられる。
朝田にはその腕に見合った最高の舞台がアメリカにある。
行かないでほしいと願う加藤たちをよそに、朝田はUCLAに行くことを宣言するのだった。
次巻へ続きます。
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