薬害事件を起こし、新社長のもと結束を高めるために登山レクリエーションに来ていた新入社員の早乙女をはじめとする藤谷製薬の社員たち40名。
しかし初日の夜からナタを持った大猿の襲撃により次々と社員が殺されていく。
山の険しさと共に増していく疲労と、追い詰められる精神。
社内に裏切り者がいる可能性が浮き彫りになり、徐々に分裂していく生存者たち。
度重なる激闘の末に猿の正体が人間であることが暴かれるが、突如として本物の魔猿も姿を現し牙をむく。
一行が山頂を目指していたところ、ずっと行方不明になっていた長谷川が猿の仲間ということを隠しながら再び姿を現し、早乙女たちに合流した。
その素振りを怪しんだ安斎と氷室が長谷川を襲うが、長谷川の負傷を見た早乙女が激昂。
状況証拠で不利と判断した安斎は氷室と共に早乙女らと完全に袂を分かつのだった。
10巻のあらすじを振り返ってみましょう。以下ネタバレ注意です。
安斎と氷室の同盟
安斎と氷室の同盟は、氷室から持ち掛けたものだった。
〈同盟を持ち掛ける氷室 [モンキーピーク 10巻](c)日本文芸社/志名坂高次・粂田晃宏〉
氷室は山小屋から追放され魔猿に追い返された際、生存者たちの行動を遅らせることを条件に裏切り者のサインを教えてもらい、生かされていたことを明かす。
この安斎・氷室の同盟は猿の本当の仲間にはならず、第三勢力となる。
安斎らがハシゴを落として妨害
氷室は犯人の仲間を1人でも減らすために長谷川を殺すつもりだったが、安斎は猿の情報を引き出すために長谷川を殺すのを止め、結果的に早乙女らに妨害を受けたかたちだった。
氷室を追って岩場を登る早乙女たち。
しかし安斎と氷室はかかっていたハシゴを落として妨害。
〈ハシゴを落として妨害 [モンキーピーク 10巻](c)日本文芸社/志名坂高次・粂田晃宏〉
滑落者が多いことで架けられていたハシゴが無くなった今、早乙女たちが素手で登るところは屈指の難所となる。
早乙女たちは岩の裂け目に腕を突っ込んで支えとしながら登るのだった。
安斎のシナリオ
一方、先行する安斎も大学時代のチームメートからかけられた嘲笑などが幻聴として現れるほど疲労が見え始めている。
安斎と氷室がある程度登ったところで、山岳警察の3人が現れた。
救助が来たと氷室が喜ぶのも束の間、警察は2人がはしごを落としたことや八木のリュックを持っていたことを強く疑い、銃を向ける。
〈山岳警察がやってきた [モンキーピーク 10巻](c)日本文芸社/志名坂高次・粂田晃宏〉
安斎は自分の行動が正しいと思いながらも客観的に見て自分が不利であることを確信。
大学時代にチームメートたちから孤立し暴力沙汰を起こした時のように、警官に向かって暴行を始めた。
氷室もこれに同調し、安斎は魔猿の仕業に見せかけるようにして景観3人を殺害して銃を含めた装備を奪う。
〈警察を暴行する安斎と氷室 [モンキーピーク 10巻](c)日本文芸社/志名坂高次・粂田晃宏〉
死体も崖下に落とし、これからは早乙女らも含めて全員殺したうえで氷室と2人で下山するシナリオを描く。
そのために安斎は、手に入れた銃に長谷川の指紋をつけて全ての罪を被せることを画策するのだった。
〈安斎のシナリオ [モンキーピーク 10巻](c)日本文芸社/志名坂高次・粂田晃宏〉
トランシーバーを入手
早乙女たちも順調に崖を登り、安斎が落とした警官の遺体を発見する。
トランシーバーに別の隊員から無線が入り、長谷川の表情が変わる。
〈トランシーバーを入手 [モンキーピーク 10巻](c)日本文芸社/志名坂高次・粂田晃宏〉
すかさず長谷川へ疑念を抱く佐藤がトランシーバーを握りしめ、救助隊と交信。
山の中に犯人がいることをほぼ確信している警察は「救助隊が向かっているからそこを動くな」と指示するが、長谷川は魔猿が追ってきていることを理由に移動を勧める。
結局、佐藤が強行に反対し一行はここで救助を待つことを選択することとなった。
2人目の裏切り者
救助を待つ間、林が隠し持っていたチョコレートを全員に配りはじめる。
全員が喜んで食べたところで、林が「良かった。毒入りのチョコ、喜んでもらえて。私は猿の仲間です。」と衝撃の告白をする。
〈林も猿の仲間 [モンキーピーク 10巻](c)日本文芸社/志名坂高次・粂田晃宏〉
林が持っていたチョコは2種類あり、早乙女・宮田・佐藤に飲ませたものが毒入りだというのである。
あまりの出来事に耳を疑う早乙女と宮田。
しかし長谷川も林に続いて自分が猿の仲間であることを明かし、藤谷製薬が罰を受けるために自らこの計画を立案したと告げる。
長谷川の目的は安斎と氷室を絶対に殺すこと。
長谷川は動揺する早乙女たちに対し、飲ませた毒の名前を教える代わりに2人を殺すのに協力を迫る。
〈殺害への協力を迫る [モンキーピーク 10巻](c)日本文芸社/志名坂高次・粂田晃宏〉
毒の名前が分かれば生き残る可能性があるため、長谷川を殺すこともできず、裏切られたショックで涙を流すのだった。
薬害事件の真相
長谷川と林は安斎と氷室を追って先に山頂を目指す。
遅れて落ち着きを取り戻した早乙女らも2人の後を追う。
早乙女らが追いついたところで、長谷川は薬害疑惑事件の真相を語りだした。
5年前に発売したジェネリックの抗生剤は広く処方されたが、その添加剤に使用されていた成分が原因で副作用として神経毒の生成につながり、8名の死者と50名に後遺症が残ってしまう。
林の弟も1人が死に、もう1人が植物状態になっている。
裁判では会社側は予見不可能だったとして潔白が証明されたが、前社長の了承のもとで記録の改ざんや破棄を行い、口裏を合わせていたのが安斎だった。
すなわち会社は薬害があるのを知ったうえで販売しており、薬害の存在を知っていながらも営業部長の氷室が筆頭となって薬を売りまくっていたのである。
証拠はないため、被害者の会が独自に罰を下す。
本物の魔猿は日本刀の男、トオルの言うことしか聞かないため当初は投入しない予定だったが、増援として参加させた結果、トオルと魔猿はただひたすらに殺戮を楽しんでいる状況だった。
宮田が転落
安斎と氷室を追って山頂を目指す長谷川たち。
安斎と氷室は頭上で待ち伏せし、安斎はガイドとなる鎖を武器に一方的に攻撃をしかけてくる。
そして氷室が投げた石が宮田にヒットし、よろけた拍子で宮田が崖下に転落してしまうのだった。
〈氷室の投石が宮田にヒット [モンキーピーク 10巻](c)日本文芸社/志名坂高次・粂田晃宏〉
【10巻のまとめ】
安斎と氷室は自分たちだけが助かるために全員を殺し、長谷川に罪をすべてなすりつけるシナリオを画策する。
他方、早乙女たちは猿の仲間と告白した林によって毒を盛られてしまい、解毒のカギとなる毒の名前を教えることを条件に安斎・氷室の殺害に協力することに。
一連の事件は藤谷製薬が起こした薬害事件への怨嗟と復讐であることが明らかになり、事件の主犯格である安斎と氷室を追う早乙女たち。
しかし圧倒的有利な位置で待ち伏せされ、氷室の投石を受けた宮田が崖下に転落してしまうのだった。
次巻へ続きます。
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