「ママ」と慕われるイザベラのもとで色々な孤児が家族同然に幸せに暮らす「孤児院」・グレイス=フィールド(GF)ハウス。
ある日、主人公で身体能力に優れるエマと知略に優れるノーマンは孤児院が実は「鬼」に捧げる食用児の養殖農園だったこと知ってしまい、リアリストで博識なレイ、年長者のドン・ギルダを仲間に引き入れ、GFから全員で逃げ延びるための脱獄計画をスタートさせる。
ノーマンが志半ばで「出荷」されてしまったが、エマはフィルを始めとする4歳以下の子供たちは2年以内に迎えに行くまで農園に残すことを決断、イザベラの目を欺いて見事15人での脱獄に成功した。
「ウィリアム・ミネルヴァ」という人物が秘かに残していた手がかりが頼りのエマ達は、途中で宗教上の理由から人間を食べない異端の鬼、ソンジュとムジカに窮地を救われる。
そしてこの世界は”約束”によって人間と鬼の世界に分断され、鬼は安定した食糧供給のために農園を作ったという真実を知り、最終目標は人間の世界への移住となる。
ミネルヴァが指定した場所で地下シェルターを発見し、さらに新たな仲間ユウゴやルーカス、その他の子供たちと共に鬼の秘密の狩場であるゴールディ・ポンドを壊滅させ、一歩ずつ世界を変えていく。
鬼の頂点に立つ”あの方”と会って新たな”約束”を結ぶため「七つの壁」の入り口を探し、ついに特定したエマ達。
しかしゴールディ・ポンド壊滅の知らせを聞いた2つの世界の門番ピーター・ラートリーもエマ達の阻止に動き、シェルターを襲撃してユウゴとルーカスが自らの命と引き換えにエマ達を逃がした。
ピーターの部下アンドリューの追跡を退けたエマ達は、ついにミネルヴァとの対面を果たす。
その正体は、死んだはずのノーマンだった。
ノーマンはGFの出荷後は「ラムダ7214」という試験農園へ送られ、仲間と共にそこを脱獄した後、ミネルヴァの名と情報を受け継いで反乱を指揮していた。
鬼の正体は食べたものの形質を受け継ぐ生き物であり、食べ続けなければ形質を保てないという代償が明らかとなる。
腹心のザジ、ヴィンセント、シスロ、バーバラをはじめ、実験の副作用で超人的な能力を得た仲間を率いて、鬼を根絶やしにするのがノーマンの計画。
ノーマンの計画が実現に近づく一方、エマだけは殺し合いを避ける道を模索するが、正解がわからず苦悩するのだった。
15巻のあらすじを振り返ってみましょう。以下ネタバレ注意です。
ギーラン家と同盟を結ぶ
ザジを連れてノーマンが面会していたのは、元貴族のギーラン。
ノーマンは戦力を求めて同盟を提案し、勝利と復讐の成就を与えると切り出す。
〈ギーラン家と同盟 [約束のネバーランド 15巻](c)集英社/白井カイウ・出水ぽすか〉
700年前、ギーランは腹心に裏切られて追放された身であり、王家や現五摂家に強い恨みを抱いていた。
ノーマンは全食用児の解放と自治を認めてほしいと切り出し、代わりにラートリー家を差し出すと提案。
両者は合意して同盟を組むこととなるが、お互いに利用するだけして切り捨てることを企んでいるのだった。
〈互いに相手を利用 [約束のネバーランド 15巻](c)集英社/白井カイウ・出水ぽすか〉
鍵を握るのはムジカの「邪血」
ノーマンの帰りを待って話し合うエマとレイ。
ノーマンは同盟を結んだギーランに内乱を起こさせて消耗させる計画を明かす一方、エマもソンジュとムジカの存在を明かす。
〈特異な存在を知るノーマン [約束のネバーランド 15巻](c)集英社/白井カイウ・出水ぽすか〉
「邪血の少女」という存在を耳にしていたノーマンは驚きを隠せない。
ムジカは生まれて一度もヒトを食べたことは無く、ヒトを食べなくてもその形質と知能を保つことができる超特異個体であった。
さらに「その血を一口飲むだけで鬼は同じ体質を手にすることができる」という言い伝えもある。
〈邪血の能力 [約束のネバーランド 15巻](c)集英社/白井カイウ・出水ぽすか〉
ムジカの血ならすべての鬼を飢餓から救える可能性があるが、過去にはその噂を聞きつけた王や貴族がその血を独占した後に抹殺した暗い歴史があった。
農園を通じた人肉の供給管理で鬼社会を牛耳る王や貴族にとって、ムジカの血は邪魔でしかなかったのである。
〈王達にとって邪魔な存在 [約束のネバーランド 15巻](c)集英社/白井カイウ・出水ぽすか〉
今もソンジュとムジカは王や貴族たちから追われる身であり、ノーマンは2人を「計画上の不安定要素」として排除しようとする。
2人を友人として守りたいエマは反発し、①七つの壁を越えて約束を結び直し人間の世界へ渡る道筋をつける②全ての鬼を退化しない体に変えて農園を廃止する③すべての食用児で人間の世界へ渡る、という壮大な理想を口にする。
現実主義的なノーマンが自分の計画を決行に移すまでにエマが理想を実現させる道筋をつけられるかが勝負となる。
〈理想に向かって動き出すエマ [約束のネバーランド 15巻](c)集英社/白井カイウ・出水ぽすか〉
しかしノーマンやヴィンセントたちラムダの出身者は鬼による実験の代償で投薬しなければ身体に障害が出てしまう体質。
強い復讐心を持つがゆえにエマの理想に反発し、その想いを背負うノーマンも鬼を絶滅させることを固く決意しているのだった。
〈ノーマンの覚悟は固い [約束のネバーランド 15巻](c)集英社/白井カイウ・出水ぽすか〉
王都での決戦が近づく
その頃、王都では女王レグラヴァリマのもとに五摂家のイヴェルク、ノウム、バイヨン(当代)、ドッザ、プポが集い、相次ぐ農園の盗難被害の収拾を図っていた。
〈女王と五摂家 [約束のネバーランド 15巻](c)集英社/白井カイウ・出水ぽすか〉
組織的な犯行であることを見抜いたレグラヴァリマは、ティファリまでに解決するために討伐隊を組織し、本格的に捜索に乗り出した。
しかしこれもノーマンの手のうち。
討伐隊を結成させることで鬼の兵力を分断させる作戦であり、ノーマンは計画決行を8日後に迫ったティファリ当日に定めていた。
〈決行は儀祭当日 [約束のネバーランド 15巻](c)集英社/白井カイウ・出水ぽすか〉
そして次の一手は「邪血」の排除。
ノーマンはドンとギルダを呼び出すのだった。
「七つの壁」の謎に挑む
さっそく、レイと共に「七つの壁」を越えて”あの方”に会いに向かうエマ。
〈七つの壁の入り口 [約束のネバーランド 15巻](c)集英社/白井カイウ・出水ぽすか〉
入口への行き方は特定済だが、入口を越えれば帰ってこられる保証はない。
それでも扉を抜けてその先に進むと、そこには懐かしきGFハウスがあった。
〈慣れ親しんだGFハウス [約束のネバーランド 15巻](c)集英社/白井カイウ・出水ぽすか〉
ハウスの中は不思議な迷宮。
「七つの壁」の謎を解いてその先に進めなければ、”あの方”には会えないのであった。
〈中は迷宮 [約束のネバーランド 15巻](c)集英社/白井カイウ・出水ぽすか〉
【15巻のまとめ】
鬼の女王レグラヴァリマと五摂家に恨みを持つギーラン家と同盟を組み、王都での反乱計画を進めるノーマン。
一方のエマはムジカの持つ特殊な血が鬼の社会を滅ぼさずに済む鍵になることを知り、ノーマンの計画が成就する前に自分の自らの理想を叶えるため動き出す。
ムジカの血は一度飲めば人間を食べなくても形質を保てるようになる性質があり、農園の利権を牛耳る王や貴族にとっても、計画の不安要素を排除したいノーマンにとっても邪魔な存在。
ノーマンがソンジュとムジカの排除を狙うなか、エマとレイはまず”あの方”と新たな”約束”を結ぶために「七つの壁」の謎を解きに向かう。
入り口を抜けた先には、迷宮と化したGFハウスがあったのだった。
次巻へ続きます。
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