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前巻はこちら3年ぶりの再会と新たな人間関係が交差する青春の転換点『惡の華』8巻【ネタバレ注意】
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8巻で佐伯との再会を果たし、過去の傷を改めて突きつけられた春日。
9巻では、常盤との関係がついに大きな転換点を迎え、春日が久しぶりに「幸せ」を感じる穏やかな日々が描かれます。
しかし過去はいつまでも春日を追いかけており、物語はやがて「あの町」へと向かっていきます。
今回は第9巻の内容と見どころをネタバレありで紹介します。
晃司との仲直り、そして常盤の決意
常盤から、晃司が春日に謝りたいと言っていることを伝えられた春日は、放課後に常盤と一緒に晃司のバイト先を訪ねます。
晃司に仲直りを求められた春日は、握手を交わして常盤と共に店を出ます。
帰り道、春日は常盤に「小説執筆で力になれることがあればする」と申し出ますが、常盤は「今はひとりで頑張る」と断ります。
誰かに頼ることなく、自分の力で書き上げようとする常盤の姿勢が、この一言に凝縮されています。
春日の思いやりと、常盤の自立心が交差するこの場面は、二人の関係の微妙なバランスを感じさせます。
クリスマスイブの告白
12月24日、一人で帰宅する春日の脳裏に、佐伯から言われた言葉がよみがえります。
「一生逃げ続ける人生だね」——その言葉と共に、「常盤のことも不幸にするのか」という自問が春日の中に湧き上がります。
しかし春日はふと気づきます。
本当の自分をさらけ出せず、幽霊のように生きている常盤を救いたい、と。
気づいた瞬間、春日は常盤のバイト先へ向かって走り出します。
息を切らしてカフェに飛び込んだ春日は、常盤に「好きだ」と告白します。
「きみの幽霊を殺す」と手を差し伸べると、常盤は涙を流します。
常盤はその場で晃司に別れを告げ、バイトも辞めて春日と共に店を出ます。
無言で歩く二人が、信号待ちで同時に手を繋ごうとして笑い合い、抱き合うラスト——この告白シーンは9巻最大の見どころであり、本作の中でも屈指の名場面です。
二人だけの幸せな時間
年が明け、春日は自転車で常盤の家に通う日々が始まります。
常盤の部屋で、常盤は小説を書き、春日はベッドで本を読む——ただそれだけの時間が、この上なく穏やかで幸せなものとして描かれています。
散歩に出た二人が歩道橋の上から空を眺めていると、春日は突然涙をこぼしながら「幸せだ」と言います。
常盤も「私も幸せ」と返します。
台詞はシンプルですが、春日がここに至るまでの道のりを知っているだけに、この場面は深く心に刻まれます。
家に帰った春日が「ただいま」と声をかける場面も印象的です。
長い間言えなかったその言葉が、春日の心の変化を静かに物語っています。
常盤が気になる「春日の過去」
春日と常盤はデートを重ね、春日の家族にも笑顔が戻ってきます。
常盤は小説の最終章を残すところまで書き進め、完成したら春日に読んでもらう約束をします。
春休みの話題になった際、常盤は「春日の生まれた町に行きたい」と提案します。
しかし春日は「何もない田舎だからやめよう」とはぐらかします。
常盤は中学時代に春日に何があったのかをずっと気にかけており、その場でそっと尋ねます。
それでも春日は「常盤に余計な迷惑をかけたくない」と答え、深くは語りません。
幸せな現在と、語られない過去。その間に横たわる距離感が、この場面の読みどころです。
「あの町」へ向かう決意
夕食中、祖父が危篤状態になったとの連絡が入ります。
両親は「春日をあの町に連れていくわけにはいかない」と二人だけで向かおうとします。
しかし春日は「いつかは必ず向き合わなければならない時がくる」と言い、自分も一緒に行くと告げます。
逃げることをやめ、自らあの町へ戻ることを選んだ春日のこの言葉は、9巻の大きなターニングポイントです。
幸せな日常の中で少しずつ力を取り戻してきた春日が、ついに過去と正面から向き合おうとする瞬間が、静かに、しかし確かな重みをもって描かれています。
【9巻のまとめ】
9巻は、これまでの巻の中で最も穏やかでありながら、最も大きな変化が内側で起きている巻です。
常盤との告白、幸せな日々、そして過去への決意——春日の成長が丁寧に積み重なっています。

次巻へ続きます。
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