テルバイド化学のプロジェクトを発端として、昆虫が巨大化。この事態は防衛省副大臣の粟津を筆頭として仕組まれたものでしたが、当初の予測を超えて深刻な事態に発展しました。
街は完全に自衛隊の統制下で封鎖され連絡が取れないなか、テルバイド化学の無実を晴らしたい辰彦はテントに侵入して陰謀の証拠を探ります。
時を同じくして、テルバイド化学から協力要請を受けていた近藤と小田嶋は、外部からの隔離区域への侵入を画策し、運よく侵入のチャンスを見つけました。
一方の街中。母とはぐれて避難所にたどり着いた森宮順と沙奈。ここでも昆虫に襲われるなか、順と沙奈は無事逃げられるのでしょうか。
3巻のあらすじを振り返ってみましょう。以下ネタバレ注意です。
襲われる避難所
昆虫にが飛来した夜の避難所。運悪く虫に出くわした順は沙奈の手を取って走りだし、建物の中へ逃れます。
が、窓ガラスを突き破って中に侵入してくる虫の群れが次々に中の人を襲い始めます。
順と沙奈はパニック状態となった避難所から必死で逃れ、自衛隊員の桐谷と東に助けられる形で別の避難所へ車で脱出します。
しかし、街中を走っている最中にムカデがタイヤに絡みつき、車が動かなくなってしまいます。
虫の群れが襲い掛かってくるなかを走って避難することになり、道中で東が虫に捕まってしまいます。
助からないことを悟った東は、桐谷ら3人を逃がすためにバズーカで虫もろとも自爆。東の犠牲を乗り越え、3人は避難所へ急ぎます。
〈虫に捕まった東が自爆して活路を開く [インセクツ3巻]©幻冬舎/杉山敏〉
陰謀の証拠
崎村のテントの中で証拠を探る辰彦。金子が機転を利かせて時間を稼ぎます。
そのころ、事態の悪化を受けた粟津は崎村に撤収を指示します。必要なデータを除いて証拠をすべて隠滅し、テルバイド化学の社員らにすべての罪をなすりつける、というのが粟津と崎村の描いたシナリオでした。
テントに侵入してICレコーダーを仕掛けていた辰彦はこの録音を入手し、陰謀の証拠を掴んだことで隔離区域からの脱出を目指します。
またそれと同じころ、横転したトラックによって開いたゲートの隙間から、近藤と小田嶋は自衛隊を振り切って隔離区域の中へ入ることに成功しました。
次の避難先
桐谷によって順と沙奈は無事、次の避難先である文化体育館に到着しました。中には多方面から大勢の避難者がいましたが、そこで英和ら一家と再会を果たします。避難所の外の街中では、戦車や戦闘用ヘリが出動し、夜を徹して虫の駆除にあたっていました。
粟津からの撤収指示を受け、崎村はテルバイド化学のメンバーに撤収と出頭を命じます。が、辰彦が録音データを突き出し、崎村の口から陰謀を語らせます。
〈陰謀の決定的証拠を突き付ける辰彦 [インセクツ3巻]©幻冬舎/杉山敏〉
崎村から語られたのは、
・ペレナドウイルスで巨大化した昆虫を兵器として応用するのが目的
・うまくいけば、速効かつ一代で死滅するウイルス兵器となる
・核にも匹敵する武器を携え、テクノロジーや軍備で世界の最先端を行く強い日本を作ることが粟津の理想
というものでした。口を滑らせて「粟津」の名前を出したことで黒幕がバレてしまいましたが、それでもバックに政府がいることをチラつかせて自分に従うよう迫る崎村。
そのときちょうど、飛来した巨大ムカデがIRSによって崎村たちの近くに落ちてきます。
崎村たちが目を奪われている隙を突いて、録音データを持った辰彦はその場から逃走。気づいた崎村はすぐさま、ケミフォースら指揮下の部隊に追跡を指示します。
IRSの監視で位置は隠せないものの、辰彦は森の中を逃げ、道路に出たところで近くを走行していた近藤と小田嶋に出会います。
なんとなく状況を察した近藤と小田嶋は、ケミフォースに追われる辰彦を乗せ、逃走劇が始まりました。
〈逃走した辰彦が近藤・小田嶋に拾われる [インセクツ3巻]©幻冬舎/杉山敏〉
ケミフォースに追われて発砲を受けつつ、虫の大群も押し寄せるなか、最終的にケミフォースの車が昆虫に襲われ、辰彦らはひとまず逃げ切ることに成功しました。
襲撃の波
より一層、虫に襲われている街中では、自衛隊員の久野と馬越が懸命に応戦していました。
が、車の中で逃げ遅れていた小さな子供が目の前でカマキリに殺され、義憤に駆られた久野は事件の発端とされたテルバイド化学に激しい憎悪を抱きます。
〈義憤にかられテルバイド化学を憎む久野 [インセクツ3巻]©幻冬舎/杉山敏〉
一方、辰彦を取り逃した崎村は、粟津の許可のもと、辰彦を協力者(近藤と小田嶋)もろとも殺すように自衛隊に指示を出しました。
崎村は残ったテルバイド化学のメンバーを連行し、隔離区域から脱出します。
そのころ粟津のもとには米軍の救援打診が来ていましたが、米軍に頼るのは本当に収拾不能になったときだとして打診を断ります。
思い描く理想のためには、自力で収拾をつけなければならないのです。
激戦が続く街中では、徐々にケミフォースも苦戦を強いられるようになっていました。久野と馬越は補給のため文化体育館まで撤退し、そこで桐谷と合流します。
そんななか、ともに親とはぐれた順と沙奈は、「いったん自宅へ戻って手がかりを探したい」と桐谷と相談します。
引き留める桐谷でしたが、2人の意思は固く。東に託された2人を守るため、桐谷は虫の襲撃の波が収まったころを狙って2人の親探しに同行することにしました。その様子を見ていた英和も一緒に来ます。
〈両親を探しに出る順と水野[インセクツ3巻]©幻冬舎/杉山敏〉
時を同じくして、身を隠すことに成功した辰彦は近藤と小田嶋に録音データを聴かせます。改めて隔離区域からの脱出を図る3人ですが、その前に辰彦は別のところに寄り道することを希望しました。
順たちが出発する際、久野は桐谷に「テルバイド化学の森宮という男が逃走中。見つけたら撃ち殺していい」と連絡します。それを聞いた順は動揺を隠せませんでした。
自宅にて
桐谷に見つかったら射殺される。焦る順は家から離れたところで車を降り、自宅へ急ぎます。家には探していた母はいませんでしたが、兄の辰彦と再会を果たします。
〈自宅にて辰彦と再会する順[インセクツ3巻]©幻冬舎/杉山敏〉
テレビで辰彦の顔が指名手配されているなか、辰彦は順に事情を話し、録音データを託します。そのまま辰彦はその場を後にし、順は桐谷らと再び合流しました。
巨大化の最終段階
隔離区域から脱出し、粟津のもとに合流した崎村。「第2段階のウイルスまでは予測通り死滅しており、あとは時間がたつだけで事態は収まる」と分析する崎村。最大の山場は、最終段階のウイルスを散布した個体がどこまで成長しているかです。
粟津の切り札は東京湾に配備したイージス艦と米軍です。が、崎村はここで現場の責任者として実験の終結を見届けるため、隔離区域内に自ら戻ることを決めます。
最終段階の進化は、怪獣レベルの大きさにまで巨大化した虫でした。サイズ的にIRSはもう効きません。
〈進化の最終段階を迎えた昆虫[インセクツ3巻]©幻冬舎/杉山敏〉
もう安全な場所などない
一向に親が見つからない順たちは、陽が落ちてきたこともあり、文化体育館へ戻ります。
しかし、上空を飛んでいた自衛隊の輸送ヘリが超巨大昆虫に襲われて撃墜され、文化体育館の屋根を突き破ります。
落ちてきた機体の下敷きとなって、英和の両親が犠牲になり、また天井の穴から次々に侵入してくる中型サイズの虫によって、中はパニック状態に陥ります。
〈天井から昆虫が侵入、最後の避難所もパニックに[インセクツ3巻]©幻冬舎/杉山敏〉
桐谷は順たちを連れて必死に脱出を図りますが、文化体育館の他にもはや安全な場所はありません。外には超巨大昆虫の雄叫びが鳴り響くのでした。
【3巻のまとめ】
辰彦は陰謀の証拠を得て逃走し、順に証拠の録音データを託しました。
これで辰彦・近藤・小田嶋の3人は隔離区域からどうにかして脱出するだけです。
一方の順たちは桐谷に守られながら避難していましたが、最終段階の進化を迎えた超巨大サイズの虫に襲われます。
最期の避難所も襲われてしまい、行くあてのなくなった順たちは無事に生き延びることができるのでしょうか。また、陰謀の行方は。
最終巻に続きます。
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