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日本の農業の分析、井野は専業主婦の転職に苦戦、桂木は起業を決意『エンゼルバンク』11巻【ネタバレ注意】

~前巻までのあらすじ~

桜木が経営再建を果たした龍山高校、しかし井野は教師の仕事に飽きて転職を考え、桜木が主宰するビジネス塾の講師にして転職代理人の海老沢を紹介される。

海老沢にスカウトされた井野は思い切って自分も海老沢のもとで働くことを決心し転職するが、海老沢は社内でも変人扱いされており、日本の転職者市場を牛耳ることで日本を陰で操る「日本支配計画」という野望を持っていた。

その計画の一部に巻き込まれた井野はまず転職代理人としての仕事を任され、手探りながらも求職者とのカウンセリングをして場数を踏んでいくこととなる。

海老沢から要所でアドバイスを受けながらもがく井野だが、海老沢からすればまだまだヒヨッ子。

商社OLの北川のカウンセリングでは早々に行き詰ってしまうが、海老沢の知恵を借りたベンチャー企業の社長秘書という突飛な提案が刺さり、海老沢を慕うベンチャー企業の社長・岡本の秘書に転職することとなった。

その後も成功と失敗を繰り返しながら順調に仕事をこなしていく井野。

また海老沢に強い興味を持った東大卒のエリート商社マン・桂木が新たな仲間に加わり、「これからはたった1人の天才の才能を生かした会社が生き残る時代」という仮説を実験するためのチームとして共に働くことに。

日本支配計画の一部として人材育成のプロになることを期待された井野は転職代理人の仕事を続けながら、同じく日本支配計画に参加している本田とも再会を果たす。

そして今度は「自分の会社が倒産するかもしれない」という求職者・内藤を担当することとなり、井野は海老沢の指示で農業ベンチャー企業へ転職させることとなった。

そのベンチャーは海老沢も出資しており、社長の中谷は素人ながら有識者や地元の人たちの協力を得て農業再生の鍵を握る新たな農業の形を模索するとともに、外国人労働者を受け入れてこれからの日本の形を実験していた。

農業にまつわる古い誤解を挙げながら農業を産業として成長させるために奮闘する中谷は、失敗の責任を天気など自分以外に押し付ける体質を改善したうえで、それでもまだ農家が大事にする「丹精」が邪魔だと話す。

果たしてその意図とは―。

 

11巻のあらすじを振り返ってみましょう。以下ネタバレ注意です。

日本の農業を分析する中谷

農作物を作るときに丹精なんて込める必要はない。

丹精や真心を大切にする考えが農業の合理化を阻害し、作物の10割すべての出荷を目指すから人手が足りず家族による長時間労働という自己犠牲が蔓延する。

中谷は会社として丹精を込めず、8~9割出荷できれば上出来という方針を掲げ、必要最低限の手入れで人件費を大幅に削減。

水耕栽培のビニールハウスでは経理担当の内藤と再会。

産業化は1時間当たり1人でどのくらいの利益が出ているか計算するところから始まるが、農業は2000円以下で800円の賃金も払えないのが現状。

さらに農業は努力てはなく補助金で補填しているため、産業として独り立ちするには人件費を徹底して抑制し、企業が大規模に土地を購入して少ない人数でそこを運営するシステムしかない。

就農人口はアメリカやフランスでも人口の2%程度であり、日本の就農人口はまだ減らす余地がある。

しかし日本は政治家が農民票を得るために補助金を出しているため、政治家が農業改革に手をつけることはない。

それでも井野は「就農人口が減ると食料自給率が減って食糧危機が起きるのでは」と危惧する。

これを聞いた中谷は「食糧危機なんて日本じゃ絶対に起きない」と断言。

食糧自給率が40%というのは食べているものの40%が国産という意味ではなく、食べているものをカロリーにしたときに40%が国産という意味。

つまり高カロリーな油や肉、乳製品を輸入に頼っていると食糧自給率は下がるのであり、日本の食糧自給率が下がったのは生産能力の低下ではなく食生活の洋風化が直接の原因。

さらに自給率の計算には家畜の食べる肥料も含まれるため、国産の肉であっても自給率は100%にはならない。

食生活を昔と同じにすれば自給率はすぐに上がり、生の野菜はほとんど国産。

そして世界中で余っている穀物の輸入が止まることはない。

戦後の農業は窒素肥料の登場を代表として産業革命が起きており、収穫量が大幅に向上。

結果としてもともと穀物は余るようになり、農業大国は生産調整や穀物の輸出で争っている。

中国などの新興国で人口爆発が起きても、新興国の広大な土地で窒素肥料を使えば生産量はまだ増える。

アフリカが飢餓状態なのは流通のインフラが整備されていないからであり、農業とは別の原因。

ここまでの話に納得し、豊かな日本に生まれて良かったと口にする井野。

ところが中谷は食糧は大量にあるかもしれないが、「日本ほど貧しい国はない」と話すのだった。

豊かさとは何か

豊かさとは一体何か。

例えば日本のトマトは育てやすくて甘さも型もしっかりしている「桃太郎」という品種だけがスーパーに並んでおり、それ以外こトマトを探して食べる方が難しい。

日本では1種類だけが余るほどあるが、ヨーロッパなら様々な地方の色々な特色のトマトが手にはいる。

中谷たちは量ではなくたくさんの種類から自由に選べることを「豊か」と定義し、野菜の種類を豊富にすることを目標にしていた。

そして生き方の多様性も認め、社員の働き方も自分のライフスタイルに合わせて自由にできるようにしていた。

会社を元気にする鍵は「伝言ゲーム」

社長の中谷だけでなく社員にもこの考えが浸透。

その秘訣はビジネスの本質である伝言ゲームにあった。

会社における伝言ゲームでは経営陣のメッセージが途中で変わることも日常茶飯事だが、伝言が変化したときに発信者が責任を負うがいい会社。

そのことを海老沢から教わっていた中谷はあえてみんなに自分のメッセージが伝わるように同じことをいろんな方法で説明し、自分の指示が全員に同じように理解されているかいつも気にしているという。

伝言ゲームの始まりとなる上司は指示の出し方を明確にしなければならない。

社長のメッセージを共有するのが会社を元気にする鍵なのだった。

農業を頑張る本当の理由

翌朝には実際に収穫を手伝うこととなり、そこで中谷たちが農業を頑張る本当の理由を知ることとなる。

早朝から収穫し、4℃で美味しさを閉じ込めたまま都心へ出荷。

朝早くからの労働は大変ではあるが、作業をしながら浴びる朝日は最高に気持ちがいい。

自然と共に生きることで気持ちが落ち着き、作物を収穫する時の達成感と喜びこそが農業をする本当の理由なのだった。

桂木が退職の意志を固める

海老沢のもとで一緒に働くことに居心地の良さを感じている桂木だったが、高校時代の友人と久しぶりに会った際に考えが大きく変わることとなる。

ある研究をしているその友人は、「4年間死ぬ思いで続けた研究が一瞬でパーになった」と愚痴をこぼす。

そしてその後数日間会社に姿を現さなくなり、再び出社した際には突然退職する考えを口にした。

「会社を辞めて特許情報を自由に検索出来てだれでも利用できる会社を起業したい」という桂木。

海老沢はその意気を買いながらも、まだビジネスとしては詰めが甘いことを指摘。

桂木は指摘された点を改善するために再びアイディアを練り直すことになるのであった。

専業主婦の再就職は無理?

井野は次の転職代理人として子育てがひと段落して仕事復帰を望む専業主婦の松村を担当することとなる。

10年のブランクがあるとはいえ経歴に文句は無く、見た目も上品で知性を感じさせ、松村の転職先リストを考える井野。

しかし海老沢は「普通の企業に就職させるのは100%無理」と断言。

そんなはずはないと思う井野だが、海老沢は「日本の制度自体が歪んでいる」と続ける。

実際、専業主婦に対する求人はほとんど無く、「専業主婦はお金の余裕があるから働かなくてもいい」といった偏見さえまかり通っている。

「女性が結婚を機に仕事を辞めたら二度と男性のように就職できないなんて絶対におかしい。能力のある人は働きたい時にいつでも働ける社会にするべき」と憤慨した井野は、意地でも松村の転職を成功させることを決意。

海老沢もまた、松村への求人リストの見せ方として「コントラストの原理」を使うようにアドバイスする。

相手のニーズに合うようなものばかりを並べて紹介すると相手は迷って決められないが、あえて極端なものなどを見せてコントラストを利かせることで相手は悩まずに決断できるようになる―。

井野はそのアドバイスを元に今までにチャレンジしたことのない分野の企業も提示しながら、専業主婦であってもいつ社会に放り出されてもいいように準備するべきと松村の背中を押すが、当の松村は踏ん切りがつかない様子なのだった。

日本の特許システムの課題

プライベートで桂木のもとを訪ねた井野は、桂木から転職を決意した経緯を教えてもらうことに。

東大で研究を続けていた桂木の友人・川村は4年前から続けていた触感ディスプレイの研究がようやく実を結んだが、特許を出願するタイミングで急展開を迎えてしまったという。

特許を出願したものの1年前にアメリカの研究者が同じような技術で特許を既に取っていたことが判明し、一瞬にして努力が水の泡と消えてしまったのである。

特許を事前に調べるにはお金も時間もかかるものであり、日本の研究者を救うためには全世界で公開されている独鈷を無料で簡単に検索できるシステムがあればいいと考えた桂木は、自分でその会社を興すことを決意していた。

他の誰かに先を越されているかもしれないという不安と恐怖を感じることなくのびのびと研究できる体制を作りたい、自分の事業は日本の利益に必ずつながると熱く語る桂木。

特許庁も特許情報を検索できる仕組みを持っているが、特許庁はそもそも官僚から出向してきた人が要職を占める組織であり、研究者側よりも管理側の視点で使いやすいようにしているだけ。

ユーザーにとって使いやすいように変える努力もせず、いまの日本の大学は特許収入の面では海外に大きく水をあけられてしまっている。

このままでは一歩間違えればいずれ先端技術の開発競争にことごとく敗れ、貧乏国へと没落していく―。

特許庁や天下り先に使われている関連団体では世間には知られないように剰余金をプールしており、わざと特許の仕組みを複雑にしているのではとさえ思える。

日本の特許は複雑で費用がかかるために海外のようなベンチャー企業が一発当てることもなく、特許の9割以上が大企業に占められてしまっている状態。

国としてみれば特許出願数は世界第2位だが、それも株価対策でとっただけで実際には役立たないものがたくさんある。

日本にたくさんいる優秀な研究者や技術者を活かすシステムが今の日本や企業には無く、特許情報の検索がしやすいシステムを作ることで日本の中小企業が再び世界に対抗できる技術を手に入れられると、桂木は本気で考えているのであった。

【11巻のまとめ】

中谷たちは消費者が多くの品種を選ぶことができる豊かさを提供する、つまり日本を豊かにするため農業の産業化に取り組みながら、作物を収穫する時の達成感と喜びをモチベーションにしていた。

その後井野は専業主婦からの再就職を目指す松村の転職をサポートすることとなり、高いハードルを越えるために奮闘する。

他方、桂木は高校時代からの友人である研究者の体験談から日本の特許が抱える課題を認識し、日本を変えるために特許情報が検索しやすいシステムを作るべく起業を決意するのだった。

次巻へ続きます。

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